オープンなコミュニケーションの大切さ

目標を持って行動することを学んだ

Franck Muller × Cheer up! English Presents Study Abroad <Vol.03>

高級機械式腕時計ブランド「フランク ミュラー」の日本輸入総代理店であるワールド通商株式会社とCheer up! Englishが行う「留学プログラム」の奨学生が、スイス・イギリスでの研修を終え帰国しました。今回は、高級機械式時計工房でのインターンシップとイギリスでの語学研修を通じて学んだことについて奨学生に語ってもらいました。

 

「ロンドン語学留学&スイスインターンシッププログラム」とは 

Cheer up! English が意欲ある有能な若者たちに学びのチャンスを提供すべく行っている留学プログラム。世界最大の機械式時計生産国スイスで、高級機械式時計ブランドとしてその名を轟かせている『フランク ミュラー』の日本輸入総代理店であるワールド通商株式会社がプログラムを全面サポート。時計工房でのインターンシップ体験とロンドン語学学校での英語研修を通じて国際感覚を養うと共に、スイスの伝統産業である時計作りの粋を体験することがミッション。

 

私が留学しました!

山田のど夏さん

 

大学では「現代マーケティング」のゼミに所属し、市場分析や新製品の考案、プレゼンテーションなど実践的なマーケティングに取り組んでいる。企業と環境の関わり、持続可能な社会におけるビジネスに興味があり、今回のプログラムでそのヒントを得たい。

 

工場のイメージを覆す「自然と共生する」企業経営

 

私は、持続可能な社会を構築していくためには、企業がビジネスを行う時、環境との関わりをひとつの軸として捉える必要があると思っています。今回のプログラムでは、「フランク ミュラー」の工房が自然豊かなジュネーブの環境とどのように関わっているのかを知ることがひとつの目的でした。

「フランク ミュラー ウォッチランド」を訪れて最初に驚いたのは、外観と工房内部の対照的な光景です。工房内部は無機質な機械が部品を次々と製作する工場と、職人さんが手作業で仕事をするエリアが隣接しています。職人さんたちは、最終的に米粒ほどの大きさとなる部品の内部を顕微鏡やメガネを使って組み立てていきます。一寸の狂いもなく作業が進んでいくことに驚きを隠せませんでした。彼らは高い技術と熱い想いをもち、お互いの工程を確認しながら丁寧にそれぞれの仕事に取り組んでいました。工房から一歩外に出ると、中の様子が全く想像できず、まるで妖精たちが住んでいるかのような童話の一ページを思わせる外観で、周りの自然と溶け合っていました。

 

また、時計作りの過程で使用する液体等はすべてリサイクルされており、工場排水として捨ててしまうことはないというお話をして頂きました。レマン湖の水、アルプスの山々と見事に共生したフランク ミュラーの工房は、「自然と開発は共存できる」ということを具現化しており、そのような例を私は初めて目の当たりにしました。

 

芸術的な時計作りの秘訣は「オープンなコミュニケーション」

 

プログラムに参加する前、「フランク ミュラーが短期間で老舗ブランドに並ぶ人気を獲得したマーケティング戦略を知りたい」と考えていました。実際に工房で職人さんやマーケティングスタッフの方々とお話をして、戦略や理論はもちろん、そこで働く「ひとりひとり」がフランク ミュラーというブランドを育て、守り続けてきているのだと強く感じました。

職人さんの手作業を見学し、実際に体験させていただき、この工房における時計作りは、「芸術」の領域だと感じました。職人さんたちはそれぞれの工程に責任を持って仕事をしていますが、その前後を担当している仲間の職人や他の部署のことも意識しお互いにコミュニケーションをとっているそうです。営業担当のカリンさんは「人々とコミュニケーションをとる時に大切なことは、常にオープンであること」とお話ししてくださいました。組織においては、最終的には代表者や社長がリーダーシップを発揮する場面であっても、それぞれの分野では、専門知識のある人、現場で働く人たちの意見を尊重し取り入れることが大切です。そのためにはこの工房で行われているような自然なコミュニケーションが大切であり、オープンな心を持つ必要があります。固定観念を持たず、お互いにリスペクトしあい、フランク ミュラー氏の想いを引き継ぐという共通の目的をもって取り組んでいるからこそ、このブランドは発展してきたのだと思います。

