映画の予告編で学ぶ|タンジェリン Tangerine

最新映画で文化や英語表現、
リスニングを鍛えよう

日本語字幕がない映画の予告編でリスニング力を鍛えましょう。正しく全部聞き取れるか、すべての英語のフレーズと翻訳を掲載します。また、映画のみどころはもちろん、予告編の動画の中でおさえておきたい英語表現や文化など、ワンポイントアドバイスもあります。今回の映画は『タンジェリン』。何とiPhoneだけで撮影したという話題の映画。GLBT関連の映画表現も紹介しているので、ぜひチェックしてくださいね。

 

作品情報

『タンジェリン』

原題:Tangerine

日本公開:2017年 1月28日(土)

 

あらすじ

太陽が照り付けるロサンゼルスのクリスマス・イブ。街角のドーナツショップで一個のドーナツを分け合うトランスジェンダーの娼婦――28日間の服役を終え、晴れて街に戻って来たシンディとその親友のアレクサンドラ。

最初はお祝いムードの二人だったが、自分の留守中に恋人が“金髪女”と浮気したと聞かされたシンディはブチ切れ、浮気相手を捜し出してとっちめてやろうと街へ飛び出す。

歌手を夢見るアレクサンドラはそんなシンディをなだめつつも、その夜に小さなクラブで歌う自分のライブのことで頭がいっぱい。

さらに、彼女たちの仕事場の界隈を流すアルメニア人移民のタクシー運転手、ラズミックも巻き込んで、それぞれのカオティックな1日がけたたましく幕を開ける!

 

 

みどころ

iPhone5sで撮影&演技経験ゼロで最優秀助演女優賞を受賞

“全編iPhone5sで撮影された映画”と聞くと「またか」と思うほど、iPhoneで撮影された作品が増えています。『タンジェリン』もiPhone5sで撮影された映画のひとつ。

この流行りの中、iPhoneで撮影する意味や、その効果が発揮された映画があったかと問われると、疑問符が浮かぶことが多い中、70年代の映画を彷彿させるルックの『タンジェリン』はそんな考えを覆してくれる作品です。

横長のシネマスコープ画面にするため、iPhone用のアナモフィック・アダプターを装着し、フォーカスをコントロールできるアプリを入れ、さらに制作過程でも工夫を凝らして独特の映像美を生み出しています。

さらに、iPhoneなら撮られていることを意識させないため、演技経験が無く実生活でも親友の、主演キタナ・キキ・ロドリゲスとマイヤ・テイラーが自然な演技を引き出すことに成功。結果、数々の映画賞を受賞し、特にアレクサンドラを演じたテイラーは、この『タンジェリン』でインディペンデント・スプリット賞最優秀助演女優賞を受賞。

全編iPhoneで撮影したという前情報はいったん忘れて、映像美、登場人物たちのリアルな演技を、ぜひ劇場で堪能して欲しい映画です。

 

予告編のセリフとその英訳はこちら!

Razmik (Karren Karagulian):

Hey, Alexandra.

Come here.

ラズミック(カレン・カラグリアン):

おーい、アレクサンドラ

こっち来てくれ

 

Listen, have you seen Sin-Dee?

なあ、シンディ見かけたか?

 

Alexandra (Mya Taylor):

Sin-Dee Rella.

Looks like someone has a crush.

アレクサンドラ(マイヤ・テイラー)

シンディ・レラ

誰かさんが惚れちゃったみたいね

 

Razmik:

Sin-Dee's back on the block?

ラズミック:

シンディが娑婆に戻ってきてるのか?

 

Alexandra:

Oh yeah, she's back.

She's back and she's going hard.

アレクサンドラ:

うん、戻ってきてる

戻ってきて、凄い事になってるわ

 

Sin-Dee (Kitana Kiki Rodriguez):

Merry Christmas, bitch.

シンディ(キタナ・キキ・ロドリゲス):

クリスマスおめでとう、ビッチ

 

I got some good news to tell you.

