電話独特の言い方がある? waitを
使わない「お待ちください」の英語とは
デイビッド・セイン先生が教える
日本人のヘンなヘンな日本人ビジネス英語
ビジネスシーンでも使いたいのは、英語が母国語でない相手とやりとりすることも多いから、シンプルでわかりやすい簡単な英単語や英語表現ですよね。簡単な英語の中にも、日本人が言ってしまいがちな間違い英語や、表現をちょっと直すだけでスマートなビジネス英語になる表現があるんです。
そんなビジネス英語表現を2週間に1度、人気英会話講師である、デイビッド・セイン先生に教えてもらいます。日本人なら誰でも身に覚えがありそうな、ケアレスミスを減らして、スムーズなビジネスコミュニケーションしてみましょう。
第7回 電話
電話ではこう言う!「少々お待ちください」はド定番フレーズを使おう
イマイチ英語 Please wait.
お待ちください
イチオシ英語 Please hold on.
お待ちください
電話の「待つ」は wait ではなく…
「待つ」というと、waitがよく知られていますが、電話の場合、「電話を切らずに待つ」という意味のhold、あるいはhold onを使うの一般的です。
Please hold on.以外にも、holdを使って以下のように言うことができます。
・Hold the line, please.
・May I put you on hold, please?
ただし、holdが電話のときだけ「待つ」という意味で用いられるわけではありません。いくつか例を見てみましょう。
A: I gotta go.
もう行かないと
B: Hold on a sec. Take this umbrella with you.
ちょっと待って。この傘を持って行きなよ
*secはsecondの略。「一秒待って」、つまり「ちょっと待って」という意味です。
A: Do you happen to know Dr. Smith’s phone number?
スミス先生の電話番号を知ってる?
B: Hold on. I got it. Here.
ちょっと待って。あった。(メモを渡しながら)これ
これらのシチュエーションでは、Hold ...をWait a second.などと言い換えてもOKです。
「不在を伝える」・「担当者が出られない」ときの言い方
次に、相手には少し待ってもらって確認したところ、「取り次ぐべき相手が不在だった」や「取り次ぐべき相手が出られない」という場合のフレーズを確認しましょう。
I’m afraid he’s[she’s] on another line.
あいにく別の電話に出ております
*「昼食に出ている」なら、he’s[she’s] out for lunchになります
He’s[She’s] speaking with another customer now.
ただ今接客中です
He’s[She’s] away from the office right now.
ただ今外出しております
He’s[She’s] left for the day.
今日はもう退社いたしました
「取り次ぐ」・「担当部署に回す」ときの言い方
会社の大代表番号にかかってきた場合や、要件や問い合わせの内容を確認した結果、自分の部署が担当部署ではないとわかった場合に、電話を担当部署に回すときに使えるフレーズです。
Alice is on the line. Please go ahead.
アリスと電話がつながりましたので、お話しください
Which section would you like?
どちらの部署におつなぎしますか?
Let me put you through to the section in charge.
担当部署にお回しいたします
*section in chargeで「担当部署」という意味になります
I’ll connect you to the Personnel Department.
人事部にお回しします
関連表現
電話や日常会話で使える「少々お待ちください」の言い方には、holdを使った表現以外にもいくつかのパターンがあるのでご紹介します。これらの短いフレーズはとてもカジュアルに思えますが、目上の人やお客様に使うこともあります。より丁寧にお願いしたいなら、Could you hold on a second? とCould you などを付けて言いましょう。
□One moment, please.
□Just a moment, please.
□Just a second.
□Give me a second.
□Hang on a second.
*hang onも「待つ」という意味です
通勤ラッシュは rush じゃない?
「通勤ラッシュ」のニュアンスをよりうまく伝えるには、そのままrushを使うよりも、commuter hellなどがいいでしょう。commuterは「通勤者」という意味で、「通勤する」という動詞ならcommuteとなります。hellは「地獄」で、ちなみに外国では日本の厳しい「受験戦争」をexamination hellと揶揄することがあります。
プロフィール
デイビッド・セインアメリカ合衆国アリゾナ州出身。カリフォルニア州アズサパシフィック大学(Azusa Pacific University)で、社会学修士号取得。 証券会社勤務を経て、来日。日米会話学院、バベル翻訳外語学院などでの豊富な経験を活かし、現在までに140冊以上、累計350万部超の英語関連本のベストセラー著者。英会話教室の運営、翻訳、英語教材制作などを行うクリエイター集団『エートゥーゼット』の代表。日本人に合った日本人のための英語マスター術を多数開発する、日本における英会話教育の第一人者。