日本のポップカルチャーを世界に伝える

バイリンガルのCool Japan Comedian

世界で暮らす 旅をしながら生きる
新しい生き方開拓者 10 人

「世界で暮らす 旅をしながら生きる 新しい生き方開拓者 10 人」は旅をライフスタイルに取り込みながら、人生の時間を充実させる新しい生き方にフィーチャーした特集です。世界を旅しながらできる仕事の創り方、海外での過ごし方、パッキング術や、英語力などのハック術やその新しいライフストーリーに迫ります。「いつか世界で活躍がしたい」、「世界中を移動しながら仕事がしたい」というあなたは必読です。

 

今回は、スタンドアップコメディアンそしてクールジャパンコメディアンとして東京とニューヨークを拠点に世界でパフォーマンスをするKaoriさんにフィーチャーします。

 

開拓者2 COOL JAPAN COMEDIAN Kaori(かおり)さん

 日本で唯一の日本人女性&バイリンガルStandup Comedianとして、国内外で活動している。お笑い芸人としてキャリアをスタートしたが、欧米のコメディスタイルであるStandup Comedyに魅了され、日本語・英語両方によるパフォーマンスへとスタイルを転向。“COOL JAPAN COMEDIAN”として、日本のお笑いスタイルや文化、アニメといったポップカルチャーを取り入れたパフォーマンスを行いながら、コメディによる国際協力を目指している。日本国内では東京、海外ではニューヨークを活動の中心としている。「Asia's Got Talent」 (AXN), 「Welcome to the Railworld in Japan」(8TV、マレーシア)といった海外TV番組や、ワシントンD.C.、フィラデルフィア、ニューヨークで開催されるSakura Matsuri (Cherry Blossom Festival)に出演。シアトルで開催されたコメディコンペティションへの参加や、日本国内でもアメリカよりゲストコメディアンを招いてのイベント主催、単独ショー開催など幅広く活動している。コメディアンとして以外にも、日本語・英語によるMCにも定評がある。 石井光三オフィス所属(日本国内)

 

まずはワシントンD.C.で開催されたSakura MatsuriでのパフォーマンスをWATCH!!

 

 

――初めての海外渡航時のエピソードを聞かせて下さい

 

大学生の時にタンザニアにボランティアに行ったのが最初の海外旅行でした。当時ブレイクダンスというヒップホップダンスをやっていて、黒人文化に関心があったこともあり「アフリカに行きたいな~」と思っていたところタンザニアでのボランティアの募集を見つけて応募しました。予防接種も沢山打たなくてはならなかったし、日本からだと飛行機も丸一日かかり、現地では、熱やら胃腸炎やらありとあらゆる病気・けがを発症し、軽い悟りの境地に。「海外に出るということは大変なことなんだな」というのが感想ですね。

 

 

――英語でスタンドアップコメディをパフォーマンスされていますが、Kaoriさんはどのようにして英語を身につけたんですか?

 

大学5年生(!) の時にアメリカのバージニア州に留学しました。TOEFLのPBTで530~540くらいのスコアを持っていたので、「英語はま、なんとかなるっしょー」なんてテキトーな性格全開で思っていたのですが、留学先は地域的にみんな南部英語を喋るし、入った学校は99%がアフリカ系で彼らの話す英語は教科書で習った英語とは大違い! 何を言っているのか全然聞き取れなくて。最初は会話をすることすら苦痛だったんですが、当時アメリカで流行っていた「チャット」に救われました。話しているのと同じような言葉や言い回しを文字で見ることができるので、あ、こんな言い方するんだって、どんどん単語を覚えられるんですよね。あと、意外と皆文法こだわってないじゃん!というのも分かって気が楽になりました。笑 それからは、文法の正しさに縛られるよりまずはアウトプットしていこうという姿勢に変わっていきました。

 

――なぜ海外で英語を使ってお笑いをやろうと思ったのですか?