伝えなきゃならない良い知らせがあるのよ

 

About me and Chester.

あたしとチェスターのことで

 

Alexandra:

I know what it is!

You're breaking up with him!

アレクサンドラ:

何の事か分かったあ!

彼と別れるのね!

 

Thank God!

He's gonna be cheating on you like that――

よかった!

あんな風に浮気するような――

 

Sin-Dee:

Wait-wait-wait, what?

シンディ:

ちょっちょっ、何それ?

 

Alexandra:

Y-you didn’t know?

アレクサンドラ:

あ、知らなかった?

 

Sin-Dee:

 

Hm.

 

 

シンディ:

うん

 

White boy.

Who is she?

白人ちゃん

その女だれ?

 

People in town:

Her name starts with a D.

街の人々:

Dで始まる名前ね

 

Dani…

ダニ…

 

Desiree!

デジリーだろ!

 

Destiny?

デスティニーだっけ?

 

You're making me lose my game.

お前のせいでゲーム負けちまうよ

 

Alexsandra:

She's some white fish.

アレクサンドラ:

白人の女よ

 

Sin-Dee:

Chester is cheating on me with a real fish?!

シンディ:

チェスターは普通の女と浮気してるの!?

 

Alexandra:

Yeah, bitch. Like a real fish!

Girl like with vagina and everything!

アレクサンドラ:

そうよ、普通の本物の女!

アソコとか全部そろってる女よ!

 

Copy:

OFFICIAL SELECTION

SUNDANCE

FILM FESTIVAL 2015

コピー:

公式入選

サンダンス

映画祭2015

 

Alexandra:

Girl, calm the fuck down!

It's not that serious!

アレクサンドラ:

ねえ、落ち着きなさいよ!

そこまで深刻なことじゃないから!

 

I will go with you under one condition.

You must promise to me that there's not gonna be any drama.

あんたに付いていくのにひとつ条件があるわ

トラブルを起こさないって、あたしに約束しなさい

 

Sin-Dee:

I promise, I promise.

シンディ:

約束する約束する

 

Alexandra:

Look at me in my eyes and promise!

アレクサンドラ:

あたしの目をみて約束しなさい!

 

Sin-Dee:

I promise no drama, Alexandra!

シンディ:

約束しま~す、トラブル無しで~す、アレクサンドラ!

 

Dinah (Mickey O'Hagan):

Wooow, what the fuck!

ダイナ(ミッキー・オヘイガン):

わあああ、なんだっていうの!

 

Male police officer:

Oh, boy…

警官:

あちゃあ…

 

John (Scott Krinsky):

Help me, officer!

ジョン(スコット・クリンスキー):

助けて、お巡りさん!

 

Alexandra:

You didn’t have to Chris Brown the bitch!

What did you do to her?!

アレクサンドラ:

その女を追い詰める必要なかったでしょ!

あんた、この子に何したの!?

 

Dinah:

Does your friend ever shut up?

ダイナ:

あんたの友達が黙る事ってある?

 

Alexandra:

No, that bitch been talking ever since I met her.

アレクサンドラ:

ううん、あたしが初めて会った時から喋りっぱなしよ

 

Copy:

“Like

Nothing

You’ve seen

Before”

-Brian Moylan, The Guardian

コピー:

「これまで

一度も

見た事が

ないような映画」

―ブライアン・モイラン/ガーディアン紙

 

Female police officer:

Why does he owe you money?

婦人警官:

彼があなたにお金を借りているのはなんで?

 

Alexandra:

We made a business transaction.

アレクサンドラ:

私達はビジネス取引をしたんです

 

You’re not even hard yet!

まだ固くもなってないじゃない!

 

John:

Fuckin’ hard.

ジョン:

めちゃめちゃ固いよ

 

Alexandra:

That’s hard?

アレクサンドラ:

これで固いの?

 

Copy:

“Gorgeous.

