日本人の英語力は世界で何番目?

英語教育の最前線(前編)

グローバルで教育事業を展開するEFが英語能力指数最新結果を発表

 

イー・エフ・エデュケーション・ファースト(EF)は1月29日、「日本の英語教育はどこに向かうか」について議論を行う『EF 英語教育シンポジウム』を開催し、教育の従事者をはじめとした観客220名が来場しました。シンポジウムでは、イー・エフ・エデュケーション・ファースト教育部門・常務取締役のDr.クリストファー・マコーミック氏による2013年度の世界の英語指数の発表と英語教育が目指すべき指針のプレゼンテーションが行われました。前編では、「日本人の英語能力下降の要因」についてご紹介します。

 

2012年に発表された「第2回 EF 英語能力指数(EF EPI)」(過去記事リンク)で世界54カ国中22位という日本人の英語力の低さに驚いた人も多かったのではないでしょうか。今回発表された2013年「第3回 EF 英語能力指数(EF EPI)」では、日本は26位とまさかのランクダウン。それでは早速、全体のランキングを見てみましょう。

 

 

2013年「第3回 EF 英語能力指数(EF EPI)」

 

※「第3回 EF 英語能力指数(EF EPI)」…世界60カ国の70万人の成人を対象に2012年に行われた無料英語テストの結果を集計した独自のデータを数値化したもの。

※今回の「EF 英語能力指数(EF EPI)」には、エストニア、スロベニア、ウクライナ、スリランカ、ヨルダン、イラクの7カ国が新たに参加。

 

順位国名指数
1位

スウェーデン

68.69
2位

ノルウェー

66.60
3位

オランダ

66.19
4位

エストニア

65.55
5位

デンマーク

65.15
6位

オーストリア

62.66
7位

フィンランド

62.63
8位

ポーランド

62.25
9位

ハンガリー

60.41
10位

スロベニア

60.19
11位

マレーシア

58.99
12位

シンガポール?*

58.92
13位

ベルギー*

58.74
14位

ドイツ*

58.47
15位

ラトビア

57.66
16位

スイス

57.59
17位

ポルトガル*

57.52
18位

スロバキア

54.58
19位

アルゼンチン

54.43
20位

チェコ共和国

54.40
21位

インド?

54.38
22位

香港特別自治区?

53.54
23位

スペイン

53.51
24位

韓国

53.46
25位

インドネシア*

53.44
26位

日本

53.21
27位

ウクライナ

53.09
28位

ベトナム

52.27
29位

ウルグアイ

51.49
30位

スリランカ

51.47
31位

ロシア

51.08
32位

イタリア

50.97
33位

台湾

50.59
34位

中国

50.77
35位

フランス

50.53
36位

アラブ首長国連邦

50.37
37位

コスタリカ

50.23
38位

ブラジル

50.07
39位

ペルー

49.96
40位

メキシコ

49.91
41位

トルコ

49.52
42位

イラン

49.30
43位

エジプト

48.89
44位

チリ

48.20
45位

モロッコ

47.71
46位

コロンビア

47.07
47位

クウェート

46.97
48位

エクアドル

46.90
49位

ベネズエラ

46.44
50位

ヨルダン

46.44
51位

カタール

45.97
52位

グアテマラ

45.72
53位

エルサルバドル

45.29
54位

リビア

44.65
55位

タイ

44.44
56位

パナマ

43.61
57位

カザフスタン

43.61
58位

アルジェリア

43.16
59位

サウジアラビア

41.19
60位

イラク

38.16

 *英語を公用語とする国

 ≪2012年度 EF EPI英語能力指数 一覧はこちら!≫

日本は去年の22位から26位と4位順位を下げました。このランキングの結果を受けマコーミック氏は日本の英語教育について以下のように言及しました。

 

 クリストファー・マコーミック
イー・エフ・エデュケーション・ファースト教育部門 
常務取締役 兼 ケンブリッジ大学EF研究チーム責任者

 

「我々が調査を開始してから、日本の成人の英語能力は下降傾向にあります。裕福で発展した国にも関わらず、グローバル社会で必須となる国民の英語力の向上に苦心している国は、ヨーロッパ諸国と比較しても稀なケースといえるでしょう。この英語力の低水準の理由のひとつとして、英語でのコミュニケーションの軽視があげられます。2011年のレポートでは、『授業で英会話を教えた』と答えた公立高校の英語教師はわずか20パーセントと、コミュニケーション訓練はほとんど授業に取り入れられておらず、入試においては英語の試験問題は文法、語彙、翻訳から構成され、コミュニケーション能力を試すような課題がありません。入試対策に多くの時間を費やす日本の学生達にとって英会話の要素が含まれない試験を目指すというのは、明らかな機会の損失でしょう。

 

さらに、見逃してはならない要因として海外留学をする日本人学生の減少があります。海外留学先として最も人気のあるアメリカでさえも、2011年-2012年、正規登録された日本人留学生は10年前の半分となる19,966人まで減少してしまいました。それに対し、人口が日本の半分の韓国では、同年米国の留学生が72,295人でした。

 

また、同じアジア圏に位置するインドネシアとベトナムは、初等教育から英語の授業を開始し、さらにオーラルを重視した授業をふんだんに取り込むことによって、近年英語能力指数は著しく上昇しています。日本でも小、中、高の英語教育に関しては昨今見直しが行われ、文科省は平成30年より小学校3年時からの外国語活動を導入することを取り決めました。成人向けに実施している当テストに、日本の英語教育の見直しの成果がでてくるのは先になるでしょう。」

 

いかがでしたか。後編では「EF英語能力指数トレンドマップ」による各国の比較をご紹介します。

 

※EF EPI英語能力指数は、毎年2種類の英語の試験をEF英語コース入学者向けに実施した結果を指数化したものです。そのうち1種類の試験はこちらのURLからオンライン上で無料で受けられます。ご自身の英語力を知るためにぜひ受験してみてくださいね。

 

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写真提供/EF Education First 構成・文/高石真帆(編集部)


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