Webプロデューサー 殿村英嗣さん
「英語を身につけグローバルに活躍」

Successful Interview!
~英語力を活かして働く~ Vol.04

 

――帰国してどのような仕事に就いたのですか?

 

フリーランスの翻訳を始めました。フリーランスの仕事は、私のレベルですと下訳しかできませんでしたが、ネイティブスピーカーにProof Readingを頼んでいたので、最大で月収50万近く稼げました。
そのまま翻訳の仕事を続けてよかったのですが、依頼の多くがビジネス翻訳なのに、「社会人経験がなくていいのかな?」という不安があったんです。だって、景気動向指数という言葉を英語にできても、日本語で意味を知らないわけですからね。

 

――それで就職活動されたんですね?

 

はい。広報の代理店の国際部に入りました。これは企業の広報活動を代行する仕事で、海外向けのプレスリリースや社内報を作ったり、シンポジウムの事務局をやったりしていました。そこで2年半くらい、ビジネスそのものと、英語をビジネスで使うことを学びました。
その後、アメリカで使っていた『Yahoo!』が日本でもサービスを開始したので応募して合格しました。採用された理由は、英語で米『Yahoo!』とやりとりができることと、コンテンツをコーディネートできることだったと思います。

 

――どれくらい米『Yahoo!』とのやりとりがありましたか?

 

最初は日本独自のコンテンツだったのですが、入社1年で『Yahoo!ID』など、アメリカのサービスをローカライズすることになったのです。そこで、井上社長(当時)たちとサンタクララに行き、現地の技術者たちとも話しました。それからは、インターナショナルプロデューサーとして、3か月に1回、1週間くらい行って話をつけてきましたね。多分、英語が話せるからサンタクララに連れてってもらえたし、キャリアが開けたんだと思います。

 

――実際にビジネス英語で苦労したことはありますか?

 

アメリカで実際にビジネス英語を使ったのは、『Yahoo!』に入ってからです。大変だったのは、IT系の技術者にはインドとかパキスタンの人が多いのですが、彼らのアクセントは母国語のアクセントに近く、英語を話す人たちのなかでも特に聞き取りにくかったことです。でも、聞く訓練になりましたね。
あと、やはりビジネス英語は難しいなと思いました。ランゲージとしては話せても、考えた方やカルチャーが違うので、真面目な話はできるけど、遊びやノリがわからない。本当に話せるようになるには、言語だけでなくカルチャーも身に着けないとだめだなと思いました。

 

――現在の英語力はいかがでしょう?

 

TOEIC®テストを受けたら975点でした。帰国直後の点数は960点だったので、15点ですがアップしています。近年は海外出張がなくなり、英語力は錆びついていると思っていたのですが、「話す力」とか「聞く力」よりもビジネスとしての英語を理解できたんですよね。
TOEFL®は文書を書いたりレポートを書いたり、アカデミックで使う英語が大事ですが、TOEIC®は見積書の読み方とかビジネスの力も必要なんです。ビジネスと英語を学べば、双方がそなわってビジネスの世界で英会話を活用できると感じました。

 

――現在のお仕事では英語が公用語だとか?

 

社内公用語ということで英語が使われています。社内の全員が日本語をしゃべれるなかで英語を話すことは、違和感があるかもしれません。しかし、英語を話すことが習慣となっていると、英語しか話せない人が入ってきても対応できますよね。一番重要なのは「英語を話すこと」ではなく、共通言語が英語ということなんです。たとえば、社内のドキュメント全部を英語で作っておけば、全世界で情報共有できるメリットあります。会話だって、共通言語が英語なので、誰と話しても通じます。英語を話せと強制しているのではなく、いつでも英語を話せる人になっておけ……ということです。現在のクライアント(マーチャント)は英語を話すわけじゃありませんが、そのノウハウを海外展開するときがくるかもしれませんしね。世界相手にビジネスするための効率化 といえるんです。

 

――最後にCheer up! English読者に、応援メッセージをお願いします。

 

英語力が低いと、活躍の場が日本だけになると思います。英語が国際言語であることは間違いないわけですし、最近ではたくさんの国の人が英語を話すようになっています。つまり、グローバルな環境で活躍したいと思ったら、彼らと同じ土俵で戦うため英語力が必須なんです。
しかし、英語はあくまでツールです。英語ができれば仕事ができると勘違いしてはいけません。とにかく英語を学びたいという目的の人もいるけど、話せるようになったその先に、「何をやりたいか?」というのがでてくると思います。ですから、何をやりたいか自分の人生のゴールを見定めて、そのために必要なスキルとしての英語を身につけてください。

 

撮影・取材・文/さいとうよしかず(編集部)

 

 


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