イギリス英語留学&スイス時計工房

インターンシップ体験記まとめ

Franck Muller × Cheer up! English Presents Study Abroad <Vol.03>

Cheer up! Englishとワールド通商株式会社が行う「留学プログラム」の奨学生が、3月30日にイギリス&スイスへ出発しました。今回は、留学中の様子を留学生の日記でお届けします。

「ロンドン語学留学&スイスインターンシッププログラム」とは 

Cheer up! English が意欲ある有能な若者たちに学びのチャンスを提供すべく行っている留学プログラム。世界最大の機械式時計生産国スイスで、高級機械式時計ブランドとしてその名を轟かせている『フランク ミュラー』の日本輸入総代理店であるワールド通商株式会社がプログラムを全面サポート。時計工房でのインターンシップ体験とロンドン語学学校での英語研修を通じて国際感覚を養うと共に、スイスの伝統産業である時計作りの粋を体験することがミッション。

 

 

私が留学します!

山田のど夏さん

大学では「現代マーケティング」のゼミに所属し、市場分析や新製品の考案、プレゼンテーションなど実践的なマーケティングに取り組んでいる。企業と環境の関わり、持続可能な社会におけるビジネスに興味があり、今回のプログラムでそのヒントを得たい。

 

330日】

 

いよいよ出発の日。飛行機で隣に座っていたフランス人の女性と仲良くなった。彼女は6ヵ月かけてオーストラリアやニュージーランド、タイ、日本を回ってパリに帰るところだった。機内は単なる移動手段でしかないと思っていた。長いフライトに不安もあった。しかし、彼女と往路の便で出会ったことで、私のこの10日間の研修への姿勢は変わった。彼女の旅に対する考え方の中には、常に新しいものを発見するというひとつの軸があった。今まで経験してこなかった非日常に身を置くことで、新たな視点を持ち、自分の殻から外に出ることができる。偶然隣に座った一見なんの共通点もなく見えるふたりが、旅の中で同じ時間を過ごし次第に互いを知っていくというのは不思議な感覚だった。ロシアでのトランジットを経てスイスに到着すると、もう22時近かった。ホテルの部屋からライトアップされたノートルダム大聖堂が見え、道にはトラムが走っていた。コルナヴァン駅前に立つホテルからの外の景色は黄色い夜景で、日本の白色に光るLEDライトからは感じられない温かさがあった。明日からの研修に胸を膨らませ、就寝した。

 

331日】

 

朝、早めに起床しホテルの周りを散歩した。ホテルから一歩外に出ると、広がる光景は映画の一場面を切り取ったようだった。交差するトラムの路線、忙しそうに歩く人々。しかし、都会の喧騒は感じられなかった。それは駅から徒歩約5分の距離にあるレマン湖の存在だと思う。ベルグ広場から眺めるレマン湖は、橋を渡る自動車、付近を歩く人々と全く違う空間を作っていた。白鳥やカモが優雅に泳ぎ、その透明な水面の下で必死に漕ぐ足も見える。ここで暮らす人々がどれほどこの自然から恩恵を受けているのか想像がつく。近代的な駅と鳥たちが豊かに暮らす湖の自然。対照的な光景が共存する環境に身を置くと、開発と自然の両立は可能なのだと感じた。

10時集合でフランク ミュラー ウォッチランドに行くと、初日の研修が始まった。工房に到着し、車を降りると空気が違うことに気が付いた。息を吸い込むと、鼻の奥を鋭い風が通り抜ける。濁りが全くなかった。ただ呼吸をするだけで、この環境がどれほど澄んでいるか、時計工房に必要な環境を一瞬にして感じることができた。

とんがり屋根に褐色の工房の様式は、フランク ミュラーのブランドイメージそのものだった。中に入ると機械が並び、時計を製作する過程が見えた。小さな部品ひとつひとつを職人が手作業で扱っていた。機械化が進み、人工知能やロボット開発が進行する現在であっても、人の手だからこそできる作業や工程があることに惹かれた。表面には現れない内部の機構ひとつひとつに職人の集中力、想い、そして費やした時間がある。フランク ミュラーの時計には、時計として完成品ができるまでに多くの人々の知恵や手間がかけられていることを再認識した。

