E雑学【2】留学や長期滞在に役立つ
摂氏と華氏、温度の違いと言い方
毎日チェックしたい天気予報
100度って何度なの?
留学や旅行、海外に行く時や海外にいる時に知っておきたい情報、さらには英語の上達法などさまざまな情報をケンブリッジ大学認定講師であり、海外滞在、留学経験のあるライター、ケネス宮本がご紹介します。海外に行く時や現地で知っておくといいお役立ち情報などをご紹介します。
温度の単位だけじゃない、degreeの使い方
アメリカなどで天気予報を見たり、気温について話をすると必ずつき当たる疑問。
日本では温度の単位に 「℃」 が使われてて、読み方はもちろん「度シー」。となれば、ご質問の「°F」も日本語では「度エフ」で良いはず。
まず「度」を表す「°」は、英語で、
degree /dɪˈgri:/
と読みます。
この言葉自体は「度合い」「程度」などといった意味で、普段の会話にも使われます。
例えば、
The weather affected the situation to some degree.
ある程度、天候が状況に影響した
程度の問題だよ(=限度をわきまえてるなら良いことだよ)
などというように言うことができます。
また、角度の 「度」(°) も同じ。「30°」と言うなら、thirty degreesになります。
温度の話に戻りまして、「30℃」と書かれていたら「摂氏30度」って意味ですね。
「摂氏30度」を英語では、
thirty degrees Celsius /ˈselsiəs/
と、ちょっと長い読み方で、カタカナ読みにすると「セルシウス」。「30℃」は、「°F」に変換すると「86°F」になります(変換式は後述)。
「86°F」と書かれていたら、「華氏86度」って意味になり、
Eighty-six degrees Fahrenheit /ˈfærenhait/
と読みまして、カタカナ読みにすると「ファーレンハイト」と言います。
摂氏・華氏はどちらも人名
数値も読み方もまったく違う単位ですけが、セルシウスもファーレンハイトも、その単位を考案した人の名前です。1714年にドイツの物理学者ファーレンハイトさんが考案したのが「°F」。人の体温を基準にしていて、氷点は32度、沸点は212度(その間180度)。その後、1742年にスウェーデンの天文学者セルシウスさんが考案したのが「℃」。ご存知のとおり、氷点を0度、沸点を100度に定めています。
「華氏・摂氏」と書かれるのは、それぞれのお名前が中国語で「華倫海・摂爾修」 と音写されて、それらの略表記であることからきてます。Fahrenheit、Celsiusと頭文字が大文字なのも、人名だからですね。
他にはこんな言い方も
「℃」にはCelsiusの他にcentigrade(/ˈsentɪgreɪd/)という読み方もあります。カタカナにすると「センティグレイド」。cent(i)(百)+ grade(度合い)で、「(氷点・沸点の間を)100目盛りに分けた単位」ってこと。でも、この言い方は日常ではあまり使われず、頭文字も人名じゃないので小文字です。
人が基準にされて古典的ともいえる「華氏」と比べると、「摂氏」は氷点・沸点・1気圧の条件下など、自然科学的な基準を設けていて客観的です。「摂氏」は、メートル法と並んで世界基準として定められたもの。なのに、なぜかアメリカはいまだに長さ・重さにメートル法を採用せずに「ヤード・ポンド法」のままですし、温度でも「華氏」を使ってます。
お隣りのカナダでも、例えば天気予報などのメディアでは摂氏を使っていますが、普段の生活では華氏でも理解されます。イギリス、オーストラリア、ニュージーランドでも同様ですが、摂氏がより日常の会話で使われてますねー。
どの国でも使ってる単位は決まってるので、degrees Celsiusとかdegrees Fahrenheitなどと、わざわざ全部を言わずにdegreesだけで済みます。それだけに、相手がどちらの単位で言ってるのか、確認する必要がある場合もありますね。
例えば、国際電話で友達と話している時など。
You: What’s the temperature there?
あなた:そっちの気温はどのぐらい?
Friend: It’s cold here, about 30 degrees?
友達:こっちは寒いよ、30度ぐらいかな?
You: Oh, in Fahrenheit, right?
あなた:ああ、華氏ででしょ?
Friend: Right, in Fahrenheit.
友達:そう、華氏で
といった具合。
寒い国なら…氷点下の言い方いろいろ
あと、「氷点下」の言い方も、知っておくと便利でしょう。いくつかありますが、以下は全て「摂氏」だと思ってください。
minus 5 degrees
マイナス5度
➡華氏では0度が氷点ではないので注意(-20度相当になる)。
5 degrees below zero
マイナス5度
➡上に同じ。ちなみにbelowは「より低い」の意味。
5 degrees below freezing point
氷点下5度
➡摂氏・華氏を問わず使えるので便利。アメリカでよく使われる。
ちなみに、「沸点」はboiling pointでーす。^^
摂氏と華氏を変換してみよう!
さてさて、何度と言われてもとっさには解りにくい華氏温度。摂氏・華氏の変換式は以下のとおりになります。
°F = 32 + ( ℃× 9/5 )
℃ = ( °F - 32 ) × 5/9
「0」の出発点が同じになるように、氷点の差(32)をなくして、目盛りの長さの違い9:5で割り出すんですねー。
例えば、夏の暑いさかりに「100°F」と言ったら、
(100 - 32) × 5/9 = 37.8
ってなわけで「37.8℃」になりまーす。こんな計算はメンドくさい、という方は「温度 変換」でネット検索すると便利な変換機能が使えますよ。^^ あと、基準になる温度を暗記しちゃうのもオススメです。
上の変換式を見ると、
・「摂氏」で5度の上下は、「華氏」で9度の上下を意味する
・「摂氏」で10度の動きがあれば、「華氏」では18度の動きを意味する
ってことが判りますし、以下のような表が作れます。
30℃ = 86°F 35℃ = 95°F
20℃ = 68°F 25℃ = 77°F
10℃ = 50°F 15℃ = 59°F
0℃ = 32°F 5℃ = 41°F
このうちひとつかふたつを基準として憶えておけば、この「摂氏5華氏9」の法則性をもとに概算できますね。^^
ライタープロフィール●ケネス宮本
アメリカ、イギリスなどで計7年の海外生活経験をもつ生粋の日本人。英語教師、翻訳・通訳、コラムニスト。雑学(科学全般・歴史・芸術など)が大好き。色んな言語をカタコトで話すのも大好き。取得資格:ケンブリッジ英語教師資格(CELTA)ほか語学系。