「世界中に居場所を創る」
ビジョナリー・アントレプレナー

世界で暮らす 旅をしながら生きる
新しい生き方開拓者 10 人

「世界で暮らす 旅をしながら生きる 新しい生き方開拓者 10 人」は旅をライフスタイルに取り込みながら、人生の時間を充実させる新しい生き方にフィーチャーした特集です。世界を旅しながらできる仕事の創り方、海外での過ごし方、パッキング術や、英語力などハック術などその新しいライフストーリーに迫ります。「いつか世界で活躍がしたい」、「世界中を移動しながら仕事がしたい」というあなたは必読です。

 

今回は、日本国内のシェアハウスを検索できるポータルサイト”東京シェアハウス”、そして世界中のシェアする暮らしや学ぶ場所(語学学校)を検索できる「シェアハウス」”を運営する東京シェアハウス合同会社代表森山哲郎さんにフィーチャーします。

 

 開拓者4

東京シェアハウス合同会社代表
森山 哲郎(もりやま てつろう)さん

岐阜県出身、1977年生まれ。昔から旅が好きで、オーストラリア、中国、ヨーロッパを中心に30カ国位、放浪していました。世の中には、あまり世間に知られていないけど、自由で、豊かで、面白い物語がたくさん潜んでいると思うので、そんな世界を見つけて、広げていきたいと思います。

 

 

―初めての海外の渡航時のエピソードを教えて下さい。

海外は高校卒業時にオーストラリアのアデレードに行ったのが初めてです。オーストラリアを選んだ理由はエアーズロックという大きな岩があるのですが、単純にそれを見てみたくて。当時は特に夢や目標があったわけではなくて、「行ったら何か見つかるかな」くらいの軽い気持ちでした。商業高校に通っていてバイトと部活に明け暮れていたので、そもそも英語というものを理解しておらず、現地の空港に着いて「あ、この人達日本語が分からないんだ」と実感がわいていた位です。とりあえず住む場所があればなんとかなるだろうと思っていたので、住む場所と最初の3ヵ月だけ通う語学学校を決めて行きました。

 

 

 

―オーストラリアでは仕事もされていたのですか?

お金がなかったので、現地では時間があれば、働いていた気がします。でも、当時は何をやっても新しい体験だったので、色んなことをやることは楽しくもありました。運良く、インダストリープレイスメントプログラムと言って、学校がビザのスポンサーになってくれたこともあり、現地の規制なども関係なく、働ける期間ももらえました。シドニーオリンピックが開催された時期は、そこで日本人スタッフとして働いたりしていました。皿洗いからウェイター、日本語の教師、通訳、翻訳、シェフやホテルのコンシェルジェまで、お金になるならなんでもやっていた時期もありました。とにかく色んな景色が見たい時期だったし、オーストラリアの主要都市をまわって、気に入ったら、その街に住んでみたり、働いたりしていました。グレートバリアリーフにあるヘイマン島という島の上にあるホテルで1年くらい働きながら過ごしたこともあります。渡豪時は半年くらい過ごそうかなぁと考えていましたが…気づいたら、オーストラリアで4年半位、過ごしていました(笑)。

 

 

―語学学校以外にホテル学校にも行かれたとか…?

語学学校の後の進路を考えていた時に、現地の大学に通う日本の人達に「大学で勉強してみてどうですか?」と聞いてまわった事があるですが、大学で講義を受けている人達の日常はあまり英語に触れていないと感じたんですよね。その時、たまたまホテル学校を訪れたのですが、そこに通っている日本人の学生は周囲の人達と英語で積極的にコミュニケーションをとりながらイキイキとしていて、ホテル学校に通うことを決めました。大学とは違い、リアルなコミュニケーションを大切にするし、接客の大切さやマネジメント、各国の文化やビジネスの原理原則など基本的なことを学べたと思います。旅を続けるにも役立つかな、と思っていたし、観光が主要産業の国なので、国としてもホスピタリティーにはすごく力を入れていた印象がありましたし、良い選択だったと思います。

 

 

―オーストラリアから帰国後は何をされていたんですか?

オーストラリアを離れてから、ヨーロッパやアジア諸国を回ったりしていました。一旦、帰国して商社に就職しましたが、当時携わったアパレルの生産管理の仕事の都合上、出張で中国をよく訪問していました。その時に、イメージしていた中国と実際の中国にはすごく乖離があって、市場の大きさから、他のアジア諸国やヨーロッパにもない未来を感じたし、中国の人から「将来を自分たちで作っていく」という雰囲気を感じたんですよね。そこにすごく魅力を感じて商社を退職し、中国に向かいました。

 

 

―中国にはどれくらい滞在をしたんですか?

