みんなは読める?
英語圏の難読地名詰め合わせ

キラキラネーム、ラノベのタイトル… 世間に溢れる難読ワード

437

近頃、「得美寿(エルビス)」「笑陽斗(ラビット)」といったキラキラネームが増殖しています。他にも、『機巧少女(マシンドール)は傷つかない』『妖狐×僕SS(いぬぼくシークレットサービス)』などのライトノベルのタイトルを含め、「コレ、何て読むんだろう?」と首をかしげざるを得ない、漢字の“ニューフェイス”たちのお祭り状態。一方、“元祖”難読ワードの筆頭といえば、「地名」をおいてほかにはないでしょう! 例えば、「住道矢田(すんじやた)」「毛穴(けな)」「喜連瓜破(きれうりわり)」などは、日本人でも正しく読むのは難しいレベル。こうした難読地名は、日本だけではなく、実は英語圏にも存在するんです!! そこで今回は、アメリカ・イギリスなどの英語圏を中心とした難読地名を国ごとにご紹介します。

 

【アメリカ編】

Raleigh → ローリー(ノースカロライナ州)

Tucson → ツーソン(アリゾナ州)

Boise → ボイジー、ボイシ(オレゴン州)

Sioux City → スー・シティ(アイオワ州)

Dekalb County → デキャブ・カウンティ(ジョージア州)

Zzyzx → ジージックス、ザイジクス(カリフォルニア州)

 

各国語が混ざり合った地名のバリエーションは、移民の国・アメリカならではといったところです。ちなみに、「Zzyzx」は、「英語における最後の単語にしたい」という命名者の想いが込められた土地なんです。名付けたのは、カーティス・ホウ・スプリンガーなる、かの地を愛した事業家。20世紀半ば、彼の尽力により、町は温泉地として活況を呈します。しかしその後、公有地の不正使用と食品衛生法違反でカーティスは逮捕。町の繁栄のために汚れ仕事に手を染めてしまったワケです。現在の「Zzyzx」は、砂漠研究センターがあるのみの、寂れた土地になっています。カーティスの願いとはうらはらに、悲しき末路を辿った町「Zzyzx」。みなさんもアメリカを訪れたときは、是非この地を思い出してください……!!

 

【イギリス編】

Worcester → ウスター、ウースター(ウスターシャー州の州都)

Wycombe → ウィカム(バッキンガムシャー州)

Leominster → レムスター(ヘレフォードシャー州)

Heysham → ヒーシャム(ランカシャー州)

Cholmondeley → チャムリー(チェシャー州)

Magdalene → モードリン(ケンブリッジシャー州。)

Wymondham → ウィンダム(ノーフォーク州)

Woolfardisworthy → ウールズリー(デボン州)

 

アメリカ以上にイレギュラーな読み方が多い印象のイギリス。 ここでひとつ、「Cholmondeley」があるチェシャー州にまつわるこぼれ話をご紹介。2010年に映画もされた児童文学『アリス・イン・ワンダーランド』に登場する、にやけ顔が印象的な「チェシャ猫」の名は、このチェシャー州に由来しているそう。というのもこのキャラ、「Grin like a Cheshire cat(チェシャ猫のように笑う=理由もなく笑う)」というイギリスの古いことわざをもとに、物語の作者ルイス・キャロルが作り出したと言われているんです。つまり、「Cheshire cat」は、「チェシャ州の猫」を表しているということ。でも、「なんでチェシャ州の猫が笑うのか?」という疑問が浮かびますよね。なんでも州の形が笑った猫のあごの形をしていたという説や、同州のある看板描きが宿屋の看板に吠えるライオンを描いたつもりが、どうみても笑っている猫にしか見えなかったなど、諸説あるそうです。

 

アメリカ、イギリス編では、スペル通りの発音にならない難読地名を取り上げてきました。さて、これからご紹介するのは、あまりに長すぎるがため読みづらさを覚える地名とスポット名。みなさんは正しく読めるでしょうか?

 

【番外編】

〈世界一長い地名〉

Taumatawhakatangihangakoauauotamateapokaiwhenuakitanatahu

→ タウマタファカタンギハンガコアウアウオタマテアポカイフェヌアキタナタフ(ニュージーランド、ホークスベイ地方)
※マオリ語で「タマテアという、大きな膝をもち、山々を登り、陸地を飲み込むように旅歩く男が、愛する者のために鼻笛を吹いた頂」

 

〈世界一長い湖名〉

Chargoggagoggmanchauggagoggchaubunagungamaugg

→ チャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグ(アメリカ合衆国マサチューセッツ州ウェブスター)
※ネイティブアメリカンの一部族・ニプマク族の言葉で「境界の釣り場のマンチャウグにいるイギリス人」

 

〈世界一長い駅名〉

Llanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogoch

→ ランヴァイルプルグウィンギルゴゲリフウィルンドロブルランティシリオゴゴゴホ(ウェールズ北部のアングルシー島)
※ウェールズ語で「赤い洞窟の聖ティシリオ教会のそばの激しい渦巻きの近くの白いハシバミの森の泉のほとりのある聖マリア教会」

 

これほど長い言葉、かまずに言い切れるのか謎。余談ですが、明治時代に実在した「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥之介」という名前の男性は、徴兵検査の本人の署名欄に、「干支之介(えとのすけ)」という神がかった略名を書いていたことがわかっています。やはり、人名にしても地名にしても、呼ぶたびに引っかかってしまう名前は考えものですよね。

 

いかがでしたか。地名やスポット名のなかには、ご紹介した例のような難読のものがたくさんあります。一見、取っつきにくさを感じるかもしれませんが、由来を知ることでその土地への興味に繋がるはず。あなたも気になる地名の由来、調べてみては?

 

構成・文/山川俊行(編集部)


おすすめ記事