E質問箱【20】Did you like it 
there? ネイティブが it を入れる理由

ケンブリッジ大学認定英語教師

ケネス宮本が英語の疑問にお答え

外国人との会話中に、会社での商談の時に、ささいな英語の疑問がわくことってありますよね? そんなあなたの疑問に、ケンブリッジ大学認定英語教師のケネス宮本がお答えします。日頃ふと浮かんだ疑問、ぜひ気軽にメールで質問をお送り下さい。

Helloooooooooooooooooooooooooooo!!

 

How’s it going, friends?

みなさん、諸事うまくいってますか?^^

 

今回はこの挨拶にも含まれてるitについての質問ですよー。

 

 

★質問はこちら!^^

いつも楽しく読ませて頂いてます! ハワイに行ったことを話題に出した時、Did you like it there?と聞かれました。何でDid you like there?ではなくitが入るのかが解りません。教えて頂けますか?

 

 

thereは名詞でない=目的語にならない

おおー! 楽しく読んでいただけてるとは何よりです!

嬉し~い。^^♪

 

はい、よい質問ですねー。

ご質問への回答としては、上の見出しにある通りになります。

 

ここでのlikeは目的語をともなう動詞(他動詞)です。

例えば、Did you like Hawaii?「ハワイはよかった?」なら、Hawaiiが目的語としてきてるのが解りますね。

 

thereは「そこに、そこで、そこにある」などといった意味の「副詞」です。

言い換えると、in Hawaiiと同じ。

ですからlikeの目的語としては機能しないんですよー。

 

僕たちは学校で、「仮主語」ってものを教わります。

It’s hot today.「今日は暑いね」なんて言う時のitがそれで、主語になる名詞がない場合に詰め物みたいに置かれますね。

(この場合のtodayも副詞です)

これに対して、今回のご質問にあるDid you like it there?で置かれてるitは、「仮目的語」になるんですねー。

 

さてこのit

詰め物だったら全く意味がないのか、というと必ずしもそうじゃないんです。

 

 

代名詞it、その深く広い意味とは!

みなさんの中には、That’s it.っていう表現を聞いたことがある方も多いと思います。

これには、ふたつの使い方があります。

 

ひとつは、「そう、それ」なんて意味。

  1. 「まさしく」と同じように使えます。

 

That’s it!

That’s what I’m talking about!

そうだ!

俺が言ってるのはそれだ!

 

と繰り返すコーチや上司なんかもいるでしょう。笑

ここではit、イコール、what I’m talking about「俺が言ってる事」ってことが判りますね。

 

A: Is this the key you were looking for?

B: That’s it! Thank you!

A:君が探してたカギはこれかい?

B:そうそれ!ありがとう!

 

なんて場合もあります。

ここではit、イコール、the key I was looking for「僕が探してたカギ」です。

 

もうひとつは、That’s all.「それで全部だよ、それで終わり」と同じ。

注文する品目を言い終えた時だとか、授業や仕事などが終わる時なんかに使われますね。

今は亡きマイケル・ジャクソンさんのThis is It.も、「これで終わり、これで最後」という意味。

 

あと、変な例えになりますけれど、It is a camera.「それはカメラだよ」と言うとします。

数式のようにすると、it = cameraということ。

この場合のit「それ」は、「カメラ」と呼べるだけの要素を100%備えています。

レンズがないとしたら100%じゃないのでitにならない、過不足があったら同じものじゃないのでitと言えない、ってわけです。

 

長くなりました、まとめましょう!

itは、関連する物事の「すべて、全部、全体」を意味する言葉なんですねー。

 

ですから、ご質問にあるDid you like it there?は、「そこ(ハワイ)のこと(物事全体)よかった?」って聞いてるわけです。

この記事の冒頭で、How’s it going, friends?を「みなさん、『諸事』うまくいってますか?」と訳してるのもそのためなんですよー。^^

 

 

 

仮目的語 it が添えられる場合が他にも

この仮目的語itが使われる他の例も見てみましょっか!

いくつかありますが、この形になる動詞は限られてますから、よく使える動詞で例文を作っていきますね。

そのまま活用してみてください!^^

 

to 不定詞」(の名詞的用法)の代わり

itを置いて目的語の部分をスッキリさせて、「to不定詞」は文や節のオシリに回されます。

 

This app makes it easy to edit photos.

このアプリで写真の編集が簡単になるよ

 

that節の代わり

that節はitの直後(や文や節のオシリ)に回されます。

 

I like it that you call me honey.

あなたが私をハニーって呼ぶの好きよ

 

I doubt it that she can come.

彼女が来られるとは思わないな

 

I appreciate it a lot that you helped me.

手伝ってくれたことにすごく感謝だよ

 

 

if節・when節(文法的には副詞にあたる)が目的部の内容の時

 

I would appreciate it if you could send me the details.

詳細を送って頂けたら幸いです

 

I love it when you dance.

あなたが踊る時すごく好き

 

I hate it when he gets drunk.

あいつが酔っぱらう時すげえイヤだ

 

いかがでしょうかー?

一気に覚えようとする必要はありません。

ピンときたものから使ってみてくださいね!^^

 

 

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toukou★cheerup.jp

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ケネっちは質問をもらうのが大好きです!お気軽に!^^

 

 

ライタープロフィールケネス宮本

アメリカ、イギリスなどで計7年の海外生活経験をもつ生粋の日本人。英語教師、翻訳・通訳、コラムニスト。雑学(科学全般・歴史・芸術など)が大好き。色んな言語をカタコトで話すのも大好き。取得資格:ケンブリッジ英語教師資格(CELTA)ほか語学系。

 

 

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