東京オリンピックのニュースから解説!!
英字新聞、見出しのミカタ

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構成・文/山川俊行(編集部)

 

「新聞やニュースを読む時は、まず、“見出し”を見てから本文を読むかどうかを決める」なんて人も多いのでは? 見出しには、読者を引きつけるための工夫が満載。実は、それは英字新聞も同じこと! なんでも通常の英文とは異なる文法や、省略形が用いられているとか。見出しが読めるようになれば、自然と本文の内容にも興味をもてそうですね。そこで今回は、英字新聞の“見出し”のルールをいくつかご紹介! 海外でも大々的に報じられた「東京2020年オリンピック」のニュースの見出しを引用します!

 

 

① 過去時制は現在時制で表現

『The New York Times』 2013月9月7日付け

For 2020 Olymics, I.O.C. Picks Tokyo, Considered Safe Choice

「東京を選んだI.O.C.、最も安全な選択」

 

※ 競合したイスタンブール、マドリットに比べ、経済、情勢の両面で安定性が高い東京を選んだことは最も安全な選択だと論じた記事。

 

◆ポイント

ニュースは何よりも新鮮度が重要。そのため見出しでは、既にニュースとして扱う出来事が起きてしまった後でも、過去時制を使わずに現在形「Picks」を用います。これは日本の新聞も一緒ですよね! ちなみに、「Considered」は、ニュースを受けた新聞社の見解なので、現在時制で新鮮度を表す必要はありません。また、文字数を減らすために、国際オリンピック委員会(International Olympic Committee)を「I.O.C.」と省略している点も特徴です。

 

 

②受身形は過去分詞で表現

『Los Angeles Times』2013年9月7日付け

Tokyo chosen to host 2020 Summer Olympics

「2020年夏季五輪、東京で開催」

 

※ ①の記事と同じく、I.O.C.はリスクを取ることよりも安全性を重視した結果、東京オリンピック開催が決定したと報じた記事。

 

◆ポイント

「chosen」には、「be動詞+過去分詞」の形が隠されており、受動態の意味になります。ちなみに、多くの見出しでは、「be動詞+●●形」は、文字数を割いてしまうので省くことが多いのだそう。

 

 

③未来形は“ to 不定詞“で表現

『FINANCIAL TIMES』2013年9月10付け

Shinzo Abe to write revival story for Japan with Olympics

「安倍晋三首相、オリンピックで日本の復活の物語を書き示す」

 

※ 「東京オリンピックを契機に長引くデフレからの浮上の起爆剤にしたい」と語った安倍首相の五輪最終プレゼンの発言を元にして作られた記事。

 

◆ポイント

通常の文では、未来の事象を表す時は、「Will+動詞」で表現します。でも、見出しでは、「これから動作をする予定」の意味を持つ「to不定詞(to write)」を使います。端的に内容を伝えるための工夫ですね。

 

 

④記号を含む

『AP通信』9月7日付け

China: Congrats Tokyo on Olympic win amid spat

※「amid(〜の真っ最中に)」、「spat(いさかい)」

「両国間のいさかいが続くなか、中国は東京のオリンピック開催に祝意を表明」

 

※ 東京オリンピック開催決定を受けた、中国外務省の公式発表を報じた記事(習近平国家主席からの祝電は、現在も見送られている模様)。

 

◆ポイント

「:(コロン)」はsaid/according to(〜によると)の略で、コロンの後に続く文章が誰による発言なのかを補足しています。他にも、「,(カンマ)」「;(セミコロン)」は「and」の意味になるのだそう。

ちなみに、綴りが短い単語を使うことも見出しの特徴の一つ。上記の文では、「victory→win」に置き換えられています。他にも、「support→aim(支援)」、「an agreement→ink(調印する)」、「conference→talks(会議)」などの単語もよく使われるよう。

 

 

いかがだったでしょうか? “見出し”のルールをとっかかりに英字新聞への興味が深まれば、ビジネス英単語の習得はもちろん、自然と国際情勢の収集にもつながり一石二鳥! あなたも、英字新聞の“見出し”に注目してみては?


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