ホストファミリーが体験して見つけた
ホームステイ受け入れ10のルール

文化の違い・トラブル・お国柄
など貴重な経験談は必読です!

ホームステイや留学経験者なら一度は考える、自分がホストファミリーになること。世界各国から留学生を受け入れてきたベテランホストファミリーに、トラブルを防ぐために注意すること、費用、英語力、食事、文化の違いなどの経験談と、普段実行していることを伺いました。

ホームステイの受け入れを考えている人、必読です。

 

いい子なのはやっぱり最初だけ?

1.最初の1ヵ月はハネムーン月と考える

 

高校生のホームステイで実行していることとは?

2.旅行じゃないからハウスルールはやっぱり必要

 

鳩を素手で捕まえる!?

3.文化の違いに驚きつつも楽しむこと

 

飲酒は10代から、ローファーは女の子のもの?

4.日本では当たり前のことも彼らには異文化

 

留学生と言う名のベビーシッター?

5.小さい子どものいる家庭は子守代わりにしない

 

まだ日本語が上手じゃない時期はどう乗り切る?

6.必ずしも英語は話せなくても大丈夫

 

異なる食文化の子どもたちに何を用意したらいい?

7.食事を作る時間のない時は臨機応変に

 

10代の子どもたち、トラブルはやっぱりあるの?

8.必ずどの子も何らかのトラブルを起こすと考える

 

ホストとして特別なことはしているの?

9.旅館や温泉を一緒に訪れ日本の文化を体験

 

ホストファミリーになってよかったことは?

10.留学生が帰国した後も交流は続く

 

 

1. 最初の1ヵ月はハネムーン月と考える

最初の1ヵ月はハネムーン月。「お手伝いしましょうか?」と言ってみたり、嫌いな食べ物でも食べてみたり、いいところを見せようとします。でもどこの国の子も大体1ヵ月を過ぎると「これは食べない。」とはっきり言うようになります。
ここは日本人の子どもと比較すると、はっきり主張する印象です。

 

 

2.旅行じゃないからハウスルールはやっぱり必要

受け入れている年齢は主に高校生。国も文化も違うのでハウスルールは必須です。
実際わが家で実行しているルールを紹介します。ハウスルールを決める時、参考にしてみてはいかがでしょう。

 

▶ 「おはよう」「おやすみなさい」「いってきます」「ただいま」の挨拶をする

▶ 可能な限り一緒に食卓を囲む

▶ 食後は自分の食器は自分で下げる

▶ お弁当箱は自分で洗う
※洗ってないと次は作らないと伝えています

▶ 1人で外出する時は、帰宅時間を確認し、時間を守る
※この時食事を外で食べるのか家に帰って食べるのかを確認します

▶ 朝は自分で起床する

▶ 夜中12時以降は大声を出さない
※Skypeで友人とふざけながら大声で喋る子どもや、大声で歌を歌った子どももいました

 

3.文化の違いに驚きつつも楽しむこと

文化の違いや家庭の方針、本人の性格でいろいろ違いは出てくるので参考になるかわかりませんが、わが家で見た各国の子どもたちの思い出深いエピソードをご紹介します。
留学生を通じて相手の国のことを知ることや、逆に留学生たちには日本をこんなふうに見ているのだ、ということがわかります。

 

【フィリピン】

カソリックの国なので礼儀正しく、自制心があり模範生でした。しかし別の日、短期で受け入れたフィリピン人はまったく逆で活発な子どもだったので、同じ国でこうも違うのだ、とお国柄だけではないということを再確認しました。

 

【中国】

一人っ子政策の影響か、自己主張がはっきりしていてわがままでした。しかしその一方で目上の人や親を尊重する儒教の教えらしい部分を感じました。
現在、彼は日本の大学にいて、時々遊びに来ますが、考え方などがだんだん日本人のようになってきて、最初の頃が懐かしく思えます。

 

