【英国】“確定申告が遅れたときの
最も奇妙な言い訳トップ10”発表

 

イギリスの歳入関税庁「HMRC(Her Majesty’s Revenue and Customs)」は、1月31日の確定申告締切日を間近に控えた同月2日、「Top 10 oddest excuses for late tax returns(確定申告が遅れた納税者の奇妙な言い訳トップ10)」を発表しました。こちらは文字通り、確定申告の締切日までに申告が間に合わなかった納税者の苦し紛れの言い訳をまとめたランキングです。外国人が考え出す、遅刻や休暇の言い訳の独創性はよくネットで話題になりますが、確定申告が遅れたときのそれってほとんど聞いたことがないですよね。いったい、どのような言い訳がランクインしているのでしょうか? 今回は、その全貌を和訳とともにご紹介します。

 

Top 10 oddest excuses for late tax returns

1.My pet goldfish died (self-employed builder)

ペットの金魚が死んだので(自営の建設業)

 

2.I had a run-in with a cow (Midlands farmer)

牛とモメていた(農家/ミッドランド)

 

3.After seeing a volcanic eruption on the news, I couldn’t concentrate on anything else (London woman)

火山噴火のニュースを見た後、他のことに手を付けられなかった(女性/ロンドン)

 

4.My wife won’t give me my mail (self-employed trader)

妻がメールをくれなかった(トレーダー)

 

5.My husband told me the deadline was 31 March, and I believed him (Leicester hairdresser)

夫が確定申告の期限が3月31日だと教えてくれなかった、彼を信じていたのに(美容師/レスター)

 

6.I’ve been far too busy touring the country with my one-man play (Coventry writer)

一人芝居で国中を回っていて、とても忙しかった(ライター/コベントリー)

 

7.My bad back means I can’t go upstairs. That’s where my tax return is (a working taxi driver)

背中の調子が悪くて、2階に上がれなかった。2階に確定申告書があった(タクシードライバー)

 

8.I’ve been cruising round the world in my yacht, and only picking up post when I’m on dry land (South East man)

ヨットで世界中をクルージングしていて、陸に上がったときだけ郵便物の回収を行っていた(男性/南東部地方)

 

9.Our business doesn’t really do anything (Kent financial services firm)

事業が全く上手くいってなかった(金融サービス会社経営/ケント)

 

10.I’ve been too busy submitting my clients’ tax returns (London accountant)

顧客から提出された確定申告書の処理で忙しかった(会計士/ロンドン)

 

さすがブラックユーモアの国・イギリス。国家権力が相手でもペットの不幸話を臆せず持ち出してくるところに、笑いに対する国民の意識の高さが読み取れます。他にも、夫や妻のせいにしたり、のっぴきならない理由があったりと言い訳の常套句が続々。

 

ランキングの発表に際して、「HMRC」の個人税部門責任者ルース・オーウェン氏は、

 

“There will always be unforeseen events that mean a taxpayer could not file their tax return on time.”

納税者が期日通りに確定申告書を提出できないことには、常に予期しない出来事がつきまとっている。

 

と遅延者に対して一定の理解を示しつつも、

 

“However, your pet goldfish passing away isn’t one of them.”

しかし、ペットの金魚が死んだというのはそのことには当たらないがね。

とチクリ。また、オンラインでの支払い方法もあるとアナウンスしたうえで、

 

“With all the help and advice available, there’s no excuse not to.”

手助けとアドバイスを受けておきながら、言い訳することはできない

 

と釘を刺しています。

 

ちなみに、イギリスでは、締切日までに確定申告を済ませなかった場合、100ポンドの罰金を科されるのだそう。「HMRC」は法律に則り、遅延者に対して罰金の支払いを命じたところ、決定に納得のいかない一部の人たちが、処分の差し止めを求めて裁判所へ提訴。案の定、そのような身の程知らずな主張は受け入れられなかったのだとか。

 

言い訳は潔くないとされる日本と違い、海外では謝るよりも先に言い訳するのが当たり前。オリジナリティ溢れる言い訳が生まれる理由には、そういった文化的な背景があるのかもしれません。さすがに、誰もが納得できない前衛的な言い訳は考えものですがね。

 

出典元:GOV.UK
https://www.gov.uk/government/news/revenue-reveals-top-10-oddest-excuses-for-late-tax-returns

 

構成・文/山川俊行(編集部)


おすすめ記事