12月にやってくる“13日の金曜日”
不吉な迷信のナゾ、調べてみた

Let’s solve the Mysteries of the World!

308

構成・文/山川俊行(編集部)

 

みなさん、今月の13日は何曜日かご存知ですか? そうです! 2013年の12月2週目、今年2度目の“13日の金曜日”がやってきます! 海外では、『Friday the 13th(13日の金曜日)』、『Freddy vs. Jason(フレディVSジェイソン)』など、この日をテーマにしたホラー作品が数多く作られるほど、不吉の代名詞として知られています。でも「なぜ、その日が不吉な日とされているか理由は知らない」という人が多いのでは? そこで今回は、「13日の金曜日には不吉なことが起こる」という迷信の成立に隠された背景を調べてみました!

 

【トピック】

 

“Friday the 13th is unlucky date(13日の金曜日は不吉なことが起こる)”

 

【「キリストが磔刑にかけられた日」説はデマ!?】

 

「イエス・キリストが磔刑にかけられた日」として、忌み嫌われるようになったといわれる13日の金曜日。しかし、聖書のなかには、死亡した日付に関する記述はどこにもないんです。どうやら、当のキリスト教徒のなかでも、キリストが死んだのは13日の金曜日と勘違いしている人が多いのだそう。

 

【「13」と「金曜日」は、不吉なイメージの組み合わせ!?】

 

では、なぜ「13日の金曜日は不吉な日」という認識が広まったのか? どうも「13」と「金曜日」を別々に考えることに解決のポイントがあるようです。

まず、「13」という数字は“忌み数”として、西洋世界では不吉の象徴と捉えられてきました。はっきりとした由来は明らかになっていませんが、理由のひとつには、「13未知数説」があると言われています。古代の人間が自分の身体を使って数を数える時に使えたのが、手指の「10」と両足の「2」で、合わせて「12」。それを上回る「13」は「不可能(未知数)の数」として本能的に恐れたという。

つまり、キリストが磔刑にかけられた曜日であり、アダムとイブが悪魔のリンゴを食べたとされる「金曜日」と、忌み数としての「13」が合体して、「13の金曜日は不吉な日」との迷信が生まれたようです。

 

【迷信が世に広まったのは、たった100年前!?】

 

この迷信が世界的に拡散した要因には、今からおよそ100年前に出版されたトーマス・ローソンの小説『Friday the Thirteenth(13日の金曜日)』の大ヒットが関係していました。そもそもこの小説は、株式市場での闇取引を描いた作品で迷信と全く関係のないもの。しかし、小説の大ヒットに食いついたメディアを媒介にして、既に存在していた「13日の金曜日は不吉な日」説が、本のタイトルに絡んで世に広まっていったそう。

 

【13日の金曜日はホントに不吉か!?】

 

ここで浮かんでくるのが、「実際に、13日の金曜日には不吉なことが起こっているの?」という疑問。

2008年にオランダの統計学者が、13日の金曜日と他の金曜日の過去2年間の事故発生件数を調査したところ、他の金曜日は平均7800件だったのに対し、13日の金曜日の平均は7500件であることが判明! 迷信を信じた人々は、不吉なことを避けるため、注意深くなったり、外出を控えたりしているのかも?

一方で、1993年に『英国医療ジャーナル』に掲載された「13日の金曜日は健康に悪いか?」という論文に興味深い調査結果が。著者は、数年間にわたり、13日の金曜日と他の金曜日における、交通量と交通事故の比率を割り出しました。すると、13日の金曜日に車の運転をする人は他の日に比べて少なかったにも関わらず、事故で入院した人の数は、他の日よりも52%も増加! 13日の金曜日に不運に見舞われる人が激増しているのは火を見るより明らかです……。この事実を必然と呼ばずして何と呼ぶ!?

 

いかがだったでしょうか? 外国人でさえ全容を知る人は少ない、“迷信”に隠された歴史の事実。史料を読み解き、世界史に眠る真実を掘り当てるのはあなたかも!?


おすすめ記事