今注目のユーチューバー
Sharla(シャーラ)さんインタビュー

日本の自動販売機すごい!!」「日本のピザは海外に比べてどうでしょう?」など、外国人の視点で日本の文化やライフスタイルを発信するYouTube番組『Sharla in Japan』を運営するSharla(シャーラ)さん。13歳で日本語を勉強しはじめ、17歳で初来日。その後、岩手県でワーキングホリデーや留学の経験を経て、2011年に再来日。再来日の理由は、岩手を含む東北を大津波が襲った東日本大震災でした。「2011年に日本に来た理由」という動画の中で、「もし地震がまた起こるなら二度と遠くから観たくない」とコメントするほど日本を愛してくれるカナダ人の大人気YouTuber(ユーチューバー)シャーラさんに、来日までの経緯やYouTube番組についてたっぷりお話を伺いました。

 

◆プロフィール

Sharla(シャーラ)
カナダのビクトリア出身。
17歳の時に初めて来日。岩手県で2年間のワーキングホリデーや留学を経験した後、東日本大震災に衝撃を受け、2011年9月に再来日。日本の大学に編入し2014年9月、卒業予定。在学中にスタートした「日本の自動販売機すごい!!」「日本のピザは海外に比べてどうでしょう?」など、外国人の視点で日本の文化やライフスタイルを発信するYouTube番組『Sharla in Japan』が日本をはじめ海外からも多くのビューを集めている。

 

 

——日本に興味を持った理由&留学に来た経緯を教えてください。

 

初めて日本語を勉強したのは、13歳の時です。当時、語学の授業で英語、フランス語を選択していたのですが、第3外国語を選ばなくてはならなくて、なんとなくおもしろそうだなと思い、日本語を選択しました。そこからカナダで2年間日本語を勉強したのですが、勉強するうちに日本語がすごく好きになって、17歳の時に初めて日本の岩手に来て2週間ホームステイをしました。その時仲良くなった友達とカナダに帰ってからも手紙の交換やチャットをして、夏休みなどの長い休みには必ず友達に会いに日本を訪れました。その後、ワーキングホリデーのビザをとり、1年間岩手のあちこちの学校で英語を教えました。日本の文化を勉強していたので、文化活動に関するビザを取得して計2年岩手に住んでいました。そしてまたカナダに帰り、大学に進学したのですが、2011年の東日本大震災があって、岩手にたくさん友達がいたので、とても心配になってカナダの大学での学期が終わった直後の9月に日本に来ました。その後、日本の大学に編入して、今度の9月で卒業になります。

 

——日本の文化も好きですか?

 

演歌と津軽三味線がすごく好きです。吉田兄弟という津軽三味線をやっている人達を知ってそこから吉田兄弟に興味をもって、そこから演歌が好きになりました。演歌はとってもかっこいいと思います。

 

——「日本とカナダのここが違う、ここが好き、ここが嫌い」などはありますか?

 

まず日本は接客が素晴らしいと思います。例えば、お店に行って、安いものを買ってもちゃんときれいにラッピングをしてくれて、お客さんへの対応がとても丁寧です。カナダは逆ですね。どちらかというとお客さんの方が店員さんに気を使うので。英語では「リバースカルチャーショック」と呼ぶのですが、母国に帰って逆にびっくりしてカルチャーショックを感じることが少なくないです。また、街がすごくきれいで、道にゴミが落ちていないというのがいいですね。こんなに人が多くてなんでこんなにきれいなのかすごく不思議です。あとやはり、なんでも便利ですね。24時間開いているコンビニがあるし、電車も便利で。カナダはだいたい17時、18時にはお店が閉まってしまうので。

 

日本の文化であまり、好きではないのが、日本人は考えていることをはっきり言わないこと。ビジネスでもプライベートでも相手が本当は何を考えているのかをすごく考えなければならないので、私たち外国人にとってはコミュニケーションが難しいことがあります。

 

——なぜYouTube番組をはじめられたのですか?

 

最初は日本語の勉強のために始めました。ワーキングホリデーで2年間日本に滞在してから2011年9月に戻るまでカナダに長くいたので、日本語を使う機会がなく、日本語が話せなくなってしまって。他に在日カナダ人で有名なYouTuberのミカエラさんや在日ニュージーランド人のミメイさんのプログラムは、カナダにいた時からずっと観ていて、わたしも日本語をブラッシュアップするためにやってみようかなと思ったんです。YouTubeを始めた当初は全て日本語で、英語の字幕なしでやっていました。「こんにちは。シャーラと申します。カナダから来て、日本語を勉強しています」と、すごく慣れない感じで恥ずかしくて、最初はやっぱりとても怖かったです。今は全然慣れて大丈夫ですね。最初の頃のビデオは、恥ずかしいので消そうかなとも思っているんですけど、視聴者の人が今のビデオと比べて「日本語がすごく上達したね」って言ってくれてるのがうれしいので残そうかなーって迷っています。

 

——学校生活と忙しい中でも、YouTube番組をアップし続けるモチベーションはなんですか?

