たった一単語で誤解が始まる!
日本人が陥る依頼ビジネスメールのミス
デイビッド・セイン先生が教える
日本人のヘンなビジネス英語
ビジネスシーンでも使いたいのは、英語が母国語でない相手とやりとりすることも多いから、シンプルで分かりやすい簡単な英単語や英語表現ですよね。簡単な英語の中にも、日本人が言ってしまいがちな間違い英語や、表現をちょっと直すだけでスマートなビジネス英語になる表現があるんです。
そんなビジネス英語表現を2週間に1度、人気英会話講師である、デイビッド・セイン先生に教えてもらいます。日本人なら誰でも身に覚えがありそうな、ケアレスミスを減らして、スムーズなビジネスコミュニケーションしてみましょう。
第10回 メール
ふたつ以上の意味に取れる表現はNG!誤解させない曜日の表現
イマイチ英語 I would like to ask you to ... by next Monday.
次の月曜日までに…をお願いしたいのですが
イチオシ英語 I would like to ask you to ... by Monday.
月曜日までに…をお願いしたいのですが
余計な一語が原因ですれ違い!?
今回取り上げている「イマイチ」と「イチオシ」の違いは、Mondayの前にnextがあるかないかなのですが、これが意外とミスコミュニケーションのモトになることをご存知でしょうか。
問題は、今日が11月6日(金)と仮定したときに、「次の月曜日」というのが11月9日(月)を指しているのか、それとも11月16日(月)なのかということです。送り主が9日のつもりでいても、人によっては「『次』とあえて言うということは、9日ではなく16日だ」と理解する可能性もあります。こういった誤解はビジネスでは致命的ですよね。
「9日までに」と言いたい場合は、単純に「nextを書かない」か、this coming Monday(来る月曜日)が正解です。comingを使えば、「一番近い月曜日」をより明確に表すことができます。あるいは、Monday, November 9と書いてもいいでしょう。
誤解されやすい依頼の言い回し
日本語でよくある、「X日にいただけるとうれしいです」のようなあいまいな言い方にしてしまうと、相手に「必ずしもX日でなくてもいい」と解釈されてしまっても強く反論できないかもしれません。英語(特にメール)では「X日までにお願いします」とはっきり伝えた方が余計なやり取りや思い違いを防げます。
そのために一番いい方法は、疑問文で「依頼」であることを伝えること。△→○→◎と、お勧めしないものから順に示しています。
△ I would be glad if you could give me some feedback by Monday.
月曜日までにフィードバックをいただけたらうれしいです
○ I need your feedback by Monday.
月曜日までにフィードバックを送って下さい
◎ Could you give me some feedback by Monday?
〈より丁寧〉月曜日までにフィードバックを送って下さい
知っておきたいビジネスメールの略語
ここで、ビジネスメールでよく使われる便利な略語とその使い方をチェックしておきましょう。
・FYI (For Your Information) 「ご参考までに」
→相手にとって有益かもしれないと思う情報を送るときに使います。
【例】FYI: http://www.smartenglish.co.jp/
・TBD (To Be Decided) 「後日決定予定」
→「検討中」の事項です。
【例】Since we don't know when the VP is arriving from Miami yet, the time is TBD.
副社長のマイアミからの到着時間が分からないので、時間は後で決定します
・R.S.V.P (respondez s'il vous plait) 「お返事下さい」
→招待状などで必ず返事が欲しいときに書き添えます。
・ASAP (As Soon As Possible) 「すぐに」
→「なるべく早く」と訳されることがありますが、「あなたの都合が許す範囲でできるだけ早く」という意味ではなく、実際には「今すぐに」というニュアンスです。「なるべく早く」は、at your earliest convenience。
【例】Could you contact Jason ASAP?
すぐにジェイソンに連絡して下さい
・CC (Carbon Copy)
→同じメールの送付先を相手に知らせたいときに使います。
【例】Could you cc me on that?
それに関しては私にもccしてくれますか?
・BCC (Blind Carbon Copy)
→同じメール送付先を相手に知らせたくないときに使います。
【例】I’ll include you in the BCC.
あなたにBCCで送ります
関連表現
イギリス式とアメリカ式で違う? 日にちの書き方ルール
先ほど少し触れましたが、月日はApril 15のように[月の単語+日の数字]で表すのが一般的です。数字の表記については他にもいくつかルールが存在しますので、確認しておきましょう。
「日にち」だけなら、on the XXthで表します。
・on the 2nd
数字は、1~9まではspell-out(単語をつづる)します。
・We will ship the products within two weeks without fail.
間違いなく2週間以内に製品をお送りいたします
10より大きい数字は15、235、12,345のように、数字で表します
・The number of our subscribers increased by 17 percent last year.
ウェブサイトの閲覧者が昨年は17%伸びた
さらに大きな数字は、million(100万)、billion(10億)、trillion(1兆)を用います。
・The movie cost 20 billion yen to make.
この映画の総制作費は20億円だとか
また、日付を11/6/2015のように、数字と/(スラッシュ)で表す場合、国によって年・月・日の順序が異なるので注意が必要です。
11/6/2015
アメリカ式:2015年11月6日
イギリス式:2015年6月11日
今回のボキャブラリー
ファイルを圧縮してもらえますか? って何て言う?
ファイルやフォルダ―を圧縮してメールに添付すること、ありますよね。zip形式という言葉にはなじみがあると思いますが、zipは動詞でもあるので、「そのファイルを圧縮してもらえますか?」ならCould you zip the file, please?でOK。同じく「(データに限らず何かを)圧縮する」という意味のあるcompressに変えて、Could you compress the file, please? と言い換えが可能です。