昼食後、時計の部品の分解、組み立て作業の体験をした。実際に体験してみると、これは単なる作業ではないということに気づかされた。部品ひとつをはめる過程にも、この先どんな時計が生まれるのか、この過程がどんな役割を担うのかということを考えさせられ、職人がいかにフランク ミュラーの想いを引き継いでいるのかを実感した。

 

 

41日】

 

今日は、研修2日目、そしてインターンシップ最終日だった。ブランドストーリーに沿った時計製作過程のビデオを視聴した後、時計の裏版を作る体験をした。本来はブランドロゴや商品識別番号が刻印されている時計の文字盤の裏面に、私の好きなデザインを刻印させていただくことができた。Franck Mullerのロゴ、そして自分の名前、更にスイスの代表的な動物である牛を選んだ。このようにデザインを考える過程は、パソコンで行われた。配置やサイズの変更などをパソコンで組み合わせ、それをデータ化して機械へと転送すると、機械が文字を刻印し始める。職人と機械が一体化している現代の先進した技術に圧倒された。

また刻印の際、一度仮の刻印をし、目で見て確認してから再度数回に分けて刻印をする慎重な手順は、さすが一流のブランドであると感じた。少しの失敗もなく、しかしひとつとして同じ瞬間に製作されるものがないことにブランドとしての価値まで考えさせられた。自分で一連の作業を行ってみると、想像していたよりもずっと長い時間がかけられ、どの工程にも意味がありひとつの時計が作られるためには欠かせない作業が凝縮されていた。

この二日間の研修で、ウォッチランドの環境に刺激を受けた。作業は集中して個別に行われている。しかしウォッチランドの空間には一体感があり、温かい職場環境であった。時計という精密機械を扱う中で、アルプスやレマン湖をのぞむ自然豊かな環境、そして職人の持ち味や智恵、すべてが織りなされてフランク ミュラーというひとつのブランドを形成しているのだなと思った。

 

 

 

42日】

 

今日は、終日自由研修だった。早朝にホテルを出発し、「シャモニー、モンブラン一日観光ツアー」に参加した。スイスからフランスへと国境を越え、モンブランへと近づくにつれ、車窓からの景色が次第に山々に囲まれていく。山頂付近の雪景色がこれからの登山への好奇心を掻き立てた。ひとりで参加したツアーで不安だったが、同じツアーに参加していたバングラディシュ人とヨルダン人の男性と友達になった。標高3842mの地点は、酸素が少ないことがすぐに分かった。雪に覆われた中から顔を出す切り立った山肌は、来るものを拒んでいるようにも見えた。温暖化や自然破壊が問題視される中、次世代へ繋げていき、守らなければならない景観があることを実感した。

ゲートタウンへ戻ると、ラ・メール・ド・グラスへ向かうトロッコ列車に乗った。アメリカ人女性も加わり、4人で会話をしながら列車を楽しんだ。政府で働いているバングラディシュ人、ヨルダン人のお医者さん、マーケティング部で営業をするアメリカ人、全くバックグラウンドの違う4人が集まり会話をすることで、自分の持っていなかった視点で物事を見ることができた。街の風景ひとつとっても皆注目するところが違い、抱く感想も違う。同じものを見てもこれだけ多様な考えがあることが不思議だった。会話をする中で、大学で何を学んでいるか、今最もどんなニュースに関心があるか、将来何になりたいのか、この留学の目的は何か、など話しているうちに、自分が将来突き詰めていきたいことは何なのかを考え、明確な目標に向かって残りの大学生活を過ごしたいと思った。一番やりたいことを見つけ、そのために何が必要かを考える。今だからこそあるたくさんの選択肢から、自分らしさを発揮できる分野で専門性を身に付けていきたいと思った。

 

 

43日】

 

