アイカム代表 福井美由起さん(後編)
「無理と思ったらチャンスは掴めない」

Successful Interview!
~英語力を活かして働く~ Vol.02

「英語を学び、英語力を活かした専門職に就きたい」「英語力を活かしキャリアアップしたい」と考える人も多いですよね。そこで、この企画では英語力を活かして働く先輩たちにインタビュー。今回は、“オフィスに講師がきてくれる英会話スクール”として話題の『アイカム(ICOME)』代表の福井美由起さんにお話を伺いました。留学経験や英語学習の意義、ご自身が様々な仕事を通じて身につけた営業力、コミュニケーション力の重要さなどについて……。たっぷりお伺いしたこと後編をご紹介します。自分の価値について悩んでいた“どん底”時代や、能力を活かすため選択した“フルコミッション”のお仕事について、起業したきっかけを中心にどうぞ。

取材・文/甲斐真理愛(編集部)


――ワーホリから帰国後、日本でさらに英語力を磨いた福井さん。その後、英語力を活かせる企業に就職されたんですよね?


日本企業なのに外国人だらけで部署で、ヘッドハンティングの仕事をしました。そこでいろんな人の履歴書を見ていたのですが、クライアントが求めているスキルは、TOEIC何点以上とか、会話はネイティブ並みとか、かなり高い条件で。それに伴って年収がものすごく高いんですね。かたや、「英語力はコミュニケーションがとれる程度」などハードルが下がると、年収もガタっと落ちるんです。「英語ができると年収がこんなに変わるんだ……」と実感しました。仕事のスキルもそうですけど、英語力と年収がセットでくっ付いていたので。やっぱり、稼ぎたかったら英語を話せないとダメだなと。


――しかも、これから英語力が必須の企業が増えそうですよね。


日本企業がどんどん海外に出ているので、確実に増えますね。なので、企業は英語ができる人材を確保したり、既存の人たちに英語力をつけさせなきゃと感じています。英語ができたら、与えられる仕事の幅もすごく広がると思いますよ。

――英語の重要さを痛感しますね! その後、いくつかのお仕事を経験されて、『アイカム』の起業前に働いていた英会話スクールでは、「営業成績が1位になったら辞めよう」と考えていたとか。


そうです。当時の私は“自分の価値”についてすごく悩んでいて。「私の価値ってどれくらいだろう? どれくらいお金を払ってもらえる人間だろう?」ということをリアルに知りたくなったので、実力が数字で見える仕事を選びました。その仕事で1位になれたら、自信を取り戻すことができるのではないかと考えていたんです。


――当時の福井さんは20代後半。その時期って自分の価値や存在意義について悩む時期ですよね……。痛いほど、分かります! では、『アイカム』を起業したきっかけは?


友達に「英語を教えて」と頼まれたことがきっかけです。その友達は最初、「ランチを食べながら教えてよ」と言っていたのですが、私が、「食事と同時にはできないよ。口のなかに物が入っているし」とお断りしたら、「じゃあ……、会社の会議室を使う?」と、提案してくれて。それで、その友達の会社の会議室でレッスンすることになりました。

それから毎週、会議室に行ってレッスンをしていたら、他の社員の方から「自分たちも参加したい」という声を頂いて、数名の社員の方に教えることに。そのレッスンは、ほぼボランティアでやっていたのですが、お友達が「これってビジネスになるんじゃない?」と言ってくれて。


――『アイカム』は、講師が企業を訪問してレッスンするスタイルですが、そのスタイルも、会議室のレッスンから生まれたんですか?


講師がレッスンしに来てくれるってすごくいいなと思ったんです。例えば、「英語を学びたい」と言いながら、なかなか学習に踏み切らない、スクールに通わない人って多いじゃないですか。そんな人達のハードルって何かな? と考えた時に、やはり社会人は忙しいので、スクールに“通う手間”が1番のハードルだと思ったんですね。なので、こちらから伺いますよと。そうしたら、通う手間のハードルが無くなりますよね。

――確かに、勉強したいけど時間を確保できないって人、多いですよね。あと、『アイカム』の講師の方は全員日本人ですが、それも珍しいですよね?


そうですね。日本人講師の方が、英会話初心者の気持ちが分かると思って。だから、あえて日本人講師にしています。もうひとつの理由としては、大人の脳って“こんな仕組みだから、こうなる”みたいな理屈に納得できないと、物ごとを覚えられない構造になっているんですよ。そういった、英語の仕組みとか理屈を説明するのは、自らもそういう理屈を経て英語を覚えた日本人講師の方がいいですから。

――――なるほど〜。では、最後に福井さんのように、きっかけをつかんでパッと行動する、チャンスをつかむための極意を教えてください!


きっかけを行動に移せないのは「やりたいけど、自分には無理かな」と、制限をつくってしまうからですかね。例えば、人前で歌うのは無理だとか、たこ踊りができないとか(笑)。「そんなの絶対ムリ!」というのは、自分が勝手につくる制限ですから。怖い訳ですよ、そこを出るのが。

なので、若干怖くてもトレーニングしたほうがいいです。街頭でアンケートをお願いしてみるとか。はじめは勇気がいると思いますが、ひとりがアンケートに答えてくれたら、それを励みに次の人に声をかけるのも頑張ろうと思えますから。例えば、営業だったら100件断られて「もうやめよう……」と思っても、次の101件目はすごくいい人だったりして。それに救われて、「もうちょっとやってみようかな」となるわけで。そうして、自分の制限が拡張されていくものです。

あとは、今はインターネットで何でも情報が仕入れられるから、逆に動きが鈍ってしまう部分もあると思うんです。検索したらネガティブな情報まで入ってくるから、トライする前にあきらめちゃう。前に進みたくて検索したのに、検索したことによって後ろにつき返された、みたいな人達が多いです。それってもったいないですよ!

――なんとも身につまされます。小心者の私も、自分の制限を超えて動ける人になりたいっ!


前編はコチラ:アイカム代表 福井美由起さん(前編)「営業力×英語力が私の原点」

■プロフィール
福井美由起(ふくい・みゆき)
1981年生まれ。「講師がオフィスにやってくる英会話スクール」として話題の企業向け英会話スクール『アイカム(ICOME)』代表。高校を卒業後、美顔器の営業職を経験。カナダ留学経験を経て、帰国後は、人材紹介業や企業ブランディングを請け負う。その後、英会話教室の営業職に就き、営業トップになったことをきっかけに退社。企業向け英会話教室『アイカム』を起業する。現在、「反復法、マインドマップ、エピソード記憶」を三本柱にした、アイカム独自の“REMメソッド”で、日本の企業人の語学力底上げに尽力している。
●『アイカム(ICOME)』HP http://icomemiyumiyu.com


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