 

 

語学学校ではディスカッションとライティングを磨く

 

私が所属した語学学校のクラスでは、1クラス9名の少人数制で、CPE(ケンブリッジ英検最難関レベル)合格という共通のゴールに向かって学習をしました。与えられた課題に対し、

それが文法対策の問題であったとしても、ひとりで解答し答え合わせをするのではなく、常にディスカッションを通して意見交換をしました。CPE対策だけではなく、まるで国際会議のような雰囲気で、各国の政治情勢や文化についても議論を交わしました。ひとりひとりが全く違う意見を持ち、それらを共有することで更に新たな視点を持つことができました。

最終日に作成した宿題のエッセイのテーマは、「グローバル化の中で文化の相違がどのようにビジネスに影響していくか。なぜ共通の文化を持たないのか。もし自国にしかない文化を共有するとしたら、どの文化を共有したいか。共有した時のメリットとデメリットは何か。」について述べるものでした。今まで考えたことのないテーマで難しかったのですが、個別指導の時間に先生に直接わからない箇所や表現を教えていただくことができました。今まで違和感なく使っていた表現が実際のイギリス人は使わない表現であったり、よりナチュラルに聞こえる表現があったりなど、多くのことを吸収しました。ずっとイギリスでクイーンズイングリッシュに触れることが夢だった私にとって、先生が最後に「君はライティングのスキルが高いし、自分の意見を持っているからもう少しでネイティブ並みになるよ」と励ましてくださったことがモチベーションに繋がり、もっと英語を頑張ろうと思いました。

 

 

夕食時はホストファミリーとの異文化交流

 

ナイジェリア出身のお母さんとリバプール出身のお父さん。22歳社の社会人のお兄さんと19歳の妹、4人家族のお宅にホームステイをさせてもらいました。みんなそれぞれに仕事や学校の課題に取り組む日であっても、夕食は必ず全員そろって食べます。食事の席では、ニュースを見て政治の情勢や今起きている事件についてディスカッションしたり、日本とイギリスのことを質問しあったり…すっかり異文化交流の場となっていました。

日本では大人になっても自分の考えを意見する機会はあまりありません。学校でも積極的に意見を交わす機会はあまりないし、手を挙げることをためらう学生も多くいます。しかし一歩外の世界に出ると、自分と同年代の人が物事を深くみつめて考え、他人と意見を交わしあうことがごく普通に行われています。私たちの世代にとって大切なことは、もっと自分の考えを発信し、新たな視野を広げて、いろいろな分野に関心を持つことだなと思いました。

 

 

「夢を持つ」「世界中に友達を作る」ことの重要さ 

 

飛行機で出会ったフランス人、工房でお世話になった時計職人の方々、語学学校のクラスメイト。今回のプログラムで出会った人たちには「人生をかけた夢や目標を持ち、それに向かって行動している」という共通点がありました。これまで私は漠然とした目標しか掲げてこなかったけれど、たくさんの人から刺激を受け、改めてより明確な目標を持とうと考えるようになりました。自分が生涯をかけて何を成し遂げたいのかを考えた上で人生の選択をしていくことが大切だと強く実感した研修でした。 

出会った各国の友人とは帰国後も連絡を取り合っています。熊本地震の際には心配して連絡をくれた人もいました。ひとつの出会いから相手国が身近に感じられるようになることを考えると「その国に友人が住んでいる」ということは、お互いに心の障壁を下げるとても重要な条件であり、世界中に友達がいるということは「グローバル人材」として、最も基本的かつ重要な要素なのだと確信しています。これから社会に出るまでの2年間、もっとたくさんの人たちとコミュニケーションをとりたいと思いました。そして、将来は今回の経験を生かして広い視点を持って活躍できるよう頑張ります。

 

取材・文/坂口弥生

 

 


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