A PERFECTLY CAST,

BEAUTIFULLY

DIRECTED MOVIE”

-Manohla Dargis, THE NEW YORK TIMES

コピー:

「きらびやか

完璧な配役

すばらしく

監督された映画」

―マノーラ・ダージス/ニューヨークタイムズ紙

 

Sin-Dee:

シンディ:

 

 

Chester.

チェスター

 

Chester:

Sin-Sin, who’s you man?

Who’s heart beats for you?

チェスター:

シンシン、お前の男は誰だ?

お前がドキドキするのは誰だ?

 

Alexandra:

Sin-Dee, what do you see in him?

Talk to me!

アレクサンドラ:

シンディ、彼の中に何が見える?

あたしに話してよ!

 

Copy:

“Riotous, DARING AND,

CRACKING WITH VITALITY”

-Alison Willmore, BUZZFEED

コピー:

「ハチャメチャで、大胆で、

生命力がみなぎっている」

―アリソン・ウィルモア/バズフィード

 

Miss Willy (Richie Lillard):

She's been out of jail for 24 hours.

She's already causing drama.

刑務所を出て24時間

あの子はもうトラブルを起こしてる

 

Sin-Dee:

She’s calling the police!

シンディ:

あの女、警察に電話してる!

 

Chester:

Hey, cops are coming.

チェスター:

おい、ポリ公きたぜ

 

Sin-Dee:

Come on, Bro!

シンディ:

ほら、行くわよ!

 

Copy:

“Fierce

AND FULL OF LIFE”

-Amy Nicholson, THE VILLAGE VOICE

コピー:

「壮烈で

活き活きしている」

―エイミー・ニコルソン/ヴィレッジ・ボイス誌

 

Alexandra:

Out here, it is all about our hustle.

And that’s it!

アレクサンドラ:

この世界はあたし達がどうやって稼ぐかだけ

それだけ!

 

Copy:

Tangerine

コピー:

タンジェリン

 

Chester:

This?

Motherfuckin’ girl thing.

チェスター:

これは

オンナ同士の問題だな

 

Copy:

Directed by Sean Baker

Written by Sean Baker & Chris Bergosh

コピー:

監督ショーン・ベイカー

脚本ショーン・ベイカー&クリス・バーゴッチ

 

 

知っておきたい英語・文化のワンポイント

ロサンゼルスLGBT文化の一面。transgenderなど会話で聞こえてくるスラングや表現を紹介

 

今回ご紹介の「タンジェリン」は、近年よく聞かれるLGBT関連の題材を取り上げた映画ですねー。

LGBTは、Lesbian, Gay, Bisexual, and Transgender(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の略号。

 

lesbianは、もともとギリシャの「レズボス島の」って意味の言葉。

その昔は女性の同性愛が盛んだった島らしく、それが「同性愛の(女性)」を意味する言葉になりました。

あと、口語では女性の同性愛者をdykeとも言います。(使うのは余りオススメしません)

 

gayは、homosexualと同じ「同性愛の(人)」って意味の言葉で、実は性別を問わず男性・女性どちらも使えます。

もともとは「幸せで陽気な」を意味する形容詞で、昔は女性の名前にも使われる言葉でした。

 

bisexualは、「両性愛の(人)」。

bi「2つ」とsexual「性的な」の組合せですねー。

 

transgenderは、ちょっと色んな意味を含んでます。

まずtrans-は、「…を超えて」という意味合いを持たせる成分。

genderは、sexと同じく「性別」って意味の言葉です。(どちらかというとsexは身体的な性、genderは観念的な性を意味合いに含みます)

でもって昔は、まさしく「性別を超えた」ってことで、transsexual「異性として生きる(人)、性転換手術を受けた(人)」が使われていました。

また、transvestite「異性の身なりをする人」って言葉もあります。(いわゆる「おかま・おなべ」の人ですね)