中国には2年間滞在をしました。最初の1年は南京大学に通いながら、中国国内をめぐり、その後北京にあるコンサル会社に就職しました。貿易業務が主だったんですが、ベンチャー企業だったので、海外引っ越しとかオフィスの移転とか市場のリサーチとかなど自分で仕事を見つけてガンガン進めていくという感じでした。

 

 

―海外での経験を積まれた後、日本に帰国して起業しようと思った理由は何だったのでしょうか?

18歳の時、オーストラリアでエアーズロックに登った時に「世界は広くてチャンスが沢山ある」そんな、確信がありました。だから周囲の評価を気にするより、自分の好奇心にしたがって生きるのが自分の人生にとって正しいと思っていました。だけど、自分が納得できないことをダラダラ続けていてもしょうがないので、自由な時間は10年間だけ、それまでは自由に生きよう、と決めていました。28になった年の誕生日はタイで迎えたのですが、その時、あの日から10年経ったんだなという実感が湧きました。僕の中では、10年の間に目の前にあることに必死になってやれば何かやりたいことが見つかるだろうと思っていたんですけど、本音を言うと見つからなかったんですかね。これ以上、長くいてもしょうがないなということで、日本への帰国を決めました。

帰国後、東京で働いていた時に、周囲の人に旅の良さとか話すと、色んな場所に訪問しながら、様々な人と出会えた自分は恵まれていたんだな、と感じるようになりました。「だから海外の人が日本に来た際や、上京する人達がつながれる場所がもっと普及すればいいのに」そう考えていたら、起業していました。市場があるのかとか、ビジネスとして成り立つのかとか、正直あまり考えてなくて、自分が心から良いと感じたライフタイルだし、自分みたいな他の誰かの役にはたつと思っていたので、後悔することはないだろう、そんな感じだったと思います。

 

 

―様々な国で働かれた経験のある森山さんですが、海外で仕事を創る秘訣があれば教えて下さい。

社会というものは、人と人との繋がりがあって、成り立つものなので、国内でも海外でも同じだと思うんですよね。相手にとって役立つことや求めているもの、課題や問題を解決するようなことを意識していると自然と仕事に繋がるのではないかと思います。あと自分が情熱を持てることや、興味がある方向に全力で向かうことが重要だと思います。人によって様々なやり方があって、絶対これは正しいというものはないと思うんです。海外で成功をされている経営者に会うと、やっぱり皆さん自分なりのスタイルを持っています。それは過去に自分が失敗をした経験とか、失敗と反省と工夫の積み重ねでできたスタイルなので、若い人は失敗を失敗と捉えずに、「この方法だと上手くいかないという発見」だと思って、色々とチャレンジしてみるのが良いのではないでしょうか。

 

 

―森山さんならではの海外の滞在スタイルを教えて下さい。

せっかく海外に出るので、ひとりで引きこもっているよりは色んな人に出会って、様々な価値観とか世界観に触れた方がいいと思います。そういう意味ではシェアハウスはぴったりですね、笑)。極論を言うと、僕は「地球はひとつのシェアハウス」だと思っていて、繋がりや対話する場所は人にとって絶対必要だと思っています。みんなが孤立するのではなくて繋がることを手助けする仕事ができたらいいなと思っています。

 

 

―海外に行く時に必ず持って行く三種の神器を教えて下さい。

まず夢、それから広い視野でしょ、あと好奇心かな。

 

 

―海外でコミュニケーションをとる際に気をつけている工夫していることなどありますか?

現地の言葉を覚えるのは役立つと思います。中国だったら中国語、タイだったらタイ語、ヨーロッパ諸国を旅していた時も地球の歩き方やロンリープラネットを頼りに現地の言葉を極力話すようにしていました。新しい国に向かう電車の中でガイドブックを見ながら現地の言葉を覚えるのが楽しかったんでしょうね。ロンリープラネットを持ちながら話すと結構現地の人って助けてくれて、そこから仲良くなることもありました。

 

「シェアハウス」

 

―今後のビジョンを教えて下さい。

僕は自分探しで悩んでいた時間が長かったので、当時の自分と似たような人に役立つサービスを手がけたいと思っています。「世界中に居場所を創る」ことをビジョンとしていることもありますが、初めて訪問する場所でも、シェアハウスや語学学校などを介在すれば、すぐに現地の人とつながれるし。新しい環境に身をおくと、最初は、色々大変だと思いますが、その過程で周囲の人に助けてもらえたり、何か一緒に行動してみることで、自分なりの価値観が形成されていくのだと思います。ですので、世界中の色んな場所でつながりや対話を生む、そんな場所や機会を増やすことを事業としたいです。

 

 

―森山さんにとって旅とは?

旅ってどこかに到着することが目的ではなくて、旅を続けていくこと自体が旅だと思うし、良さだと思います。道がなくても自分の情熱を注げる方向を見つけたらそっちに進んでいきたいと思うし、興味がある方向に進んで行って、振り返ったら、他の誰かにとって役に立つ道ができているというような生き方ができたら嬉しいですね。

 

 

インタビュー/高石真帆


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