「あなたの幸福度は何%ですか」

世界幸福度調査～フランス人編～

世界で一番オシャレなのはどこの国でしょう？　質問自体が漠然としていますが、フランスかな～と思う方もきっと多いはず。筆者も、訪問する前もした後も、やっぱりフランスはおしゃれな国だな、とつくづく感じました。日本の雑貨屋さんでも、エッフェル塔の小物なんかオシャレアイテムとして置いてあって、日本人からみると東京タワーの置物のようなものなのに、どうしてカッコよく見えるのだろう、と不思議に思います。（個人的には東京タワーもノスタルジックな渋さが好きです）それぞれのデザインの部分もありますが、エッフェル塔はフランス人にとっても文化的に歴史的に自慢のもので、東京タワーはどうしても修学旅行の土産物感があるからでしょうか。結局はそのもの、というよりも人々が作り上げた印象でオシャレかどうかが問われるのかもしれませんね。フランス人の肩ひじ張っていないのにどこか自分に自信があるかんじ。それが全く嫌味ではなくて、素敵だなと憧れてしまいます。生活におけるポイント、ファッションにおけるポイント、人生におけるポイント、すべてのポイントが的確で他人の意見にブレない感じが、カッコいいのでしょう。さて、今回はそんなオシャレな国フランスで料理人をしている、マテューです。彼の作るフランス料理は、都会的で美しいのですが、どことなく家庭的。否定的な意味でなく、緊張せずおいしく食べられる、彼の人柄を現したような料理です。さて、素敵な国に住む彼は何を思い、何を感じているのでしょうか。

マテュー/男性/39歳/フランス人

ーあなたはどのくらい幸せですか(100%のうち何%幸せか教えてください）

90％

ーあなたを自分が幸せと思わせるものは何ですか？

僕がレストランの料理人で、この店で出る料理は僕の作品って扱われるんだけど、実際はそうじゃないんだ。野菜ひとつひとつだって製作者が愛情を持っている。料理に使うチーズやお酒とか、そういうものだって職人たちが丁寧に作品として作っているんだ。製品を見ると、どれだけこだわりを持って、仕事をしているのかわかるよ。僕の料理はそういったプロ意識の高い生産者たちに支えられているんだ。だから、素晴らしい材料に出会うと幸せに感じる。これをどう調理しようか。お客さんたちがもっと喜ぶように調理しなきゃなってね。休日もついつい料理に使う物を探してしまうんだ。僕のパートナーは少しあきれているよ。良い材料を見つけるとあなたはとても愛おしそうにするのね。私といる時よりわくわくした顔をしてる、ってね。

ーあなたの人生でいちばん大切なものは何ですか？

今まで大切に気づき上げてきたレシピ。もちろんそれがなくても、自分の腕さえあれば料理は作れるし、逆に他人が僕のレシピを盗んだとしても、同じ料理は作れないけどね。レシピと一言で言っても、実際のノートの事だけではないんだ。その料理を作るにあたって出会った人たちや、僕の努力、その時に起きた出来事とか、そういった歴史も含めたものがレシピに込められている。僕自身といっても過言ではないよ。料理の師匠や、幼いころ育ててくれた祖母の味や技をもらって、僕なりにアレンジしてできている。これからもレシピは進化していくだろうし、次の誰かに伝えていきたいものだね。料理は僕の生きがいだから。

ーあなたの国の人々は幸福度が高いと思いますか？

幸福度は高いだろう。人生を楽しんでいる人ばかりさ。僕も仕事柄他の国の人と話すことが多いのだけれど、おしゃれで文化的で、女性にも優しくて、みんなフランスにどこか憧れている雰囲気を感じるんだ。フランス人が言うのもなんだけれど。でも、実際はそんなことはないよ、近隣国と同じように、失業率や不況にも悩まされている。でも、ひとりひとり自分らしい幸せを追求するのに貪欲なだけ。シンプルなんだ。

ーあなたの国の幸福度を上げているもの、下げているものは何ですか？

幸福度を上げているものは、さっきも言った通り国民の意識の問題かな。新しい物好きなところももあるけれど、古き良きものを大切にしたいという意見もあったり、フランス人にはいろんな面がある。だからこそ議論をするのが好きだし、不平不満は多いけれど、より良くなろうっていう意識は高いんじゃないかな。新しい大統領には期待していたけれど、今はまだいい結果は出していないね。革新的なことをしてくれるといいけれど。

幸福度を下げているのはいまは移民問題かな。みんながみんな悪い人じゃない事は理解してるし、本当に困ってフランスに頼ってきている難民も多いのだろうけど、やっぱり治安が悪くなったり、テロが起きるのは怖いよ。フランス人がそういった過激な宗教組織に影響されてしまうのも、怖い。思想は自由でいいけれど、なぜ他人に危害を与えるという発想になるのだろう。