話題作!『明日、ママがいない』
芦田愛菜演じるポストの泣ける名言英訳

あのドラマの名セリフを英訳!!

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児童養護施設で暮らす子どもたちが、親に捨てられたつらい過去を乗り越えて前向きに生きる姿を描く『明日、ママがいない』(日本テレビ・水曜午後10時)。芦田愛菜ちゃんが演じる主人公のあだ名が“ポスト”であることや、子どもたちをペット呼ばわりする内容に、病院関係者、児童養護施設から抗議を受け、スポンサーのCM自粛、脚本の変更措置など、各所で波紋を呼んでいます。けれども子どもたちの迫真の演技は、間違いなく賞賛に値するものです! そこで大人の事情はさておき、編集部では号泣必至の名セリフを中心に英訳しました。

 

<ストーリー>
母親の涼香(酒井美紀さん)が事件を起こして警察に逮捕されてしまったため、児童養護施設に預けられることになった真希(鈴木梨央ちゃん)。真希は、児童相談所職員の叶(木村文乃さん)から不気味な風貌の男・佐々木(三上博史さん)に引き渡され、“コガモの家”という名の施設に連れていかれる。佐々木が施設長を務めるコガモの家は、不穏な雰囲気を漂わせる場所。そこで真希は、3人の少女と出会う。彼女たちはお互いをあだ名で呼び合っていた。ピアノが上手なピア美(桜田ひよりちゃん)、家が貧しいボンビ(渡邉このみちゃん)、そして、生後まもなく赤ちゃんポストに入れられたポスト(芦田愛菜ちゃん)。みんな、それぞれの事情で実の親と暮らせなくなった子どもたちだった。

 

赤ちゃんポストに入れられていたため、両親の顔を知らないポスト。衝撃の過去を聞いてあぜんとする、ドンキこと真希に向かってポストはこう言います。 「かわいそうだと思った?かわいそうだと思う方がかわいそ」

Did you think that it is sorry for me?

I think more of such you would feel sorry.

 

sorry”は、「ごめんなさい」以外にも「お気の毒に」や「残念です」という意味でも使う単語です。 例えば、友人からの身内の訃報を聞いたとき、“I’m sorry.(お気の毒に)”とお悔やみの気持ちを言います。「ごめんなさい」と全く同じ表現ですね。洋画や海外ドラマなどで頻出する言い回しなのでご存知の方も多いのでは。

 

ポストというあだ名で呼ばれることをよしとする彼女に、ドンキはなぜ本名を名乗らないのかと尋ねます。その答えがこちら。

 

「目の前に親がいたら自分から捨ててやりたい。でも捨てる親なんていない。 だから私は名前を捨てた。唯一親からもらったものがそれだったから」

I would like to insulate from myself, if parents are standing in front of my eyes.

But I do not have parents.

Therefore, I abandoned my name.

This is because it is one only thing which I got from parents.

 

would like to(〜したい)”や“in front of(〜の前)”は中学生の時に習ったイディオム。「(名前を)捨てた」を“abandoned(放棄する)”という動詞で表現しました。余談ですが、「名無しの権兵衛」のことを英語では“just a Mr. Nobody”と言います。

 

恋人と暮らすことを選んだ母親に見捨てられてしまった、ドンキ。傷つき悲しむ彼女に、ポストはこんな言葉をかけて励まします。

 

「今日、あんたが親を捨てた日にするんだ」

You should make today the day which abandoned the mom.

 

ここでは、「捨てる」を「見限る」と解釈し、“abandon”という動詞を使いました。

 

里親候補と過ごすことを、コガモの家では『お試し』と言います。施設長の佐々木は、引き取られることを望む子どもたちに向かって、里親に気に入られる秘訣としてこんな暴言を!

 

「ここにいるお前たちはペットショップの犬と同じだ」

You are the same as the dog of a pet shop.

 

ここでは非情なセリフですが、“the same as(〜と同じく)”というイディオムは、よく使う表現なので覚えておきましょう。

 

条件の良い(お金持ちの)里親に引き取ってもらいたいと、躍起になる子どもたちを傍目に養護施設に慣れないドンキは、こうつぶやきます。

 

「全然知らない人をお母さんって呼んだら、ほんとのママがかわいそう」

If I accept another woman to be the mom, my real mom will feel sad.

 

「全然知らない人をお母さんって呼んだら」を、「別の女性をお母さんとして受け入れたら」と解釈、“If I accept another woman to be the mom”としました。

 

ドラマに限らず、作品とは最後まで観てこそ評価されるもの。養護施設の子どもたちの人権保護やイジメ問題にはもちろん細心の注意を払うべきですが、一生懸命に演技をしているのも子どもたちです。つらい境遇をものともせず、たくましく生きる子どもたちを描いた、『明日、ママ』を駄作と決めつけるのは早計ではないでしょうか。ちなみに編集部は号泣シーンに備え、ハンカチを握りしめながら最終回までしっかり見届けます。

 

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構成・文/松本考史


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