国王がタクシー運転手!?皇帝が船大工!?

リアル「水戸黄門」列伝

国王や貴族など身分の高い者が身をやつして庶民の生活へ紛れ込み、悪者を懲らしめたり、民が抱える難題を解決していく……。時代劇「水戸黄門」にありそうなシーンですが、調べてみると、悪者とのチャンチャンバラバラはないにしても、ドラマのような事例は歴史上で何度かあったよう。そこで今回は、“世界のお忍び視察列伝”をご紹介しちゃいます!

 

【ストルテンベルグ首相(ノルウェー)/1959年~】

2013年の8月11日、とあるタクシーの車載カメラの映像が『Facebook』で公開されて、ネットで話題を集めました。そのタクシーの運転手は、ブレーキとクラッチを間違えるなど、およそプロとは言いがたい運転をし、客から「ヘタクソ!」と注意を受けたりと散々な目にあったよう。しかし、その運転手の正体は、ノルウェー首相のストルテンベルグ氏だったのです! 

地元新聞社の取材によると、「人々が本音を言える場所があるとすれば、それはタクシーだ」と考えた彼は、国民の本音を聴くためタクシー運転手に扮して市内を巡回。ただ、この首相、車の運転は8年ぶり(!)で、まさに命がけの運転だったとか(汗)。そんな状態で国民の本音を聴けたのでしょうか…。

 

【アブドゥッラー2世(ヨルダン国王)/1962年~】

現・ヨルダン国王のアブドゥッラー2世。この国王、アメリカのSFドラマ「スタートレック」の大ファンで、王子時代にはその権力を利用して、本編に約6秒ほど出演した目立ちたがり屋。そんな子供っぽい一面がある国王ですが、王位を継承して14年ほど経った現在は、国民から厚い信頼を受ける偉大な国王に成長。

実は、成長を支えた理由のひとつが、“極秘視察”にあるといわれています。「国民の声を聴く」ため、ある時は新聞記者に、またある時はタクシー運転手に変装し、これまでの何度も街頭に紛れ込んだとか。しかし、ヨボヨボの老人に変装して役所の職員の働きぶりを視察した時は、変装のツメが甘く数人の職員に正体にバレるなどお茶目な一面も(笑)。その“隙”こそが国民から愛される理由なのかも?

 

【ピョートル1世(初代ロシア皇帝)/1672年~1725年】

“ピョートル大帝”とも称される初代ロシア皇帝。彼は、ヨーロッパへの大使節団派遣の際、自身も偽名を使って、いち随行員として遠征に参加しました。視察の途中で訪れたオランダのある造船所を見学した皇帝は、なぜか造船所が気に入ってしまい、なんと船大工として就職! 身分を隠して仕事を始めた皇帝ですが、すぐに同僚たちに素性がバレてしまいました。というのも、皇帝の身長は2メートル13センチ! たちまち「造船所にバカデカい男がいる」と、噂が広まってしまい、見物人が押し寄せて仕事にならなくなったのだそう。しかも、その騒ぎで正体が即バレ。そりゃ突然ロシアから現れた大男が働き始めたら誰だって気付きますよね(笑)。

 

いかがだったでしょうか? 日本では考えられない驚きの行動ですが、全ては国民を思ってのこと。イメージアップ目的の生ぬるいパフォーマンスしかしない日本の政治家も見習ってほしいかも。ただ、民意がタクシーにあるという発想はちょっとギモンですよね……。


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