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WORLD
2015.09.26

英国人と結婚したのにイギリスに住めない

イギリス移民の厳しいハードルとは?

英国国籍の人と結婚すれば英国に住むことを保障すると思ったら大間違い。

 

英国人と結婚して英国に住みたがる人々が増えるにつれ、「これ以上外国人を入れたくない」英国政府もビザの条件を厳しくしています。

婚約者ビザのハードルが高い?

 

英国人の婚約者が英国外にいる場合、「婚約者ビザ」を取得することになります。このビザの条件は、「ふたりが実際に会ったことがあること」「6ヵ月以内に結婚する予定があること」「永久的に供に住む意図があること」「申請者に生活保護を受けずに自分で又は婚約者の援助で生活する能力あること」「適切な住む場所があること」などです。一番ハードルの高いのが、「最低‎£18600(日本円で約345万円)の収入があること」。この額をクリアしたカップルでもビザが却下されることが多いのが現状です。そして、これをクリアして取得できるのは6ヵ月のビザ。この6ヵ月内に結婚しなければなりません。この6ヵ月間は、英国内で働くこともできません。結婚したら、またビザを申請する必要が有ります。このビザは60ヵ月で期限が切れます。33ヵ月を過ぎてやっと「IDLIndefinite Leave to Remain‐永住権)」の申請を行うことができます。

 

婚約者ビザ取得の条件は、年収約345万円以上

 

英国人の半数近くが年収は‎£18600に及びません。年収は‎£18600以上あるのに却下された人の話もよく聞きます。実際に2年ほど前、英国女性と結婚していた日本人男性がいましたが、ふたりとも職を持ち、女性の方は不動産も持っていて、そこからの収入もあったにも関わらず、出産間近の奥さんを残して男性が日本へ帰らなくてはならなかったという話がありました。また、私の身近でも、同じ教会に通う女性(看護婦)がスコットランドの男性と結婚しましたが、英国に住むためのビザが下りず、彼は自分の農場を売り払ってまで頑張ったのですが(年収が足りなければ、銀行に相当額貯金があればよいとされているため、弁護士の指示に従って)ダメでした。現在ふたりはアメリカに住んでいます。もう一組、サセックスの友人の甥が日本女性と結婚したのですが、彼女のビザも却下され、現在ふたりはヨーロッパ暮らしです。また、23年ほど前に、「英国人との結婚歴28年、永住権も所有する」日本女性が、母親が病気になってその看護に一時期帰国し、病気が治ってやっと帰国しようとした際、入国拒否された、というニュースがありました。夫は作家で、彼女は元教師。決して生活保護の世話になるようなカップルではありません。激怒した夫が弁護士を雇い、マスコミにまで取り上げられました。(この場合の理由は、「あまり長く国外にいたから」だったとのこと。)

ビザが却下される主な理由は、年収不足ですが、他に、「結婚の予定」を証明するものがない場合(式の予約や支払の証明書等)や住む場所が「ふたりで住む場所と見なされない場合(アパートの契約書などに名前がひとりしか載っていないなど)」も挙げられます。書類を検査する人の解釈にもよるでしょう。FBのチャットなどは交際を証明するもとはされません。

 

結婚ビザの実情…

 

婚約者ビザと似たものに、結婚ビザがあります。これは文字通り「英国内で結婚する」許可を与えるビザですが、例えば、「日本に住む日本人カップルが結婚式を外国で挙げたい(ハワイで挙式、とかありますね)」などの場合、つまり、結婚式が終わったらさっさと帰ることを前提にしたものです。このビザで結婚した場合、当然6ヵ月後には追い出されるわけです。もちろん英国籍の家族としてビザを申請することはできますが、「結婚ビザを取る時に嘘をついていた」と解釈され、その後のビザも下りにくくなります。また、ビザ申請の質問に、「なぜ英国外に住めないのか理由を述べよ」とかまであるのです。

他に、最近ニュースになったタイの女性があります。英国男性と結婚し、まだ小学生くらいの子供が2人いますが、突然ご主人が亡くなり、移民局は彼女のビザの申請を却下し、国を去るように言って来たのです。子供は、義母にあずけろと。こんなカップルが大勢います。最近の英国移民局は笑い者だと言われ、ヨーロッパが圧力をかけていますが、現時点では英国の心配は難民の対応でしょう。

法を守ろうとする非ヨーロッパ人追い出そうとする半面、移動の自由のおかげで、貧しい東ヨーロッパから資金も何もない家族連れが英国に押しかけ、「我々はヨーロッパ人だ。家をくれ」などと要求する始末。

移民法は度々変更するため、諦める必要はありません。ただし時間と費用はかかるでしょう。

 

文/ Winterberry

イギリス・アメリカ在住27年の翻訳家、オンラインライター。

 

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