「あなたの幸福度は何%ですか」
世界幸福度調査～マルタ人編～

地中海に浮かぶ島、マルタ共和国。地中海にありながら珍しく英語圏なので、昨今では語学留学で人気の国ですね。ヨーロッパのベストシーズンの夏だ！　と、息巻いてに訪問したのですが、想像より日差しが強く、暑くて仕方ありませんでした。そんな中でも、バカンスを楽しむこんがりと日焼けしたヨーロピアンたちで島中大賑わいでした。マルタの人々は観光客で外国人慣れをしているのでしょうか、親切で笑顔優しかった印象です。バックパッカーにとっては物価は高く感じますが、程よく便利で、西欧の方よりはのどかで、地中海地域特有の古びたというか乾いたというか、なんとも言えない心地よさ。海鮮料理がおいしくて、美しい海でのダイビングも爽快で、心も胃袋も満足した国でした。今回の幸福度調査では、そんなマルタで育ったアメリア。少し人生の先輩であるアメリアは、どこか達観したような、大人の落ち着いた雰囲気のある女性。このインタビューで、彼女の人生観に初めて触れたのですが、こういった経験をこういう風な解釈をしてきたから、今の素敵なアメリアがいるんだ。辛いことを経験して、ふさぎ込んでしまう人、優しくなれる人がいるけれど、アメリアは間違いなく後者なのだと感じました。

アメリア/女性/35歳/マルタ人

ーあなたはどのくらい幸せですか(100%のうち何%幸せか教えてください）

100％幸せよ。

ーあなたを自分が幸せと思わせるものは何ですか？

自然にふれているとき。特別運動が得意なわけではないから、バリバリ海に潜ったりとかそういうわけではないんだけれど。暮れていく夕日を見たとき、きれいな月を見上げた時、おいしい果物を食べたとき、気持ちいい風を感じたとき、幸せだと思うわ。人間が作ったもの、例えば映画を見たりネットサーフィンをしたり、面白いと感じるけれど、幸せをほんのり感じるのって何気ない瞬間で、人間の手では決して作れないものに触れたときかなぁって思うわ。みんなでパーティをしたりするのも楽しいけどね。リラックスしている瞬間に幸せを感じるのかも。

ーあなたの人生でいちばん大切なものは何ですか？

自分をないがしろにしないこと。自分の心にしっかり向き合う事。私は、子供を亡くしたの。当時は辛くて苦しくて、体は停止しているのに常に混乱していた。スピリチュアルなことを言っている訳ではないんだけれど、自分の気持ちってよく考えてみないとわからない事って結構あると思う。何が苦しいのか、子を救い、自分を慰めるものは何なのか、全くわからなかったのよ。人のせいにしてしまったりね。なぜ悲しいのかとか、本当はどうしていきたかったのかとか、細かな部分で納得するためには時間をかけてじっくり自分と話し合わないとわからないのね。わたしは、そのわからなくて、後悔や不安感がある状態が一番つらかった。解決したわけでも、戻ってくるわけでもないけれど、それでも私は生きていて、だんだん自分の内側に耳を澄ませることができるようになってきた。そして、これからは自分の最善の幸せな選択ができると信じているわ。

ーあなたの国の人々は幸福度が高いと思いますか？

どこの国と比べて、というのはわからないけれど、幸せな国民だと思うわ。以前、インターネットで見たのだけれど、今後世界大戦が起きても、マルタは影響しないだろうと言われているそうなの。中東に近いから、何らかの影響はあるかもしれないけれど、あまりに国が小さいからミサイルが飛んでくるような事はないから。日本は、核ミサイルが落ちたことがあるでしょう、とても痛ましいことだわ。他人同士が無差別に争うなんてばかげてる。国同士がやりあったって、傷づくのは個人。それぞれ生活があって、人生がある。それでも今、日本が立派な国として成り立っているのは素晴らしいわ。争いがなく、平和な世の中に生きることが、当然幸せなのよね。

ーあなたの国の幸福度を上げているもの、下げているものは何ですか？

幸福度を上げているものも、下げているものもおなじ。マルタにとってはアフリカからの難民問題かしらね。彼らがマルタで仕事をしてくれて助かっている部分もあるわ。ただ、間違いなく治安も悪くなっているし、文化が混在することによっての弊害も起きている。人種なんて隔てたくないし、人間が不幸の元のような言い方はしたくないけれど。でも、これらの問題は法を整備したり、改善の余地はたくさんあると思うわ。みんなに平等に、幸せが来るといいわね。