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世界で暮らす 旅をしながら生きる
新しい生き方開拓者 10 人

「世界で暮らす 旅をしながら生きる 新しい生き方開拓者 10 人」は旅をライフスタイルに取り込みながら、人生の時間を充実させる新しい生き方にフィーチャーした特集です。世界を旅しながらできる仕事の創り方、海外での過ごし方、パッキング術や、英語力などハック術などその新しいライフストーリーに迫ります。「いつか世界で活躍がしたい」、「世界中を移動しながら仕事がしたい」というあなたは必読です。

 

今回は、旅ブロガーとして世界を旅しながら、食と旅を通じて世界を学ぶ「LunchTrip」を主催し、Pinterestのコミュニティーマネージャーも務める松澤亜美さんにフューチャーします。

 

 

 

開拓者1 松澤亜美(まつざわ・あみ)さん

―旅ブロガー(ブログ Fashion flight 

―Lunch Trip 代表  (Lunch trip)

―Pinterest コミュニティーマネージャー(Pinterest)

早稲田大学教育学部を卒業後、大手メーカーにて、海外工場コンサルティング、事業企画、貿易業務に携わる。退社後Parsons The New School for Designへ短期留学し、その後、フリーランスのライターとして世界を旅しながらHuffington Post、EU MAG、繊研新聞などにコラムを掲載。また、国土交通省通訳案内士として外国人に日本を案内。2014年よりPinterestコミュニティマネージャーも務める。また、2008年に食と旅を通じて世界を学ぶ「LunchTrip」を設立して以来、大使館やレストランでイベントを約70回以上開催。LunchTripは全国4拠点で開催され、観光庁から関東ブロック賞を表彰される。https://www.lunch-trip.com

 

 

――松澤さんにとってずばり旅とは何ですか?

 

私にとってなくてはならない、刺激的な日常の一部です。仕事や人間関係等悩んでいても、ちっぽけなことだと気づかせてくれて、また元気が出る。そして日常の良さも気づかせてくれる。ここに住んでいたら、ここで生まれ育っていたらどんな人生を送っていたんだろうと想像するのが好きです。旅をし続けながら生活したいと思っていたら、今のライフスタイルまでたどり着く事が出来て嬉しく思っています。

 

 

――最近の海外渡航歴を教えてください。

 

◆2012年以降の海外渡航(乗継地以外)

2015/1 スペイン、イギリス

2012/12 マレーシア

2014/12 ドイツ、イギリス

2012/11 アメリカ (アトランタ)、ペルー

2014/10 アメリカ (サンフランシスコ、オレゴン)

2012/10 韓国

2014/9 ラオス

2012/9 台湾、香港

2014/8 メキシコ、アメリカ (ロサンゼルス)

2012/6-7 フランス、イタリア

2014/7 エジプト、アメリカ (ハワイ)

2012/5 中国、ネパール

2014/3 ノルウェー

2012/3  アメリカ (サンフランシスコ)

2013/9 タイ

 

 

 

――旅ブログを始めたきっかけを教えて下さい。

 

新卒で入社したのは工業用ミシンの会社でした。そこでは中国とインドにある工場へ出向き、各工場の生産性を上げるためのコンサルティングをしました。もともと、発展途上国の女性たちの暮らしに興味があってその部署を志望したのですが、実際に現場を訪れて、自分と同じ20代前半の女の子たちが一日中無言で縫っているところを目の当たりにして大きなショックを受けました。同時に、この現状が一般的に知られていない、知らなかったこともショックでした。この時、衣服に後ろにあるストーリーや、世界の社会状況を発信したいと思ったのがブログを始めたきっかけです。

 

 

――旅を仕事にしていくブロガーとしての仕事の例をいくつか教えて下さい。

 

 

例をいくつか紹介したいと思います。

ハワイ

もともとの目的は個人旅行でしたが、旅行会社のキャンペーンのお仕事を頂き、現地取材をして記事を書く事をしました。

エジプト

観光局から依頼を頂き、観光促進のためにプレスとしてエジプトへ10日間いきました。エジプトはピラミッドや砂漠が有名ですが、ラマダン中の夜の熱気にびっくりしたり、黒海のキレイさに驚いたり。その一面をブログで伝えました。

ラオス

Lunch Trip特別便の企画「食を通して日本を紹介しよう」をテーマにツアーを実施しました。

マレーシア

Air Asiaの企業パーティーに旅ブロガーとして参加しました。旅の楽しさとマレーシアの文化を伝えることがミッションで、パーティーは遊園地を貸し切って豪勢に行われました。

 

 

――旅をしながら仕事をする秘訣を教えて下さい。

 

「旅をしながら仕事をする」ことは、2012年に会社を辞めた時から、夢見ていたことです。旅をしながら、現地での発見・喜び・驚きを伝える人になりたいと言い続けていました。これを実現させた秘訣は、先に体現してしまったことだと思っています。旅ブログを始めた2012年、8ヵ国を旅しましたが、最初から仕事で旅をしていたわけではありません。お金をもらっていなくても、自分にとっての気になる事をコンテンツ化して出していくことが大切だと思っています。私自身は普段ツアー等では行かない所や、撮らない日常を写真に収めたり、感じたことを素直に発信してきました。また、旅先のことをブログに書く時は、経済・政治背景を少し調べて、未熟ながら少しでも知識を頭に入れた上で自分の意見を書くように心がけています。

 

 

――海外に取材&仕事に行く際に必ず持っていく三種の神器を教えて下さい。

 

1. カメラ    

ブロガーなので、カメラは絶対です!!

