ジブリ『かぐや姫の物語』は裏がテーマ!?
海外童話の意外な“裏”設定集

『竹取物語』に隠された真実……

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イラスト/和田鈴香 構成・文/山川俊行(編集部)

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11月23日、スタジオジブリ最新作『かぐや姫の物語』がいよいよ公開! 宮崎駿氏が監督引退後初のジブリ作品に高い注目が集まっています。そんな本作のキャッチコピーは、“姫の犯した罪と罰”。監督の高畑勲氏によると、なんでも、かぐや姫は月で犯した罪が消えるまでの罰として地球に落とされた、という原作『竹取物語』の裏設定を映画のテーマにしているとか。古今東西、有名な小説や映画などの創作物には、まことしやかに語られる裏設定が存在するものです。そこで今回は、『かぐや姫の物語』の公開を祝して、誰もが知る有名な海外3作品にまつわる裏設定をご紹介します!

 

〜 マッドハッター誕生の深いワケ 〜

『不思議の国のアリス(Alice’s Adventures in Wonderland)』

イギリスの児童文学者ルイス・キャロルの世界的名著『不思議の国のアリス』は、2010年に公開された映画『アリス・イン・ワンダーランド』の原作としても有名。作中では個性的なキャラクターがたくさん登場しますが、奇妙な言動でアリスを困惑させた、ジョニー・デップ扮する“マッドハッター(Mad hatter)”はひときわ異彩を放っていましたよね。
そんなマッドハッターというキャラには、モデルがあったことをご存知ですか? 彼のキャラをひも解く鍵は、『不思議の国のアリス』が描かれた19世紀末頃のイギリスの労働環境にありました! 当時のイギリスの帽子はフェルト製品が多く、帽子職人の大多数は、フェルトの加工過程で水銀を使用していました。当時の技術では、帽子職人が水銀の蒸気を吸入するのを防ぐことは不可能だったらしく、多くの帽子屋が水銀中毒にかかって、本当に気が狂ってしまうケースが多かったのだそう。実際に、「as mad as a hatter(帽子屋のように狂っている)」という慣用句も生まれたとか。つまり、マッドハッターは、こうした時代背景に基づいて生まれたキャラだったんです!
ちなみに、フランス語で、「travailler du chapeau」を直訳すると「帽子を加工する」ですが、慣用表現として「気が狂っている」という意味があります。当時のヨーロッパでは、“帽子屋=気が狂っている”という認識が通説だったようです。

 

 

〜 ムーミンの意外すぎない正体 〜

『ムーミン(Moomin)』
 
日本でも、子供向けアニメとしてなじみ深い『ムーミン』は、フィンランドの作家・トーベ・ヤンソンの小説が原作です。設定上は、ムーミンは妖精とされていますが、見た目はどことなくカバを思い起こさせるような風貌。誰しも一度は、「ムーミンって何者?」なんて疑問を浮かべたことってありますよね。
実は、ムーミンの正体について、某オカルト研究家・山口敏T郎氏が驚きの説を展開しています。なんでも『ムーミン』の世界観は、核戦争後の世界をイメージして作られていて、世界で唯一放射能汚染を免れたのがムーミン谷らしいんです! そして、谷の周辺に住むキャラクターの面々は、核戦争の生き残り。 言語を操るムーミンは、放射能の影響で高度な知性を与えられたカバのミュータント(!)で、人間らしい見た目のミイは、放射能の影響で外見が老いることがなくなった老婆のなれの果て。原作の物語の終わりで、ムーミン谷に冬が訪れ、ムーミンたちが冬眠する描写があるのは、核爆発で巻き上げられた灰や煙によって日光が遮られ、地球が氷河期に突入してしまう現象を想起しての表現で、終わり行く世界を暗示しているとか。
どうやら、『ムーミン』が発表された1945年が、広島・長崎に原爆が投下された同年というのが、この都市伝説が広がった理由のひとつになっているようです。

 

 

〜 現実逃避した悲しき中年のお話 〜

『ブレーメンの音楽隊(Bremen Town Musicians)』

グリム童話の『ブレーメンの音楽隊』は、年老いて働けなくなったために飼い主から見放されたロバ、イヌ、ネコ、ニワトリが、ブレーメンにある音楽隊に入ろうと旅をする物語です。
グリム童話には、恐ろしい裏設定がつきものですが、この物語も別な意味で背筋がゾクッとする話が隠されていました。実は、動物の正体は、うだつの上がらない同性愛者のオッサンたちだったのです!
仕事に追われる毎日に嫌気が差し、妻や子供を捨てて旅に出たオッサン。音楽で一旗挙げようと夢を見て、ブレーメンへと旅立ちます。道中、同じ境遇のオッサンたちが次々に音楽隊に合流し、オッサン軍団は大規模化。そしてある日、彼らは森のなかで、泥棒に占領された一軒の小屋を見つけます。金欠のオッサン軍団は、盗品の金品と小屋を奪取しようと画策。泥棒たちを数の力で圧倒し追い出してしまいます。その後、旦那を連れ戻しにきた妻たちの説得を無視。どうやら旅するなかで、オッサンたちの間の“友情”が、“愛情”に変わってしまったらしいのです。そうして、ハーレムを構成することになったオッサンたちは、その家で昼夜問わず同性愛に耽り、音楽を奏でながらいつまでも幸せに暮らしたのだとか……。ハッピーエンディングのはずが、何とも苦々しい後味が残るのは自分だけ!?

 

いかがだったでしょうか? 物語を表から見るだけで終わらせず、海外文化への理解や語学力を身につければ、“裏”を読むという楽しみ方もできます! あなたも、自分なりの語学学習の楽しみ方を探してみては?

 


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