【グアテマラ】

教室に飛び込んできた鳩を素手で捕まえたことがあり、野生的な感じでした。
夏の終わりに来日したので、冬に向けて寒がるのではと心配しましたが、冬の間も薄着だったりシャワーは水にしていたりと、一貫して自分の国での習慣を変えたがりませんでした。
ホームステイの目的はあくまで異文化交流なので、お国柄も尊重しながら留学生を通じて相手の国のことを知ることもまた醍醐味なのだと考えました。

 

【ハンガリー】

和装の人を見かけるたびに「ゲイシャ」と言っていたので、芸者の知名度は高いものの、あまり良く知られていないのだと教えられました。
当時はやんちゃで手がかかりましたが、20歳になって再び夏休みにわが家を訪れ2ヵ月滞在しました。成長した姿が見られることも、ホストファミリーとしてうれしいできごとです。

 

【チェコ】

日本も韓国もベトナムもひとくくりに遠いアジアの国として捉えているようでした。 韓国のKポップが大好きで韓国にもすごく興味があり、韓国の芸能は日本ばかりでなく、いろんな国で人気があることを知りました。

 

4.日本人には当たり前のことも彼らには異文化

ヨーロッパなど、国によっては18歳で成人になり、飲酒ができる国もあります。そのような国の子どもが来たときに、「焼酎は蒸留酒なので何となく想像できるけど、お米から作られている日本酒の味の想像ができないから味見したい」と言われて、日本の法律では20歳からなので飲ませられないことを説明して納得してもらいました。

また、留学生の通う高校の校則が厳しく靴の指定があった時に、「自国ではローファーは女の子が履くものだから嫌だ」とか、「日本のタレントの髪型を真似したい」と前髪を伸ばしていたら頭髪検査で注意されたことがあり、説明したこともありました。

私たち日本人が日頃当たり前と考えていることでも、彼らにしてみれば大変な異文化です。そしてこちらも彼らからお国柄や小さな文化の違いを知ることができました。

 

5.小さい子どものいる家庭は子守代わりにしない

わが家では下の子どもが1歳半の時にホストファミリーを始めましたが、留学生にとってペットに近い存在というか、まだ言葉があまり通じない時には気持ちがなごむという良さがあります。
今わが家には犬がいますが、最近、アメリカから来た子も来日して日が浅いうちは緊張がほぐれるような効果があると思います。

小さなお子さんがいる家庭では、まれにホストファミリーになる主な動機として、英語の学習目的や、ほとんど子守代わりに考えているところもあるようですが、それはちょっと違うのではと思います。
私の所属しているAFS日本協会では異文化交流することが目的で、彼らは日本の文化を学び日本語も学習しに来ているので、そういったケースでは実際留学生から不満が出ることもありました。

その一方で、ホストマザーの出産を経験し、身重のホストマザーを助けるべく留学生が自主的に他の子どもを面倒見てくれて、家族同様に過ごしたケースもあります。
あくまでも国際交流を目的とすれば、お互いにいい経験になると思います。

 

6.必ずしも英語は話せなくても大丈夫

わが家に英語がペラペラ話せる人はいません。私がかろうじて中学生レベルの英語を使って何とか意思疎通ができるという程度で、毎朝NHKラジオで「基礎英語3」と「英会話入門」を聞いています。

英会話力よりもまず、相手が何を言いたいのか想像する力推理する力が大事だと思いました。英語力については極端な話、単語の羅列でも何とかなります。

 

7.食事を作る時間のない時は臨機応変に

朝はお弁当を作るために5時起床です。時間がないので、あらかじめ明日の朝ごはんは何にするのかを聞いておき、自分で好きなようにできる準備をしておきます。朝からお米のごはんの留学生もいますが、パンがあればほとんど問題ないのでパンは切らさないようにしています。

今まで受け入れた留学生はフィリピン、中国、グアテマラ、ハンガリー、チェコといろんな国の子どもがいますが、だいたいパンに目玉焼きやチーズなど、好きなものを組み合わせて食べています。

