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BRIDGETと友人達のLetterを管理するDear B,のEditor達。彼女達の目標は、多くの女の子をBRIDGETのように世界に飛び立たせること。
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WORLD
2015.02.23

ポートランドの住宅街には

みんなの詩の掲示板が立っている

ポートランドのDIY
感性をシェアする

 

手づくり&シェア文化の中でも、最もポートランドらしくてユニークなのがPoetry Postだろう。Poetryは文字通り詩のことだけど、Postは郵便ポストではなく「杭」のこと(アメリカではポストはMail Boxと呼ばれる)。要は詩を掲示した柱である。詩は自作の場合もあるし募集していることもある。

 

 

Poetry Postはポートランドでは知られた存在で、私の家の近所にもいくつか見かける。写真は歩道に面した小学校の敷地内に立っていたもの。毎日のように通っているのに、これ、気付かないでいた。木の枠にきちんとガラスがはめ込まれていて、あまりにちゃんとしているので、学校のお知らせか何かだと思っていた。 まじまじと見ると、確かに手書きの詩らしきものが掲示されている。ひとつは褪せて消えてしまっていたけれど、もうひとつの短詩が読めた。

 

“At firot I ignored your aura, but it grabbed me by the hand like the moon pulled the tide and the tide pulled the sand.”

 

「フィロットで、あなたのこと気にかけてない振りをした。でも、ほんとは私、しっかり捉えられていたの。月が潮を引き付けるように、潮が砂を引き寄せるように」

 

フィロットというのは何かな。店の名前か何か? なぜpulledと過去形なんだろう。これがこの詩のキモかも。家に帰ってからしつこく写真を見ていて気付いた。まず、冒頭のはfirotじゃなくて firstですね、これ。「最初は好きだと思わなかった」てことでしょうか。pulledが過去形の理由はやっぱり分らない。Cheer up! Englishの読者の皆さんに、ぜひ教えていただきたいと思う。

 

 

自分の詩を通りがかりの人に読んでもらう、人の詩も読んであげる。そのためだけに家の前にこの柱を設置する。かなり変わったカルチャーとも言えるのだが、実はその後調べて分ったことは、ポートランドにはこれをつくるビジネスがあったのだ! カスタムメイドの箱と杉材の柱、希望に応じて屋根も付けてくれたり、いろいろオプションがある。どうやらPoetry Postそこのブランド名でもあるらしい。何ともポートランド的な商売だと思う。もちろんポートランダーのこと、自分でつくったPoetry Postもたくさんあるけれど。 そして、さらに驚くのがその設置数なのだが、このリンクの地図を見てびっくり。こんなにたくさん・・・。やっぱりポートランドってフシギな街だ。

 

 

 

投詩箱を大きくした本箱を私設図書館として家の前に設置するというのも盛んだ。不要な本やお薦めの本を並べておき、読みたい人に勝手に借りて貰うというシステム。本を捨てられないという人は多いと思う。不要な本の処分って結構困るし、誰かに読まれたらいいなと思う本もある。中古本として売るばかりが選択肢ではなく、本のシェアというこんな方法も面白い。

 

 

歩道に関してポートランドにどういうルールがあるのか知らないが、何だか大らかそうだ。畑を作ってる人、「不要品あげます」という箱を置いている人、他にもいろいろ見かける。 ところで、写真のかわいい三角屋根の私設ライブラリーには「リトル・フリー・ライブラリーです。シェアしたい本を置いていってね。読みたい本を持っていってね」と掲示してあり、児童書が並んでいた。

 

 

ライタープロフィール

百木 俊乃 Toshino Momoki

コピーライター、コンセプトデザイナー。広告代理店、メーカー宣伝部を経て、ニューヨークにて独立、企画・編集業を営む。2001年の同時多発テロを切っ掛けにポートランドに移住。以後、広告プロモーションの仕事を中心に、東京とポートランドを往復しながら日米をつなぐプロジェクトに携わっている。ポートランドの今をクリップするふたつのブログ、「365Portland」及び「ポートランド自由生活」の編集人。

 

 

構成・文 百木俊乃

ポートランドの住宅街には みんなの詩の掲示板が立っている
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