八田流英会話道場:第二回
常にアクセントの強弱を意識せよ!

空手の型のように英会話をマスターしよう!

外国人にとっては、同じ日本人が話す英語でも、関東の人間よりも関西の人間が話す英語のほうがわかりやすいという。これは関西圏の人間が「アクセントの強弱をつける会話」に慣れているからだといえよう。同じように、音楽を職業にしている人は、英語のヒアリング能力が高い傾向にある。これは、英語という言語が、スペルよりもアクセントに比重を置いた言語であり、はっきりとした母音で構成された日本語とは、明らかに質が違うということだ。
日本語は書き言葉と話し言葉が近いし、受験英語は筆記が必須。しかも効率のいい記憶は“書くこと”がとても重要なので、「英語の勉強」といえば“書くこと”を重視しがちだ。しかし、英会話を上達させるには、まず、その意識を変えなくてはいけない。それぞれの単語の強弱“アクセント”を常に意識することが大切なのだ!

 

●アクセントのポイント

 

★イントネーションはアクセントポイントでつける。

イントネーションは感情表現のポイントなので、その都度強調する単語やフレーズが違ってくる。イントネーションでの強調ポイントは、その単語全体ではなく単語のアクセントポイントを強調する事だ。

 

アクセントポイントは「強く言うところ」で、これを意識して会話する。
アクセントポイントは、必ずaeiouの母音にくる。このポイントで、きちんとアクセントをつけるかどうかで外国人への単語の伝わり方には驚くほど差が出る。新しい言葉を覚えるときは、必ず耳で発音を聞いて、口に出して覚えよう。
覚えるには、発音機能がついた電子辞書が最適だ。

 

★発音しない部分を意識する。

アクセントにきちんとメリハリをつければ、実は発音をしないくらいでも相手に伝わる。たとえば、Americanリケン、ticketティケッ、stopはストッなどだ。これらは、赤字の部分を強調していれば大丈夫だ。もちろん、強調だけでなく、弱く言う部分も意識したほうがネイティブには伝わりやすい。例えば‘milk’と発音する際も、‘mi’を強く‘lk’は弱く発音すると分かって貰える場合が多い。

 

★発音の際は口の形を意識する

RとL、Sとth、BとVなど、口の形を意識すると格段に伝わりやすくなる発音がある。特に「R、th、V」の3つの発音は、日本語にない発音なので日本人には発音しにくく、聞き取りにくい。昔から日本人がマスターしにくいところなので、義務教育のなかでも言及されるほどだ。

 

これらは、カタカナ表記をしたときに同じ表記になりがちなので、文字情報に引きずられないように、本来の音を記憶しよう。それぞれの音を使いこなすにはコツがあるので、何度も声を出して練習をするのが一番だ。

 

<発音の例>

Lの発音LoveLeafLookLakeLockなど、ほぼカタカナのラリルレロ
(※日本語にある)

 

Rの発音carradioなど、アとエの中間音が入っている感覚。口を緩めて発音する
(※日本語にない)

 

Sの発音、Sundayshespecialsetsoなどほぼカタカナのサシスセソ
(※日本語にある)

 

thの発音thatthirdthoughなど、サ、ザ ツ ヅ などに近い音。下を上下の歯で挟むように発音する
(※日本語にない)

 

Bの発音bandbeanbootsbaseballなど、ほぼカタカナのバビブベボ
(※日本語にある)

 

Vの発音vehicleveryなど、破裂音であることが顕著。下唇をかむようにして発音させる。
(※日本語にない)

 

以上の発音をマスターできればよいが、もし完全に発音できなくても、単語全体のアクセントを意識すると伝わりやすくなる。例えば、LVの苦手な発音が二つも含まれている‘love’などは、‘lo’に強いアクセントを置くと、欧米人の耳には後の‘ve’が聞こえて来るのだ。

 

なお、単語には伝わりにくいものもある。たとえば、“raw”(生の)、“low”(低い)、“law”(法)などだ。これらはカタカナ表記にしたときに同じ単語が多く、どれも単語自体が短いうえに、日常的に使われる単語であるところがややこしい。

 

どうしても、単語が伝わらなかった場合、その単語だけを繰り返しても相手には伝わりにくいので、 文章にして説明しなおすのがポイントだ。rawが伝わらなかった場合、no boil (ゆでない)やuncooked(調理していない)などの違う表現を考えて話そう。

 

【英語こぼれ話】ヨーロピアンが使う他言語コミュニケーションのワザ

日本人にとって「RthV」の発音が苦手なように、同じ欧米人といえど、母国語が異なると、定番の苦手な発音がある。例えば、ドイツ語には‘th’サウンドがなく‘S’のみなので、ドイツ人は‘Thank you’が‘センキュー’よりも‘サンキュー’に近い発音となる。また、フランス語とスペイン語は‘h’を発音しないのでハ行が苦手などだ。
このように、どこの国の人にも得意、不得意な発音があるものだが、ヨーロッパの人たちは他言語同士のコミュニケーションに慣れているので、微妙に誤解が起こる可能性を察知すると ‘I love it. I mean, ‘L’‘O’‘V’‘E’というようにスペルに分解して説明するなど、上手にコミュニケーションをとる。これはぜひとも見習いたい。

 

初回のイントネーションに続き、今回はアクセントについて言及した。この2つは英会話をするうえで、常に意識しておいたほうがよい基礎的なことだ。これらを確実に習得するために、次回からは実践的な例文をもとに、“型”を作り上げていく!

 

八田信男プロフィール

高校生のときから英語に興味を持ち、米軍キャンプに出入りをする。しかし、受験英語と実践の差に愕然とし、その後、生きた英語を学ぶために米国へ留学。シリコンバレーでビジネスマンとして活躍し、コミュニケーションスキルを磨き続ける。現在は第一線を退くも、責任のある立場を兼任。自らが体得した英語によるコミュニケーションのノウハウを広く伝えるべく、八田流英会話道場を設立する。

 

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文/八田流英会話道場当主・八田信男


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