アメリカ南部の旅(エピローグ)
アメリカ南部のロードトリップで得られるもの
広大なアメリカの土地を車で旅するロードトリップは、グルメや観光を楽しむだけじゃない。想像以上に得られるものが大きくて毎回感動する。
アメリカのイメージが覆され、視野が広がる
まず、今までの私が持つアメリカのイメージが覆された。それはアメリカの田舎へ行けば行くほど。
今まで私はニューヨーク、ロサンゼルス、ホノルル、サンフランシスコ、サンディエゴ……etc アメリカ内のいろんな場所を旅してきたし、数ヵ月ずつ住んだこともある。
でもそこはいわゆる有名都市ばかりで、どの場所にも日本でもおなじみの見慣れたアメリカの姿があった。
しかし、一昨年から何度もミシシッピリバー沿いの10州をロードトリップで旅してきて、毎回毎日が新しい発見と驚きの連続だった。
そもそも、ルイジアナ州、ミシシッピ州という名前はかすかに聞いたことがあるか無いかというくらい。ガイドブックやネットにもあまり情報が無いし、どんなところか全く見当もつかなかった。
それが訪れてみてびっくり。ナッシュビルやメンフィスなんて名前も聞いたことがなかったのに、高層ビルがそびえ立つ立派な大都市だったし、ミシシッピリバー沿いにはたくさんの歴史あるかわいらしい小さな街が存在していたのだから。
アメリカンミュージックの歴史が始まった場所であったり、数々の歴史の中の偉人達が生まれ育ち、アメリカの歴史を創ってきた場所であったり。アメリカのルーツがここに詰まっていた。
そして終わりの見えない広大な土地。郊外を車で走れば、たまにぽつんと家が出てくるくらいで、だだっ広いとうもろこし畑や草原が広がっている。アメリカはこんなに広いのか、ってしみじみ実感した。
いかに、日本ではおなじみのアメリカの観光地しか知られていないことか身をもって実感したし、有名都市だけ訪れてアメリカを知った気になっていたのが恥ずかしいくらい。
今まで私が持っていたアメリカに対するイメージが覆された。
自分の心と向き合える
広大なアメリカの大地を旅していると、自然と心がすっきりしてくる。それは何故か。自分の心と向き合える時間がたくさん作れるから。作る、というよりも自然と感情が湧き出てくる。
とうもろこし畑がずーっと続く広い土地を車で飛ばしている時や、郊外の大自然のリゾートで夜や早朝、自然に囲まれながらぼーっとしているときなど、たくさんの場面で自分と向き合うことができる。
普段都会に住んでいると、ルーティンワークに縛られたり、時間に追われていたりする人が多いと思う。その時は、本当の自分の望みがわからなくなっていたりする。自分が住む土地のルールや常識にとらわれ、格段に視野が狭くなっているから。
それが、新しい土地、新しい文化、初めて出会う人々……更に広大な大自然に数日間身をおくことで、だんだんと自分をがんじがらめにしていた常識や思い込みの殻が破れていく。そして、今の仕事や生活で本当に満足？ 自分は本当は何がしたい？ 本当に大切なものは？ など、心の声が湧き上がってくるのだ。
私の場合、今回のロードトリップでは、ルイジアナ州の自然に囲まれた静寂な湖畔リゾートに宿泊していた時のこと。夜、辺りがしーんと静まり返る中、ひとり星空を見上げながらぼーっとしていた。その時に、今まで自分の心の奥底にしまいこみ、蓋をして見ないようにしていた感情がすーっと出てきた。
そして心がシンプルになり、今こうやって旅をできていることが、家族がいて友人もいて、仕事もあることが、生きていることが、とても幸せなことだと感じるようになった。些細な悩みなんてちっぽけ。新しい自分に生まれ変わった気がした。
旅が与えてくれるかけがえのないもの
ミシシッピリバー沿いを旅するロードトリップは、思った以上に毎日が楽しく、驚くほどに私に新たな発見と経験と気づきを与えてくれた。
それは、アメリカの有名都市だけを旅していたら得られなかったことばかり。
是非次の旅は、アメリカの郊外にまで足を伸ばしてみて。そこにはきっと想像以上の素晴らしい経験が待っているから。
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目次
1.トラベルジャーナリストKANAのアメリカ南部の旅(プロローグ)
2.トラベルジャーナリストKANAのアメリカ南部旅1日目(前)
3.トラベルジャーナリストKANAのアメリカ南部旅1日目(後)
7.トラベルジャーナリストKANAのアメリカ南部旅5日目
8.トラベルジャーナリストKANAのアメリカ南部旅6日目
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