 

大学の勉強もあるので、ビデオはだいたい週に1回アップしています。番組を作る中で一番大変なのは動画の編集と字幕の作成です。ビデオの中では英語を話して日本語の字幕を入れているのですが、完璧に仕上げようとすると8時間くらいかかってしまいます。でも、この作業がわたしにとってはすごく日本語の勉強になっていると思います。また、YouTube番組の配信を通して、何年も前から観ていたYouTuberのミカエラさんやミメイさんとも友達になったので、みんなで動画を撮影したり、YouTuber同士の集まるのがすごく楽しいです。春に代々木公園で行った花見ではファンの人たちにもたくさん会えて、みんな優しくて、とってもうれしかったです。日本語の勉強や、YouTuberを通した人との出会い、仲間ができることがYouTube番組をアップし続けるモチベーションになっていると思います。

 

——日本の文化を発信されているシャーラさんですが、各動画のトピックなどはどのように探されていますか?

 

特に自分から探しにいこうということはなく、友達と一緒に買い物している時や生活の中で、自分が「これ、おもしろいな」と感じたことをテーマにして、思いついたものをその時々にやっています。そっちの方が自然でいいかなと思っているので、動画作成において構成を考えたりシナリオを書いたりということはほとんどしません。でも時々は書かないといけないですね。例えば、これから地震が起きたときにどう対処したらいいのかという動画をつくろうかと思っているのですが、そういった場合は正確な情報を伝えていかなければならないので下調べやきちんと構成をつくることが大切だと思います。自分自身も地震に関してはきちんとした知識があるわけではないので、Facebookで視聴者の人たちに聞いたら、すごくたくさんのリプライを頂きました。それをすべて英語にして動画にしたいなと思っています。学校を卒業して、時間に余裕ができたらそういったものも作りたいなと思っています。

 

——YouTubeをやっていて将来的なビジョンなどはありますか?

 

海外の人に、もっと日本に興味をもって欲しいと思っています。アニメとマンガが人気ですが、お祭りとか自動販売機とか、多くの人が知らないけど、私がすごくいいと思うものをどんどん紹介していきたいなと思っています。また、先ほどいったような演歌とか三味線などの昔の文化とかも興味もって欲しいなと思っています。

 

——日本人の英語力についてどう思いますか。

 

書くことや読むことはすごく上手で、語彙がたくさんあって驚いてしまう人もいるんですけど、やっぱり会話は難しいという人が多いですね。自信がないから話せないのかな? 一番大事なことは話すことだと思うので、そこはもったいないですよね。これからオリンピックが来るので、日本人の英会話に対するモチベーションを上げるいい機会になると思います。また、日本には英会話スクールなどがたくさんあるので、そういったところに通えば、会話はうまくなると思います。私自身、映画を観て、音楽を聞いて、人と話して日本語を覚えたので、そういったことが大切だと思います。また私の番組を観てくれている日本人の人から「勉強になっているよ」ってコメントがくることがあるのですが、それはすごくうれしいです。

 

——今のシャーラさんのYouTubeプログラムを使った英語のおすすめの勉強法などはありますか?

 

わたしはYouTube番組の中では英語で話して、日本語の字幕をつけているんですけど、最初はまず字幕を見ないで私が英語で話していることを聞いて、どのくらい理解できるかを自分で試し、分からないところを字幕でチェックして、「この単語はこういう意味なんだと」確認しながら観ることをおすすめします。
YouTubeだから何回もポーズ(停止)をすることができると思うので、映画よりは、確認しながら勉強するといったことがやりやすいと思います。また、ビデオの中で私が話す英語は、実際カナダやアメリカで使われるカジュアルでタイムリーな日常フレーズが多いので、すごく役にたつと思いますよ。私が喋ったことを繰り返して喋る、シャドウィングもすごくおすすめです。私はが英語の教師をしていた時に、シャドィングを何度も繰り返して、すごく英語がうまくなった生徒がたくさんいました。また、シャドウィングで読み上げたものを何度も携帯などで録音して、ログをつけていくと上達がすごくよく分かります。わたしのYouTubeを見て、わたしが喋ったことを真似して喋ってみて、それを録音してみてください。

 

——最後に将来的に日本でやっていきたいことを教えてください。

 

翻訳がすごく好きで、アニメや映画の字幕づくりとかをやってみたいと思っています。浅野忠信さんの大ファンなので、彼の映画の字幕ができたらすごく幸せです。

 

撮影/さいとうよしかず 取材・文/高石真帆(編集部)

 


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