組織の輪をうまく壊せるかが肝

日本人の知らない欧米社会の掟

日本人の知らない

海外就職で本当に必要なスキル

集団で一丸となって、輪を壊さずに〜というのは日本社会の基本ですね。

欧米では「チームワーク」という言葉がよく使われますが、輪を保つというコンセプトは欧米では通用しません。熱く討論し、ときにはぶつかりあい、味方同士で戦えて初めて最高の成果を残せるという思考がどこかかしらあるのです。

どんな業界でも同じことを毎日延々と続けるというビジネスはありません。時代の変化と共に方針を必ずしも変えていかなくてはいけませんが、これをこのまま進めるとこういうリスクが出てくる、ここにしわ寄せがいく……という事を聞かれてもいないのに上司に伝えるのも部下の仕事です。

 

 

 

「お手数ですが……」などのクッション枕詩はNG!

 

人間関係を円満に保つためには使いこなせなくてはいけない日本のクッション枕詩。丁寧さをプラス、否定的な事もやわらかく……というのは日本でだからこそ成立するコミュニケーションの美学で、欧米では単なる余計な一言にすぎません。

「お手数ですが」というニュアンスの一言は欧米では別になんとも思っていない相手に「そうね、そういえばお手数だわ」と思われるタネを植え付けてしまう一言なのです。その他「重ね重ね恐縮ですが」も、メールなどで使うと「ほんとよね、いい加減にしてよ」という感情を抱かれてしまいます。

 

お手数ですが→xxお願いいたします

重ね重ね恐縮ですが→もう1度お願いします

確かにその通りですが→違うと思います

 

唯一まわりくどい英語はPoliticalまたはDiplomaticという「中立的な立場でいる」という意味の形容詞。響きがいい割りに、信憑性が低いという解釈になる場合が多いのでこちらは気をつけたいところです。

 

輪に入ってはいけない

 

賢い欧米の会社組織では同じ部になるべく異なる人材を揃えて全面的にカバーしようとするのが戦略です。論理思考の人に、実践力がある人、コツコツまじめ君に外面が良い人などなど。常に意見が一致する人大勢を同じ部に配置するのは無駄だと考えます。

 

実際にあった話ですが、英国人が多く所属する部にひとり日本人が入社しました。彼は日本人らしくコツコツとマジメなタイプでなかなか周りと打ち解けられませんでした。実はその部、みんなマイペースで好き勝手に仕事を進めてしまう、あまりにもまとまり感がない集団で、上司は日本人を入れてルーティン、ホウレンソウ、集団としての取り組みなど日本的なビジネスの基本を少しでも植えつけようというのが狙いだったそうです。

皮肉にもその日本人の方は暇さえあれば熱心に海外の社会組織文化の研究をし、一刻も早く集団の中に入れるよう努力を重ねていましたが、周りの色に染まってきた頃上司には「変化を求めて君を選んだんだから染まってもらっては困るんだ」と笑われたそうです。

 

自分と組織の関係を考えよう

 

新しい人を「輪」の中に入れて、輪に溶け込むことを期待する組織や上司は欧米ではいません。どんなポジションでも、新しい風の流れを期待して新人というのは組織内に招かれるものです。自分が入ってから組織にどのような変化がもたらされたのか。あなたが入ってきて本当に良かったと周りに感謝されるような人になったであろうか。

 

自分が一体どういう部でどういう役目を期待されているのか。客観的にジャッジできる能力は欧米社会サバイバルにはとても大切な要素なのです。

 

 

伊勢 音亜(いせ・おとあ)

英国在住暦22年。社会人暦10年。元コンサルタントの英国人起業家に付き添いVC、スタートアップ、飲食業界、ブランディングなど幅広い業界にて幅広い経験を持つ。現在はロンドン、LEON社にてエンゲージメント、ブランドコミュニケーション、社内報の編集を担当。

 

 

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