でも「それらは失礼な言葉だ」という風潮が起こって、まとめてtransgenderっていうのが一般化したんですよー。

 

生物学的に普通である「異性愛の(人)」なら、英語でheterosexualって言います。

口語ではstraightですねー。

また、日常で耳にすることはまず皆無ですけれど、cisgenderって言い方もあって、これは「出生のときに診断された身体的な性別と精神的な性別が同じ人」のこと。

つまり、「女性として生きてる女性、男性として生きてる男性」のことで、transgenderに対する学術用語として使われる造語。(1991年発表の論文が最初らしいです)

 

そうそう、上の予告編でも多用されているfishは、普通に「ストレートの女性」のこと。

同性愛者の目線で使われる言葉で、明らかに軽蔑的なので皆さんは使わないようにしましょう。苦笑

 

ちなみに、イギリス英語ではgayと同じ意味でbent(曲がった)という言葉も使いますが、これは「ストレートじゃない」事から当てられたもの。

あと、「ニューハーフ」は和製英語で、英語にはない言葉です。

 

話をtransgenderに戻しまして…。

豊胸手術を受けていながら男性器をそのまま残してるtransgenderさんをshe-maleとカテゴライズする場合もあります。(使うのは余りオススメしません)

また、男性のtransgenderさんはdrag queenとも呼ばれますね。(こちらはオシャレな感あり。略してdragとも)

これらの人たちは、同性愛者というよりも精神的に本当の女性なんです。(なので多くゲイ男性でなくストレート男性を好みます)

役場に申請して戸籍変更して、社会的にも女性として生きてる人たちもいます。(女性から男性にステータスを変更する人もいるはず。僕は出会った事がありません)

 

映画「タンジェリン」では、メインの2人はどちらも「トランスジェンダーの娼婦」とのこと。

ハリウッドの中心部を離れた一画では、週末にもなると夜にはこうした娼婦さんたちが路上に立ちます。

そんな、ロサンゼルスの「スランギー過ぎる文化」を鮮やかに描いた映画なんでしょうねー。

 

欧米の大都市には、ちょうど日本でいう新宿二丁目にあたるLGBTの街があるものです。

ロサンゼルスでは「ウェストハリウッド市」がそれで、ストレートでも楽しめるオシャレな街ですよ。^^

10月31日ハロウィーンの夜などにはゲイパレードがあって、ものすごい盛り上がりを見せます。

 

いかがでしょうかー?^^

 

 

 

タンジェリン

Tangerine

 

全米公開:2015年7月10日

日本公開:2017年1月28日(土)

渋谷シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー

監督:ショーン・ベイカー

出演〔役名〕:キタナ・キキ・ロドリゲス〔シンディ〕、マイヤ・テイラー〔アレクサンドラ〕、カレン・カラグリアン〔ラズミック〕、ミッキー・オヘイガン〔ダイナ〕、アラ・トゥマニアン〔アシュケン〕、ジェームズ・ランソン〔チェスター〕

 

配給:ミッドシップ

公式サイト:http://www.tangerinefilm.jp/

公式Twitter:https://twitter.com/TangerineJP

公式Facebook:https://www.facebook.com/tangerinefilmjp/

©2015 TANGERINE FILMS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

 

英語ライタープロフィールケネス宮本

アメリカ、イギリスなどで計7年の海外生活経験をもつ生粋の日本人。英語教師、翻訳・通訳、コラムニスト。雑学(科学全般・歴史・芸術など)が大好き。色んな言語をカタコトで話すのも大好き。取得資格:ケンブリッジ英語教師資格(CELTA)ほか語学系。

 

映画ライタープロフィール●はらまさゆき

ドラマ、CMなどを手がける映像ディレクター。映画は、シリアスなものから、恋愛もの、SF、ホラー、コメディ、往年の作品まで幅広く鑑賞する、オールラウンダー。

 


「映画・ドラマで学ぶ」連載記事一覧

続きを見る >>

おすすめ記事