インターンで沢山の出会いを経験し

 「自分ができる事」を考えるきっかけに

Franck Muller × Cheer up! English Presents Study Abroad <Vol.04>

高級機械式腕時計ブランド「フランク ミュラー」の日本輸入総代理店であるワールド通商株式会社とCheer up! Englishが行う「留学プログラム」の奨学生が、スイス・イギリスでの研修を終え帰国しました。今回は、高級機械式時計工房でのインターンシップとイギリスでの語学研修を通じて学んだことについて奨学生に語ってもらいました。

 

「ロンドン語学留学&スイスインターンシッププログラム」とは

Cheer up! English が意欲ある有能な若者たちに学びのチャンスを提供すべく行っている留学プログラム。今回は、世界最大の機械式時計生産国スイスで、高級機械式時計ブランドとしてその名を轟かせている『フランク ミュラー』の日本輸入総代理店であるワールド通商株式会社がプログラムを全面サポート。時計工房でのインターンシップ体験と、ロンドン語学学校での英語研修を通じて国際感覚を養うと共に、スイスの伝統産業である時計作りの“粋”を体験することがミッションです。

 

私が留学しました!

室岡小百合さん

 

青山学院大学総合文化政策学部に通う1年生。インターナショナルスクールへの通学歴あり。英語力のさらなるステップアップと、高級機械式時計を生み出す職人やマーケティングのプロの仕事を間近で見るため、今回のプログラムに応募。ライフワークとしているカメラで、ロンドンやスイスの美しい風景に人物スナップなど、旅の記録を切り取ることも楽しみにしている。

 

 

職人たちの技術を目の当たりにして

ブランドとの距離が縮まった

 

今回のインターンでは、スイスにあるフランク ミュラー ウォッチランドでたくさんの職人の方とお話をする機会がありました。驚いたのは、職人というとなんとなく男性をイメージしていて、ちょっと堅い世界だと思っていたんですが、実際は女性の職人さんも多くいらっしゃったこと。特に、時計の部品を作る最終チェックのレーンにいたのは殆ど女性だったので、ハッとしました。時計作りにおいて一番繊細で大事なところを女性に任せているということは、フランク ミュラーは女性が持つ繊細な部分を大切にしているブランドなんだと改めて感じたんです。

他にも、マーケティングスタッフのローラさんや、デザイナーの方ともお話しすることができたのですが、みなさん時計に対する愛情や熱意が強くて、とてもいい刺激になりました。2日目にポルトガルから来た時計職人さんとお話ししたんですが、その方はもともとフランス語が話せるわけではないし、時計に関してもまったく知識がないままフランク ミュラーに入ったそうなんです。「常に新しいチャレンジを見つけて、語学や他のスキルも同時に身に着けながら働くスタイルというのは自分にすごく合っている」と話してくれました。それを聞いて、やはり現地に行って一から勉強しないと、習得するスピードが全然違うんだと痛感しました。私は大学で第二外国語としてフランス語を選択しているんですが、今の時点ではまったく話せないので……。

 

留学前のフランク ミュラーの印象は、やはり高級ブランドなので、時計を触るのも緊張してしまうくらい。でも実際にスイスのウォッチランドに行ってみると、働いている人たちは全然気取っていないし、親しみやすい印象だったのでホッとしました。堅苦しい感じがなく、時計に対して集中できる環境が整っていて、働くうえで大切なのは「自分が楽しめるかどうか」なんだと学びました。そして、職人さんたちが何百何千という複雑な工程を経て時計作りをしているところを目の当たりにしたことで、距離が縮まったように思います。やはり芸術と同じで、知ることによって印象って変わるんですね。私と同じ若い世代に、もっとフランク ミュラーの素晴らしさを伝えていきたいです。

 

 

 

シリア難民の少年との出会いで感じた本当の痛み

 

以前ロンドンに1ヵ月留学したときは、クラスメイトと全然話すことができませんでした。クラスメイトがほとんどヨーロッパの人たちだったので、アジア人の私はちょっと疎外感を感じていて、口を開くことすらあまりなかったんです。でも今回訪れた語学学校では、アジア人は私だけでしたが、たくさんの人が話しかけてくれて、ずっと喋っていましたね。授業の中でプレゼンやディベートをする機会があって、私自身はもっと英語力を磨かないといけないなと反省していたのですが、「間違えても大丈夫だよ」という雰囲気をみんなが作ってくれて、過去に感じていた疎外感を感じることは一度もありませんでした。

