E質問箱【8】mustとhave toの違い、
どっちがいい? どっちでもいい? 

ケンブリッジ大学認定英語教師

ケネス宮本が英語の疑問にお答え

外国人との会話中に、会社での商談の時に、ささいな英語の疑問がわくことってありますよね? そんなあなたの疑問に、ケンブリッジ大学認定英語教師のケネス宮本がお答えします。日頃ふと浮かんだ疑問、ぜひ気軽にメールで質問をお送り下さい。

Helloooooooooooooooooooooooooooo!!

 

How are you all?

皆さん、お元気ですか?^^

 

今は梅雨の時期ですが。

夏に備えて「コレやらなくちゃ!」というあなたにピッタリ(?)なご質問にお答えしますよ!

 

 

★質問はこちらでーす^^

musthave toは同じ意味だと習いましたが、混乱することが多いです。

使い分けなどあれば教えてください。

 

 

肯定や疑問ならどっちを使ってもオッケー!

はい、これらの使い方で迷ってしまう方は少なくないようです。

というのも、迷ってしまうだけの共通点と違いがあるからですねー。

それでは、ふたつの間にある共通点と違いをひとつひとつ見ていきましょう!^^

 

 

共通点は、肯定文・疑問文での「意味」

どちらも「…しなくてはならない」、「…でなくてはならない」という意味だ、っていう点では違いがありません。

 

I must work tomorrow.

I have to work tomorrow.

明日、仕事しなくちゃいけないんだよ

 

Must you be in the office tomorrow?

Do you have to be in the office tomorrow?

明日、事務所にいなくちゃいけないの?

 

と、mustでもhave toでも、どちらを使っても意味は同じです。

また、どちらも後に続くのが「動詞の原型」という便利な共通点がありますね。^^

 

じゃあ違いは何か、というと以下のとおりになります。

 

 

否定文では意味が違うので使い分けよう!

肯定文・疑問文では同じ意味でしたが、否定文になるとお互いの意味がけっこう異なります。

must notは、単純に真逆で、「…してはならない、…ではならない」という意味。

not have toは、やんわりと「…しなくていい、…でなくていい」という意味になります。

 

I must not drink tonight.

今夜は飲むわけにはいかないんだ

 

I don’t have to be in the office, but...

事務所にいなくてもいいんだ。でも…

 

It’s okay. We don’t have to drink.

Let’s just have dinner.

大丈夫。飲まなくてもいいわよ

夕食を食べるだけにしましょ

 

こんな会話も、友達の間でよくあるでしょう。^^

補足ながら、mustは助動詞、have tohaveは一般動詞、という「品詞」の違いもありますねー。

 

ここまで知っておけば、これらの表現を使い分けるうえで充分な知識と言えます。

でも、せっかくですからさらに深く知ってコナレちゃいましょう!^^

 

 

 

さりげなく醸し出されるニュアンスに違いあり

肯定文・疑問文で「どっちを使っても意味は同じ」な両者ですが、「意味合い」つまりニュアンスに違いがあります。

そして、それに伴って使い分けもあるんです。

 

 

mustのほうが「お堅い・文語的」

上で見てきた例文でも、have toの方が会話的に自然だと思ってよいです。

 

I must go now.

I have to go now.

もう行かなきゃ

➡電話で話してるなら「もう切らなきゃ」

 

なんて言う時も、圧倒的にhave toのほうがよく使われます。

イギリス人には、mustを使う丁寧口調な人もしばしばいますけどねー。

これが時代モノ映画のヒーローだと、馬に乗って、I must depart now.「いざ、発たねば」なーんて言ったりします。^^

 

疑問文のMust you…?とか、must notを短縮したmustn’t(/mʌsnt/ マスント)に至っては、文語的すぎて日常会話で耳にすることはまずありません。

でもって、より「明確に使い分けられるべき」場合があります。

 

 

権威的な強制力を示すmust

法律・ルール・規約などでの条文や表示、はたまた古めかしい先生・お父さんなどの物言い、という感じ。

 

Customers must present an ID when purchasing alcohol.

酒類を買う際には身分証明書を提示しなくてはならない

 

Applicants must hold relevant qualifications.

応募者は関連する資格を保持していること

 

You must be careful with your language.

言葉遣いに気をつけなくてはいけませんよ

 

 

状況的な必然性を示すhave to

状況からして、そうすること・そうであることが必須・それ以外ない、という感じ。

日常で多く使われるのも、そういう語感からですね。

 

The last train is gone.

You have to take a taxi.

終電が行っちゃったね

タクシー乗るしかないよ

 

It’s so nice!

You have to buy it!

すごくいいじゃん!

買わなきゃダメだよ!

 

これらの意味合いの違いを知っておくのはよいこと。

それでいて、やっぱりmusthave toは置き換え可能です。^^

 

 

文法上mustが使えない場合はhave toを使う

最後に、文法上の理由で「mustが使えない」場合があることに言及しときましょう。

 

未来形など他の助動詞がある時にはmust不可

英語では「助動詞(can、must、will、mayなど)は並立できない」ってことになってます。

ひとつの動詞にかかることができる助動詞はひとつだけ、ってことです。

 

例えば、「できるかも知れないよ」と言いたい時、I may can do that.にはなりません。

I may be able to do that.って具合に、canの代わりになる言い方を持ってきますね。

それはmustでも同じで、その際にはhave toを使います。

 

✖ If so, we will must cancel the appointment.

If so, we will have to cancel the appointment.

そうなら、アポをキャンセルしなくちゃならなくなるね

 

✖ Sarah may must go home soon.

Sarah may have to go home soon.

サラはもうすぐ帰らなくちゃならないかも知れない

 

 

過去形にする時にもmust不可

mustはちょっと特殊な助動詞で、面白いことに過去形がありません。(歴史のなかで過去表現の機能が失われました)

そこで、「…しなくてはならなかった、…でなくてはならなかった」という場合はhad toが使われます。

 

I had to wear a suit for the party last night.

It was a dress code.

夕べのパーティーにはスーツを着なくちゃいけなかったんだ

ドレスコードだったからさ

 

Danny didn’t return the car on time.

He had to pay the late fee.

ダニーはレンタカーを期限内に返さなくてね

延滞料を払わなきゃならなかったんだよ

 

なーんて感じでーす。^^

 

いかがでしょうか?

ここまで知ったあなたは、もうmusthave toのエキスパート!\(^o^)/

 

 

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ライタープロフィール●ケネス宮本

アメリカ、イギリスなどで計7年の海外生活経験をもつ生粋の日本人。英語教師、翻訳・通訳、コラムニスト。雑学(科学全般・歴史・芸術など)が大好き。色んな言語をカタコトで話すのも大好き。取得資格:ケンブリッジ英語教師資格(CELTA)ほか語学系。

 

 

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