「あなたの幸福度は何%ですか」
世界幸福度調査～ドイツ人編～

先進国である日本に生まれた私たち。労働環境や政府の施策などに不満はあるものの、世界的にみて恵まれている国に育ったことは間違いありません。病院にかかってもそう高い金額でなく医療を受けることができ、みな平均的に一定の教育を受けることができる社会制度が整っています。日本国籍であれば、ビザの用意をする必要がなく入国できるがとても多く、海外でも優遇されることが多いのです。何を幸福と呼ぶのかは、筆者もまだまだ分からないですが、『恵まれている』という部分では、間違いない国ですね。そんな国でも飛び出して、世界をめぐりながらリモートワークでのノマド生活に憧れてしまうのは、なぜなのでしょうか？　昨今こういったライフスタイルが注目を集めいているのは、日本だけではありません。筆者が今まで住んでいた各国（基本的に貧乏なので途上国と言われるような、物価が安くちょっぴり不便さを感じるような国です）でも、たびたびノマド生活をしている先進国出身の方々に会いました。特に、東南アジアで暮らしている欧米人はリモートワークで生計を立てている人が多いです。彼らはなぜ、母国を離れ、異国の地に根を張り生活をしているのでしょうか？ 今回インタビューに答えてくれたアディも、そんなノマドライフを楽しんでいるひとり。彼とは、タイで飲み仲間として仲良くなりました。さて、彼のお話を聞いてみましょう。

アディ/男性/30歳/ドイツ人

ーあなたはどのくらい幸せですか(100%のうち何%幸せか教えてください）

今は人生で一番幸せ。だから、90％くらいかな。僕の要望をすべて満たせる場所や時があったとすればそれは楽園だよ。

ーあなたを自分が幸せと思わせるものは何ですか？

誰にも干渉されず、自分の物事を自分のペースで生活できる時間かな。ドイツ人にどんなイメージがある？　真面目で勤勉で、少し厳しい感じがしないかい？　僕はドイツ人だけれど、そういうところが合わなかったんだ。時間を守ろうと努力しても守れない。学校の勉強も優秀じゃなかった。子供のころは怠け者だとよく言われたよ。僕なりに一生懸命やっているんだけれど、周りの速度についていけなくて。ずっと人生の落第者だったんだ。両親は僕を愛してくれていたけれど、どうやって教育していけばよいかいつも困ったようだった。窮屈で、苦しくて、逃げるように国を出てみたんだ。色んな国に行ってみたけど、今住んでいるタイがベストな国だね。速度がスローで、色んな人間がいる事を受け容れてくれるとっても優しい国だよ。外国人として少し苦労することはあるけれど、ドイツにいた頃とは開放感が違うよ。そして、いまやっと自分の能力と生活と周りの目がバランスとれるような生活をしているというのが、とても幸せに感じるんだ。

ーあなたの人生でいちばん大切なものは何ですか？

医者にかかった訳ではないからわからないけれど、僕はずっと精神を病んでいたと思う。でも今は心も体もとても健康だよ。夜もしっかり眠れて、仕事も意欲的にできる。新しいことに挑戦する気持ちも湧いてきて、なんていうか、余裕があるんだ。だから精神的に安定するというのはすごく重要な事なんだって最近気づいたよ。生きていく上では大切だね。笑っちゃうかもしれないけれど、昔は忘れ物をしたとか、バスに乗り遅れたとか、そういう小さな自分のミスだけでも１日中引きずるくらい、イライラして落ち込んだんだ。いまは「まぁいいか」と思えるからね。人によってはやっぱり僕はルーズで、ダメなやつだと思う人もいるだろうけれど、もういいんだ。僕が僕を好きでいれるなら。

ーあなたの国の人々は幸福度が高いと思いますか？

うーん、わからない。正直、個人の思い出としてはあまりいい印象はないけど。でも、結局年に何回か帰るし、両親は幸せそうに生活しているよ。リモートワークでもやはり、ドイツから仕事をもらったり、ドイツ語を使った仕事をすることもある。そういった面でやはり僕は国から自立はできていないし、まだまだ頼っているところがあるからね。世界にでても生計が建てられる程度の教育を受けさせてくれたという点でもありがたいこと。頼れる国、信用できる国ってやっぱり幸福なことだよね。自分の国に誇りを持っている人がほとんどだと思うよ。製品なんかも、信用して使えるし。あの厳しさに身を置いて勝っていく人たちにとってはとてもいい国だし、それが当たり前だと思って生活している人たちは幸福に暮らしているよ。

ーあなたの国の幸福度を上げているもの、下げているものは何ですか？

幸福度を上げているのは、やはり厳しくて真面目な国民性かな。あの国を支えているのは、そういった人々で、世界に誇れる技術や戦略がある。消して資源や環境に恵まれている国ではないから、まだまだ第一線を進むことができるのは人々の努力のたまものだと思うよ。幸福度を下げているのは、そういった競争が生み出した人と人との差っていうのかな。僕みたいな競争についていけなかった人、移民とか家庭環境のせいで最初からレールから外れてしまった人たちが辛い思いをする社会だってところかな。ちょっとした議論でも、自分の意見が絶対正しいっていうか、まあそういう考え方もあるよねっていう柔軟さを持っている人があまりいないんだ。もちろんそれぞれ、本人次第だから決定的な不幸ではないかな。