出発前、現地の人とEU離脱問題やISの問題についてディスカッションしたいと考えていましたが、残念ながらEUの問題について話をする機会はありませんでした。でも語学学校で、シリアの難民の男の子と友達になったんです。はじめはその子が難民だと知らずに友達になったのですが、「どこから来たの?」と聞いたら途端に緊張した面持ちになって、「僕はシリアから来たんだよ」と。それから自分のこと、シリアでどんなことがあったのかをたくさん話してくれました。2011年には、戦乱の中で自分以外の家族全員を亡くしてしまったそうです。日本でもISの問題はニュースなどを通じて知っていましたが、実際に家族を亡くした子と話したのは初めて。直接会って話を聞くと、感じる痛みが全く違いました。

 

彼はロンドンで難民のコミュニティに入っているんですが、差別や生活に苦しんでいる人がまだたくさんいるそうです。ロンドンでは難民の人権を守るための活動が活発に行われているらしく、「募金や援助を求めているから、SNSで拡散してほしい」と言われました。彼との出会いが、今回のインターンの中で一番大きな出来事になりました。

 

 

美術館を訪れて感じた、日本の芸術教育の問題点

 

出発前に、「芸術産業を盛り上げたい」とお話しましたが、そのキーワードとして「教育」が一番大事なのではと感じました。ロンドン滞在中はギャラリーや美術館をたくさん訪れたのですが、やはり日本とは全く違う雰囲気なんです。日本では、美術館に行くと少し引き締まった気持ちになると思うんですけど、ロンドンではみんなもっとリラックスしていて、床に座ったり絵を描いたり、まるで家にいるような雰囲気。そこは日本でも取り入れて、もっとアートが身近になればいいなと思いました。芸術産業を盛り上げるという目標を達成するためには、まず教育の部分から見直さないといけないと思ったんです。私が小・中学校で受けてきたような表面的な芸術教育ではなく、美術館に行ってひとつひとつ作品を鑑賞するような、芸術に興味がない子でも身近に感じられるような教育をする必要があると感じました。

 

ロンドンだけでなく、ヨーロッパではもともと美術館やギャラリーが身の回りにあふれていて、彼らは「(芸術に対して)僕はこう思う」という意見をちゃんと言えるんです。こうした自分の意見を言う力は、芸術だけではなく他の面でもディベート力として備えるべきなのではと感じました。

 

 

就職してからも勉強を続ける姿勢に感動!

 

今回のインターンで一番影響を受けたのは、フランク ミュラーのマーケティングスタッフのローラさん。彼女は日本人じゃないのに日本人っぽいところがあって、おもてなし精神がすごいんです。ランチの予約から、とにかく何から何まで綿密に準備してくれていて、一日中私たちの世話をしているにも関わらず、その合間にミーティングや自分の仕事もソツなくこなしていて、私たちには全然忙しそうな顔を見せない。すごくかっこよかったんです。また、彼女は今でも英語がペラペラなのに、もっと英語の勉強をしたいと話していて、就職してからも勉強をし続けたいという姿勢にも感動しました。私は今回初めてフランス語圏に行って、自分のフランス語力がないに等しいことを痛感したので、将来英語とフランス語を使って仕事をしていくためにも、今から鍛え直したいと思います。

そして今回芸術産業を盛り上げるために「教育」というキーワードを見つけられたので、そこをもっと掘り下げて、自分は何ができるのか考えて行動に移していきたいと思っています。将来、途上国に行ってドキュメンタリーを撮りたいという夢があるんですが、それに加えて現地の教育や日本の芸術教育も盛り上げていきたいと思うようになりました。もちろん、それはとても大きなことで自分ひとりの力では実現できません。いろんな人とのつながりを生かして、芸術教育の未来を少しでも変えていけたらと思っています。

 

文/芳賀直美

 

 

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イギリス語学留学&スイス時計工房  第4回留学プログラムデイリーレポート

  


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