高校レベルの英語、仕事で必要だし
何とかしたい! 辛酸なめ子さん

英語学習の実態をレポートした
『なめ単』の裏側聞きました

英語難民を脱出すべく、42もの英語学習法に挑戦し、その体験を1冊にまとめた話題の爆笑エッセイ集『なめ単』の著者、辛酸なめ子さんに直撃インタビュー。衝撃的(!)な学習方法から実際に役に立つと感じた学習法までお聞きしました。

 

__出版おめでとうございます。この『なめ単』の企画に挑戦するきっかけは何だったんですか?

 

英語に関しては、強いコンプレックスが昔からあって…。学生時代からあんなに勉強したのに、ぜんぜんできない、これはどうにかしたい、っていう漠然とした思いがあって…。過去にも教材に挑戦したり英会話教室に通ったりしたのですが、その度に挫折を繰り返していました。
そこに、ちょうどこのお仕事の話がきて、それならどうしたら英語の勉強が続くのか、何をすれば英会話が身につくのか、いろんな学習法を体験してみよう、ということになって、この本ができました。

 

 


__漫画家さんなら英語を話す必要って特にないんじゃないかと思うんですが…

 

そうですね。私の場合、ときどき映画の公開に合わせて来日する、ハリウッドセレブの方々のインタビューに立ち会う機会があるので、もっと場を和ませるような冗談とか言えるようになりたい、とそのたびに実感しています。あとはこちらからの質問だけじゃなく、相手の返答に対する“返し”ができない、聞きっぱなしになってしまうので、それも何とかしたいとも思います。それにネットで情報を調べている時にも、英語ができないと分からないこともたくさんあるので、やっぱりできるといいな、と思いますね。

 

 

__『なめ単』にはたくさんの英語学習法が掲載されていますが、実際に英会話で効果があったと感じたのはどの学習法でしたか?

 

強烈な体験がいくつもあったんですが…。その中でも気軽にできておすすめなのがSkypeの英会話です。その時たまたま担当だったのが、フィリピンの英会話学校の先生だったんですが、私が「ブリトニー・スピアーズが好きだ」という話をしたら、「今ここで歌え」とか言ってきて、ネットで検索した歌詞を出されて、その場で歌わされました。
どうせ一度きりの縁、と割り切ってしまえば恥をかいても平気なので、度胸もつくのでおすすめです(笑)。

 


__それはかなり衝撃的! 他にも強烈だった英語学習法ってありましたか?

 

調布のアメリカンスクールのサマーキャンプの見学はテンションが上がりました。子ども達と一緒にカリキュラムを体験するのは楽しかったですね。そして、それとは別に、食堂にいる日本人のチアリーダー女子の勝ち組オーラは半端なかったです。ビーサンにショートパンツ、ワンレンで日焼けしてフープイヤリング…そういう世なれ感みたいな、普段会うことのできない雰囲気の人たちのオーラを吸収できた感じがします(笑)。


それから、阿佐ヶ谷に道端で英会話を500円で教えます、っていう看板を持って、立っているおじさんがいて、喫茶店で独自の英会話法を教えてもらったのは印象的でしたし、渋谷にある外国人執事喫茶ではめったに味わえないお姫様気分を味わえて、楽しかったです。イケメン外国人が接客してくれて、値段も良心的だったので、ホストクラブよりもぜんぜんいいんじゃないか、と思いました(笑)。

 

 

__最終的にはTOEICの点数が200点アップってすごいですよね。このTOEICの攻略に効果があったのはどの学習法だったと思いますか?

 

苫米地英人博士開発・監修の「ブレインラーニング」は効果があったのかな、と思います。英語耳になる周波数の音楽が入っていたりするので、サブリミナル効果でリスニング力がアップしたような…。それに「トーイッカー」と呼ばれる、TOEICマニアが集まる会にも参加しましたが、これはすご過ぎました。ボランティアなので参加費は500円で、みんなで問題を作って出し合ったり、TOEICについて語り合ったり…。中には毎週でもTOEICを受けたい、という方もいて本当に驚きました。自分にとっては、TOEICを受けることは苦痛でしかなかったので、そういう方がいる、というのは衝撃で、刺激になりました。

 


__フィリピン、セブ島への留学も体験していますが、いかがでしたか?

 

セブ島の留学は、観光も含めて4泊しました。短期だったので、スクールへ行ったのは1日だけでしたが、90分のクラスを4クラスも受けました。授業は、マンツーマンで、ぐちゃぐちゃな部屋の写真を見せられて、どう整頓するかを話し合ったり、グループレッスンでは、お互いに悩みごとを紙に書いて、アドバイスをし合うとかでした。来ている方は、学生さんが多かったかと思うんですが、台湾や韓国とか、いろんな国の方の感覚の違いやお国柄が分かって、面白かったです。そして、何よりも良かったのは、4時間半で着くという気軽さです。時差も1時間だけなんですよね。海外留学っていうと、カナダとかイギリスとかアメリカが人気ですけど、そういう点では、セブ島は体力的に楽でいいな、って思いました。物価が低いところも魅力です。

  

 

__今も英語の勉強は続けているんですか?

 

スマホに英語学習アプリを入れて、問題を解いたりはしていますね。あとはセミナーでも英語でしゃべっている方がいるので、できるだけ聞き取る努力はしています。でも最近一番ヒアリングの勉強になったのはYouTubeです。少し前にニュースになりましたが、アメリカのエリア51で働いていたボイド・ブッシュマンさんが、死の直前に宇宙人に関する情報を公開したんです。それがYouTubeにアップされていて…。もちろん全部英語なので、なんとか聞き取らなくちゃいけなくて、それで久しぶりに英語モードになれた気がします。

 

 

__これから試してみたい英語習得法は何かありますか?

 

SNSで、英語で日記をつけてネイティブの人が添削してくれる「ラングエイト」というサービスがあるって聞いたので、それにチャレンジしてみたいです。

 


__最後に、Cheer up! English読者にメッセージをお願いします

 

私は英語ができないコンプレックスがすごく強かったんですけど…。よく考えてみれば、日本語の漢字とかひらがな、カタカナを覚えているだけですごいことです。だから、まず自信をもって、ポジティブに楽しんで英語の勉強を続けることができるといいのかな、と思います。

 

 

辛酸なめ子さん●1974年、東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。漫画家、コラムニストとして活動。近刊は『厄除開運人生』(祥伝社)、『サバイバル女道』(サイゾー)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『霊道紀行』(角川文庫)、『なめ単』(朝日新聞出版)など。


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独自目線のコラムで人気の辛酸なめ子さんが、ありとあらゆる英語学習法を試した、英語難民のための息抜き爆笑レポート。英単語や英文なども読めるうえ、実際ご本人もTOEIC200点UPされた、実用も兼ね備えたお得感いっぱいの本なのです。

 

 

構成・文/永峰千恵  写真/さとうのりゆき


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