旅作家・歩りえこさん(後編)
「旅も人生も、一筋縄ではいかないもの」

Travelers Interview ! Vol.03
〜体当たりの“Fカップ”ワイルドパッカー〜

239

取材・文・撮影/山川俊行(編集部)

体当たりの“Fカップ”ワイルドパッカー・歩りえこさんのインタビュー後編。旅での印象的な出会いや、現地人と深く付き合うためのコミュニケーション術についてお話を聞いた前編に続き、今回は、 数々の国を旅されてきた歩さんならではの旅のディープな楽しみ方や、 旅を通して培われた人生観など、“旅する醍醐味”をお届けします!

※ 記事の最後に、歩さんのサイン入り著書プレゼントのお知らせもあります。

 

――旅の達人・歩さん流の“旅の楽しみ方”を教えてください!

 

「その国のニオイの違いを体感することですかね。私、旅先で買ったお土産をコレクションするのが好きで、切手、ポストカード、民族楽器……あらゆるものを集めているんですが、国よってモノにしみ込んでいるニオイが全然違うんです。例えば、アフリカのモノは、何でこんなに臭うんだろうって思うぐらい強烈な臭さなんですよ! そんなものでも、私にとっては、どれも一期一会の愛おしいグッズたちなので大切にしてます。

あとは、その国の恋愛事情を観察するのも楽しいですね。女性に対する男性のアプローチの仕方は、本当に国によって千差万別なので面白いです。例えば、草食系の日本人は、見ず知らずの女性にドキドキして声をかけられないじゃないですか。でも、海外の人ってあり得ないぐらい積極的で、声をかけることぐらい何ともないみたいで。エジプトでは、『ラクダあげるから結婚しようよ』とか、トルコでは、『ケバブあげるからデートしよう』とか、突然言われたこともありました(笑)。特に中東の人って情熱的なんです。それに比べると、日本人の男性って世界一シャイだなって、つくづく思いますよね(笑)。

他にも、カメラでいろんな写真を撮るのも大きな楽しみなんですよ。特に、私は子供が大好きなので、自分のカメラで子供たちのはじけるような笑顔をスナップしてますね。アジアやアフリカの子たちってホントに純粋で警戒心がないので、カメラを向けると笑顔でパーッと寄ってきてくれるんです。そういった子供たちとの触れ合いも旅の目的のひとつでもありますね」

 

――子供たちとの触れ合いのなかでの発見も?

 

「そうですね。旅で出会った様々な境遇の子供が、人生は自分自身の選択の連続なんだって教えてくれたような気がします。例えば、アジアやアフリカに行くと、子供たちの置かれた過酷な状況を目にします。子供時代からお金を稼がなきゃいけない重荷を背負わされ、物乞いをする子もいれば、犯罪に手を染めてしまう子もいる。そういう光景を目にすると、人間としてどうあるべきか、否が応でも自問自答しますよね。『この子たちのために自分は何をすべきか』って。なので、私は、靴磨きでも、歌を歌ってくれるとかでも、私に対して何かしてくれた子には、お菓子をあげたり、お金をあげたりしています。単なる物乞いで何かをあげてはその子のためにならないので、相手のために何かをする対価としてお金をもらえるんだって考えが根付いてほしいし、仕事をするってことに希望を見い出してもらいたいんです。

 

そういうこと考えるのって、教科書の勉強には絶対ないことですよね。リアルに体験してみないと自分の答えが出ない。だから、日本の若い子たちがもっと海外に出て、いろんなことを見て学んでほしいと思います。そうすると、悩めること自体、贅沢なことなんだなって気付かされると思うんです。日本人は、選択できる自由をもってる。それさえできない子たちが、世界中にはたくさんいますから。

私も、学生時代は今の日本の若い人たちと同じように大人しかったんですけど、海外に出始めてから、日本での生活はムリかなって思うぐらいワイルドになりすぎちゃって困ってますよ(笑)。まぁ、私まではいかなくても、もうちょっと日本の若い人たちには、たくましくなってもらいたいなって思いますね」

 

――確かに世界視野で見れば、自分の悩みなんてちっぽけだと思えそうですね。
ところで、今月から台湾留学に行かれるそうですか、どんなことに挑戦したいと思っていますか?

 

「いろいろな国を旅してきたなかで、いつか同じ国に長く住んでみたいなって気持ちが芽生えてきたんです。そこで、エンタメのマーケットも広くて、食べ物もおいしく、尚かつ日本での仕事も両立できる台湾に留学することに決めました。現地では、語学学校に通い、北京語を学びながら、台湾の“華流”に挑戦してみたいなって思ってます。日本のエンタメ業界は、ネタを持ってないと面白がられませんが、向こうは必ずしもそうではなくて、カタコトの外国人でも活躍できる道があるみたいなんです。自分を作らず、ありのままの自分で仕事ができる方が、私の性格に合っていると思うので。あと、台湾は若い人でも英語がペラペラに話せる人が多いので、英語も一緒に勉強していきたいと思っていますね」

 

――では、最後に読者に向けて、人生を力強く歩んでいける勇気が出るような応援メッセージをお願いします。

 

「人生も旅も、一筋縄でいかないところがおもしろいです。むしろ、簡単にいったらおもしろくないんですよ。いろんなハプニングがあり、トラブルがあり、それらを乗り越えて初めて、自分が成長できると思います。若い人には、失敗を恐れず、とにかく何でもやってみてほしいです。何かハプニングに見舞われた時は、その時に対処すれば良いので。はじめから何も気負わないで、ありのままの自分で!」

 

■  プロフィール  
歩りえこ(あゆみ・りえこ)
1981年東京都生まれ。世界94カ国を旅する、旅作家、女優、写真家。TVやラジオ、雑誌等、ボーダレスに活躍中。学生時代に所属していたチアリーディング部が全国優勝したことから全米選手権大会に招かれ、渡米したことがきっかけで、世界の国々に興味を持つようになる。以来、5大陸94カ国を訪れる。女一人のバックパッカースタイルで現地人と同じ伝統衣装を纏い、現地家庭に居候するなど、その土地の文化に溶け込む旅を好む。2010年、世界中の子供たちの笑顔を撮影し続けたフォトエッセイ『エガオノオト』(自由国民社)を出版。また、2012年、世界一周旅行記となる『ブラを捨て旅に出よう』(講談社文庫)、2013年に『思い立ったらマチュピチュ 旅ガールが教える、ガイドに載らない旅ワザ』(宝島SUGOI文庫)を出版。
●オフィシャルブログ http://ameblo.jp/riekojpacker/

(左)『ブラを捨て旅に出よう』
(右)『思い立ったらマチュピチュ 旅ガールが教える、ガイドに載らない旅ワザ』  

 

●関連記事

旅作家・歩りえこさん(前編) 「“ブラ”を外して、自分を解き放とう」


おすすめ記事