2. 日本のお菓子

現地でちょっと人にあげられるような抹茶や黒蜜味の日本のお菓子を必ず持っていきます。

3. ワセリン

ワセリンはメイク落としにもなるし、保湿もできるしリップクリームにもなるという万能商品なので必ず持っていきます。荷物はできるだけ少なくしたい派なのでワセリンはすごく便利!!

 

 

――松澤さんが主催されているLunch tripを始めたきっかけについて教えて下さい。

 

小さい時から旅行先で撮影した写真をテレビに写しながら家族でお土産を食べたり、現地の食材を使った料理を食べたり、旅先のことを話すということを習慣にしていたことが今のLunchTripの原型になっています。

 

大きなきっかけとして、大学時代に経験したアメリカ留学での出来事があります。当時は本気で英語を身につけたかったので、日本のことを全く知らないアメリカ人と進んで交流していました。彼らと仲良くなるうちに「亜美って日本人だっけ?香港人だっけ?」と聞かれてしまうくらい日本人アイデンティティが出てなかったんだと思いますが、その言葉が結構ショックでした。私は日本が大好きだし、もっと日本の魅力を伝えていかなればいけないなと思い、大規模な手巻き寿司パーティーを寮の中で開催しました。

 

その後留学が終わり、帰国前にシリコンバレーで1月半ほどインターンをしたんですが、その時住んでいた家の近くでイスラム教と勘違いされたシーク教の人が路上で殺された事件が起きたんです。アメリカでは無知のために人が殺される憎悪犯罪が1年で50件ほど発生していて。その事件がきっかけになり帰国後はダイバーシティー問題について勉強をし、就職しても取り組み続けていこうと考えていました。日本人が外国のことを知るためにはどうしたらいいかを考えていて、そのうち日本には色々な国の飲食店があることに気づきました。こういった飲食店でパーティーができたら面白いんじゃないかとLunchTripのイベントを思いついたんです。それがちょうど入社をした年で、たまたま飲み会で隣の席になった友人と中学からの友人にそのアイデアを話したんですが、その場で「やろう」って言ってくれて。それから今まで70回以上イベントを開催しています。

 

 

――LunchTripはどのようなイベントなのか教えて下さい。

 

LunchTripは都内の異国レストランや大使館を巡り、コース料理のランチを食べながら異文化理解をするイベントです。イベントの中ではスタッフを「クルー(乗務員)」と呼び、参加者を「パッセンジャー(乗客)」と呼びます。各イベントではその国の訪問・滞在・旅行・居住経験がある、もしくはその国出身の「ガイド」が国について説明をし、個人的なストーリーをシェアしてもらいます。その後、パッセンジャーはワークショップ(ディベート・グループディスカッション・ロールプレイ・クイズなど)を行います。実際にその国へ旅の予定を組んでもらうこともあります。「ランチだけで何が変えられるんだ」と言われることもありますが、ランチトリップに参加することで、旅との関わり方や外国人との関わり方が変わったパッセンジャーもいれば、仕事に役立ったというパッセンジャーもいらっしゃいます。みなさん少しずつ世界に対しての目線や意識が変わってきているということを私達も実感しています。

 

 

――現在Pinterestコミュニティマネージャーを務められているということですが、日本と外国での仕事スタイルの違いがあれば教えて下さい。

 

Pinterest (ピンタレスト)は、オンライン上のお気に入りのイメージを発見し集めておくツールなのですが、そこでコミュニティマネージャーのお仕事をしています。これも旅ブログやLunchTripの活動がきっかけで、声がかかりました 。Pinterestは、今後やりたいと思うことにアクションを起こしていくツールです。例えば死ぬまでに行きたい場所の風景イメージをストックしておいたり 模様替えや洋服コーディネートの参考をスクラップブックのようにためたり。例えば、パーティのアイデアを考える時は、ボードにイメージを集めて、それを参考にして協力しくれる友人にイメージを伝えることができます。

仕事スタイルの違いと言えば、まず思い浮かぶのは会議でしょうか。会議は短時間集中スタイルで、会議中に結論も出さなくてはいけないんです。もちろん意見も積極的に発言することが必須です。わたしは通訳案内士の資格こそ持っているのですが、留学は一年のみで、まだまだ聞き取れない事が多々あります。ちなみに数少ない他の日本人社員は皆帰国子女か7年以上欧米に住んでいた人しかいません。

何も話さなくても、変な質問をしても、わかっていない人と見なされてしまいます。 こんな状況でもまず出来るのは、 誰かの発言に対して「今おっしゃったことは言い換えればこういう意味?」と聞くことです。そうすると自分の認識とのズレを確認することができます。会議は集中力との戦いで終わった後はどっと疲れますよ。

また米国の会社なので、オンとオフがものすごくはっきりしています。「楽しみの時間」が意図的に作られているのも日本とは違いますね。みんなで飲みに行く時間もありますし、出張先の観光名所をメンバー全員でまわったりします。会議の時に無駄話は一切ありませんが、そういった時間でしっかりコミュニケーションをとるんです。すごいスピードの英語で、思考回路も違い、結果を求められる厳しい環境でプレッシャーも大きく久しぶりに英語に苦労していますが、コミュニティの中に入って、人に会いに行くこの仕事は、とてもやりがいがありますね。

 

 

取材・文 高石真帆

 


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