また、ホスト側に用事があり昼食の用意ができない時はカップラーメンでもいいか尋ね、臨機応変に対応してもらいます。

わが家では、留学生が家に来る初日は日本のカレーと何かデザート1品と決めています。時々後からカレーは嫌いだった、と言ってくる子もいますが、高校生の彼らにはおおむね好評です。

 

8.必ずどの子も何らかのトラブルを起こすと考える

必ずどの子もいろいろ問題は起こします。ですからその都度トラブルを楽しいこと、と思うようにしています。その時は正直腹立たしいこともあるのですが、時間が経つとそれも含めていい思い出になります。

腹が立つ時や、迷惑をかけられた時は、もし自分の子が高校生で、まったく言葉の通じない国に1人で留学したらと想像すると、迷惑かけるだろうなと想像します。そうすることで、1人で異国に来ている留学生の勇気に敬服もできるのと、頑張っているんだなあと思えるようになりました。

 

9.旅館や温泉を一緒に訪れ日本の文化を体験

わが家ではすべてボランティアで受け入れています。お小遣いなどは留学生の負担ですが、食費、光熱費などはホスト側の負担です。
留学生と一緒に行動する時の宿泊費や交通費など、費用はすべて負担します。

例えば3年ほど前、娘の結婚式が仙台であったので、いい経験になると考えたこともあり、出席させたことがありました。
また、わが家では、ひとつの異文化体験として、滞在した留学生を必ず旅館と温泉旅行に連れて行きます。この時の費用はこちらで負担しています。 

 

10.留学生が帰国した後も交流は続く

ホストファミリー側からすると滞在期間10ヵ月はとても長いと思うかもしれません。しかし、留学生にとっては、多感な青春時代のわずか1年足らずの留学体験がその後の人生を変えるほどの経験になります。

わが家ではゲストブックを用意して、みんなにひとことメッセージを残してもらっていますが、そこに「ありがとう」と書かれていると一番うれしくて、ゲストブックは宝物です。

また、国に帰ってもSkypeで顔を見ながらおしゃべりしたり、Facebookなどで慕ってくれる言葉、態度に接すると、世界中に息子や娘ができたうれしさと、日本を愛してくれる気持ちなどに、やりがい、生きがいを感じます。
実際、手を焼いた子どもほど、またこの家に戻ってくると約束して国に帰った彼らが、本当にまた訪ねてくれていることも、家族にとって財産のひとつです。

さらに、留学生の国に招かれ、実際に中国とフィリピンを訪れて家族とも交流しました。これからも留学生の国を訪れたいと思います。
このように、今まで知らなかった国のことを知り、興味を持つことができることも、ホストファミリーになったからこそだと思います。

 

 

 

お話を伺ったのは 長谷川葉子さん (広島県)

自らが海外留学したいという希望を持ちながらも、当時1ドル360円だったことから夢で終わった経験や、平和のために何ができるか考えて、世界中の若者に広島に来て平和のありがたさや原爆の悲惨さを知って欲しい、などの理由からホストファミリーとなる。AFS日本協会の広島支部のボランティアとして、受入生や海外への派遣生のサポートもしていて、今までに受け入れた留学生や外国人は以下のとおり

短期ステイ(1泊~1週間)15歳~74歳…1988年から27人

長期ステイ(6ヵ月~10ヵ月)16歳~18歳…2008年から5人、今6人目

 

 

AFS日本協会とは

正式名称は、公益財団法人AFS日本協会。特定の政治・宗教に偏らない非営利組織でボランティア組織。国際本部をニューヨークに置き、現在、AFSの加盟国は50ヵ国以上、交流国は約100ヵ国に及ぶ。日本では1954年に初めて8人の留学生をアメリカに派遣して以来、留学・国際交流の活動を行っている。現在では日本全国77の支部で留学生の受け入れ、派遣、各種交流活動を行っている

 


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