ミサコ・ロックスさんから学ぶアメリカ成功術
「就職活動はない!?ひらすら売り込みの毎日」

アメリカの出版界で成功した日本人漫画家から学ぶ、夢のつかみ方!ー法政大学講演会より

 

でも私は漫画の学校を出ているわけではないし、全部独学ですよ。日本の漫画とアメリカンコミックスを山のように借りて、それを教科書として2年間くらい頑張って漫画を描きました。でも、書いたところで世に出さないと誰にも見てもらえないじゃないですか。それで何をしたかというとサンプル本を作って売り込もうと、登場人物の紹介とかストーリーをまとめた50ページくらいのプレゼンブック作って。ネットで調べたら東海岸にたくさん出版社があることが分かって、売り込みの電話をしました。

 

電話でモジモジっとした話し方をしたらダメですよ。こちらの姿が見えなくても、相手に自信がないのが伝わってしまいますから。だから私がどうしたかというと、電話の前に手鏡を置いて笑いながらポジティブに話しました。「ハロー! 私はこういう者です。会ってお話がしたいのですが、10分だけお時間いただけますか?」と。
ポイントは“いかに分かりやすく完結に話すか”ということです。だって相手はすぐにミーティングに行ってしまうかもしれないですし、とにかく短く分かりやすく話す練習をしました。それが功を奏して「来ていいよ、10分くらいならどうぞ」と、チャンスを得ることができました。

 

私はそんな交渉を何回もしました。
ちょうどその頃、ビザの関係でアメリカに留まれるかどうかの瀬戸際だったので、どうしてもチャンスをものにしないといけなかったんです。

 

【必死の売り込みでみた、アメリカの就職事情】

 

アメリカって就職活動がありません。日本みたいにリクルートスーツを着て面接を受けてというのが、全くない。じゃあ何をしたらいいかというとインターンシップやボランティア活動など、学生時代の夏休みにどれくらい課外活動をしていたかというのが重要です。

 

アメリカの企業は新人を必要としていません。必要なのは即戦力です。企業に入る前に自分で時間を作って努力しなくちゃいけないという文化があります。

 

私はその文化を活かそうと思い、売り込みをする前に2年間くらい漫画を勉強しましたし、ツテもコネもない出版界でネットワークを作るため、アポイントを断られても電話しまくって。
なんとか会ってもらって批判を受ける日々を続けました。批判を受けるってキツイですよ、ものすごく。「これダメ、あれダメ」って言われると、まるで自分をまるごと否定されたような気になるじゃないですか。そこで落ち込んだりもしましたが「私のために言ってくれている」という考えに切り替えて、ダメだしされても「頑張ろう、頑張ろう!」と前向きに売り込みを続けました。

 

その頃の私は、家庭内別居もしていたし心情的に本当にしんどくて。でも「未来に希望はある」と信じて、売込みを続けて。それでどうにか売る込みをはじめて2年後くらいにデビューが決まりました!

 

いかがでしたか? マイケル・J・フォックスへの憧れからはじまり、努力と行動力でコミック・アーティストとしてデビューしたミサコさん。そのたくましいマインドには脱帽です! 将来は海外で働いてみたいと思う方は、ミサコさんの経験を是非参考にしてくださいね!

 

★ミサコ・ロックスさん②では、アメリカの出版事情について詳しくご紹介します。 お楽しみに〜!

 

●プロフィール/ミサコ・ロックス

コミック・アーティスト。NY在住。法政大学在学中に奨学金派遣留学で渡米。卒業後、単身アメリカに渡り人形師、中学校の美術講師などを経て漫画家に転身。
著書『Rock and Roll Love』がNY公立図書館ベスト・ティーンズ・ブックの1冊に選ばれる。雑誌DFCの連載作品 『Peach de Punch!』がアジア向けの英語教科書に採用。
NHK、BBCのテレビドキュメンタリーに出演後、雑誌日経ウーマンのウーマン・オブ・ザ・イヤーの1人に選ばれる。全米各地で講演会やワークショップにも力を注ぎ、世界で活躍を広げている。
2013年に、初の大人女子向けコミックエッセイ『もうガイジンにしました(ディスカヴァ21)』が発売。外国人彼のゲットの仕方に失敗・成功談、そしてミサコさんの波乱万丈人生も掲載、実践的な恋愛テクが学べると話題をよんでいます!

 

●ミサコさんのホームページ:
http://misakorocks.com/
●ミサコさんFacebook:
https://www.facebook.com/misakorocks

 

取材・文/甲斐真理愛(編集部)


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