ビジネスマンの教訓にも!岡田准一主演
『軍師官兵衛』の名言を英訳

あのドラマの名ゼリフを英訳!!

今年は、V6の岡田准一さんの当たり年ではないでしょうか。主人公のゼロ戦パイロットを演じた、映画『永遠の0』は大ヒットを記録。そして、主役を務めるNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』(NHK総合・日曜午後8時)の視聴率も好調です。また官兵衛をはじめ、織田信長や竹中半兵衛など、歴史上の人物の示唆に富んだセリフが、ビジネスにも通じる格言だと話題になっています。そこで今回は、社会人に刺さる名ゼリフを英訳しました。

 

<ストーリー>

戦国時代、豊臣秀吉(竹中直人さん)の天下統一を演出した天才参謀・黒田官兵衛 の生涯を描いた戦国時代劇。幼少の頃から中国の兵法書を愛読していた官兵衛は、『三略』を使って宿敵赤松家の調略から父・職隆(柴田恭平さん)を救う。また元服後、初陣では『孫子』から敵の陽動作戦を見抜くなど、軍師として成長していく。

 

万吉(幼少期の官兵衛の名)は、父・職隆の客人が宿敵赤松家側の裏切り者だと気づきます。しかし客人の前ではそのことを明かしませんでした。その理由を問われた万吉が中国の兵法書『三略』の一節を用いて職隆に答えます。

 

「謀は密なりをもってよしとす」

As for a strategy, advancing in secrecy is wise.

 

「戦略は秘密にして進めるのが賢明」という意味です。仕事でも、重要な計画は秘密裏に推し進めるもの。プレゼン内容が漏れてしまえば、ライバルに対策をたてられてしまうからです。強かであることも社会では肝心。

 

小田原・北条攻めの最中、無益な流血を好まない官兵衛が無血開城を目指し、秀吉を説得した名ゼリフがこちら。

 

「人は殺せばそれまで。生かしてこそ、使い道があるのでございます」

The dead human being is worthless. It is worth because alive.

 

worth”は「価値がある・有益である」という意味です。
余談ですが、「命あっての物種」を英語では“While there is life, there is hope.”といいます。

 

永禄5(1562)年、赤松政秀(団二朗さん)と石川源吾(升毅さん)が、小寺領内に攻め込んできます。石川が「退け!」「かかれ!」を交互に繰り返し、安心と緊張で自軍を混乱させていることに気づいた官兵衛。この赤松家の陽動作戦に『孫子』の一節を引用します。

 

「半ば進み半ば退くは誘い也」

There's always a catch to every good thing.

 

現代文にすると「敵が進んでは退き、退いては進むのは我々を誘い出そうとしているのだ」となります。つまり、“There's always a catch to every good thing.(うまい話には裏がある)”ということ。シビアなビジネスの世界では、おいしい話にはすぐ飛びつかず、冷静に判断する心掛けが大切です。

 

尾張国の戦国大名の嫡男、織田信長(江口洋介さん)。既存権威を無視し、天下布武に邁進する彼の理念を表した歴史上有名なセリフ。

 

「腐りきった物すべてを叩き壊し、新たな世を作る。それがわしの義だ」

I break up the entrenched political interests. I create a new era. It is my morality.

 

現代風に解釈するなら、「政治的な既得権益を捨て、新しい時代を創造する。それが私の道義だ」でしょうか。「政治的既得権益」は、“the entrenched political interests”です。人の上に立つためには、フロンティアスピリッツも必要ですね。

 

小寺家の使者として信長に謁見した官兵衛。播磨攻略法を説くも、黒田家の兵の少なさを軽んじられます。そこで「戦の勝敗は兵の数ではない」とこのように反論します。

 

「兵は詭道なり」

Quality is more important than quantity. The war is a game of wits.

 

ここではビジネスシーンを想定し、“Quality is more important than quantity.(量より質)”と表現しました。よく使う表現なので覚えておきましょう。「兵は詭道なり」を現代文にすると「戦争とは騙し合いだ」です。そこで、“a game of wits(頭脳戦)”というイディオムを使いました。

 

稀代の軍師、竹中半兵衛(谷原章介さん)に挑発され、小寺家、そしてその仇敵の赤松と別所の播磨名門三家を信長に拝謁させると約束してしまう官兵衛。しかし上手くいかず、半兵衛が先に話をまとめてしまいます。悔しがる官兵衛に、半兵衛はこのように忠告しました。

 

「兵の情は速やかなるを主とす」

The highest priority in a battle is quickness.

 

「戦いというものは迅速であることが第一」という意味なので、“The highest priority in a battle is quickness.(戦いにおいて最優先事項は迅速さである)”と訳しました。“battle”を“business(業務)”や“operation(作業)”に置き換えると仕事でも使えますね。

 

いかがでしたか?ビジネスという戦場で奮闘するみなさんにも、今回の名言から得るものがあるはずです。

 

さて、豊臣秀吉の最初の参謀であり、官兵衛の永遠のライバル、竹中半兵衛の登場によって、官兵衛は軍師としてのスキルを向上させます。天下の大舞台が近づき、いよいよ戦乱の世で本格的に動き出す官兵衛。今後も山中鹿介(別所哲也さん)や宇喜多直家(陣内孝則さん)など個性豊かな武将が登場します。軍師官兵衛の運命と今後の展開に目が離せませんね。

 

構成・文/松本考史


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