 

小さな頃から「とんねるず」の木梨憲武さんに憧れていて、彼のように踊って歌って演技もできるマルチなエンターテイナーになりたいという思いが昔からありました。

 

アメリカ留学から帰る直前にあるお笑いグループがメンバーを募集していて、軽い気持ちで応募したら受かってしまったんです。(笑)しばらくはグループで活動していたのですが、ある日リーダーに「お前はピンでやったほうがええ」「お前には芸人の華がある」と言われそこからピンになりました。

 

ひとりで活動するもなかなかお笑いの空気になじめず息詰っていました。そんなとき、ずっとやってみたかったけど踏み出せずに居た、スタンドアップコメディを思い出して、東京のとあるスタンドアップコメディグループを訪ねたんです。そこにアメリカで俳優兼スタンドアップコメディアンとして活躍している方がゲスト出演された際に、知人に彼を紹介してもらいました。彼にはその後色々とアドバイスをいただきました。中でも、「やりたくない事はやらなくていい。そしてスタンドアップをやってる日本人女性なんていないんだし、スタンドアップは絶対に続けろよ」と言ってくれた言葉が支えとなりました。また、英語・お笑い・海外体験をした日本人といった、自分にしかないファクターで、自分の能力を最大限に表現できるフィールドだと思ったのです。

 

その後、初めてNYのコメディクラブに出たんですが、これが結構ウケたんです。

「あ〜カ・イ・カ・ン!」(古)。このステージで「バイリンガルでスタンドアップコメディをやってく」と心が決まりました。

 

 【NYコメディクラブでの初のステージ】

 

 

 

――海外でキャリアを築いていく秘訣があったら教えて下さい。

 

「どうせ」とか「まさか」と思わないことですね。先日、アジア中のパフォーマーが集結するオーディション番組”Asias got talent”に出演の機会を得たのですが、撮影の後にOA審査があるだろうと思っていたら、ぶっつけのOA本番だったんです。あり得ないような勘違いなんですけど(笑)。「まさか自分がこの番組に一発で出れるわけないよね」と気づかないうちに思い込んでいたんです。日本とは違う文化の中では、逆に過小評価をしてしまうとチャンスを逃してしまうとその時痛感しました。どんな時もその状況に自分はふさわしい、そして最上級の状況を想定して挑むことが大切だと思います。

 

 【NYの地下鉄での即興ステージ】

 

NYの地下鉄で即興ステージをやった時も、見向きもされないんじゃないか、どやされるんじゃないか、なんて思っていたのですが意外とチップを入れてくれるんですよね。「どうせとかまさか」という不安は全て幻。絶対にイケる,自分はふさわしいと思って自信を持つことが大切だと思います。

 

 

――Kaoriさんが海外に仕事に行く際に必ず持っていく三種の神器を教えて下さい

 

1.LINEのキャラクターでおなじみのブラウンのぬいぐるみ→ちょっとイラっとするこの顔が面白くて可愛くてたまりません。ウケなかった夜も、このダーリンに癒されています

2.チップボックス→どこでもスタンドアップコメディができるように

3.小型のアイロン→パーティーとかいつ何があるか分からないので、すぐにアイロンをかけられるのは便利です

 

 

――海外の人々とのコミュニケーションをとる際、何か工夫をされていますか?

 

分かりやすいアニメのキャラクターや日本語をファッションに取り入れて、現地の人に洋服を突っこんでもらうように「仕掛け」てます。他にも、真っ黄色な洋服を着ていたら「ピカチュー」って3オクターブ高い声出す。すると「Yeah! You are Pikachu!」と爆笑に繋がります(多分)

 

 

――仕事、人生における今後のビジョンを聞かせて下さい

 

一度NYに腰を落ち着けて、世界中様々なところから呼んで頂けるエンターテイナーになります。日本の魅力を伝えつつ、国際協力にも携わっていく。ユーモアと笑顔の力を信じて、心に元気を必要としている人に笑いを届けたいんです。いずれはNPOのように組織化し、コメディアンを連れてツアーを実施したいですね。

 

 

 

――最後にKaoriさんにとって、海外もしくは旅とは何ですか? その哲学をお聞かせください

 

予想を裏切る展開、信用出来ないおまわりさんの道案内…。まさに、ドタバタ満載のコント!

笑いどころ満載の傑作品です!若手芸人の心意気で、どんどん前へ出ましょう(笑)

 

 

取材・文/高石真帆


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