今日は、早朝にジュネーヴを出発し、ロンドンへと移動した。イギリスに到着後、ウィンブルドンのホストファミリーの家を訪れた。ナイジェリア人のホストマザー、リバプール出身のホストファザー、そして私と同世代のホストブラザーとシスター。皆が温かく迎え入れてくれた。お家は、玄関が枯山水仕立てになっていて、親日的なホストファミリーであることが伝わってきた。初対面にもかかわらず気さくに話しかけてくれたり、お家の案内をしてくれたりしたので、初めてのホームステイへの不安は一瞬にして払拭された。案内された私の部屋は、学習環境も整っていた。

昼食後、ロンドン市内へ出て「バックス & ストラウス」のブティックを訪問した。市内とウィンブルドンは、雰囲気が全く違い、驚いた。ホストファミリー宅からウィンブルドン駅までの道のりはまっすぐで、モクレンや桜の咲く風景は和の要素も持ち合わせていた。ロンドンで初めて見るダブルデッカーや有名な地下鉄は、乗るだけでワクワクした。オックスフォードストリートに並ぶ店には、日本でも有名なブランドも立ち並んでいた。しかし、どの店も国が違うだけで、全く違う雰囲気を醸し出していた。

バックス & ストラウスはもともとダイヤモンドメゾンであり、時計をどのように美しく見せるか、ではなく、どうしたら最もダイヤモンドが美しく映えるかということを第一に考えている。フランク ミュラー ウォッチランドグループの一員となった今も、こだわりのあるコンセプトを持ちそれを一貫することは、ブランドイメージの定着に加え創業者の想いも引き継ぐことができ、素晴らしいと思った。長い歴史の中で、どのような方向性をもってブランドを醸成させるか、どのように魅せることで人々に必要とされるブランドを作り上げるか、そこに隠されているお客様第一の視点に刺激を受けた。

 

 

44日】

 

今日は、朝早く語学学校に行き、クラス分けテストを受けた。8クラスにレベル分けされた中、私は1番上のクラスであるC2クラス、ケンブリッジ英検の最難関試験であるCPEの資格取得対策のクラスへ入ることになった。

学校案内やオリエンテーションの後、授業に加わると、スイス、イタリア、スペイン、フランス、ドイツ、タイ、韓国と国際色豊かな9人のクラスだった。初日の授業では、自己紹介について学んだ。いわゆる学校で教わるような型にはまった自己紹介で通用するのはIELTSまでである。型通りに話す英語は、何の面白味もない。母国語であてはめて考えてごらんと言われ、日本語で会話する時のことを考えると、確かに型にはまった文章を意識して話すことなど全くない。その場その場でフレキシブルに使える英語を学ぶことは、今までの英語の学習方法とのギャップに戸惑いもあったが、いかにこのクラスで学ぶことが実践的で有効であるのかが伝わってきた。型にはまらない中にも必ず持たなければならない論理性。それを実際に何度も何度もペアで実際に口に出して話し、自分の声を録音して10回以上再生し、客観的な視点で自分の会話のレベルを確認し発音を改善する宿題は、1日にしても効果が分かるほど目覚ましい改善となった。

授業後は、ペアワークで初めて一緒になったスペイン人の友人と、大英博物館とキングスクロス駅へ観光に向かった。美術館や博物館が大好きな私にとって、ずっと訪れてみたかった大英博物館。ガイドブックを見ながら主要な彫刻や遺跡を隅から隅まで回った。

帰宅後、ホストファミリーと夕食をとった。テレビでニュースを見ながら、そのトピックについて家族で議論をする。ひとりひとりがしっかりとした考え、意見を持っていて、それをぶつけることでお互いの考えが深まる。ニュースを取り上げ、このようにディスカッションすることはすごく新鮮で、その中に織り交ぜられる日本との比較、日本の報道との違いに着目するとすごく関心がわいた。夕食は皆で用意し、片づける。会話をするたびに生まれる新しい発見が私の知識を増やしてくれた。このように多くの文化に触れ、そして最新のニュースをグローバルに考える家庭でホームステイをすることができた経験は、何事にも代え難い経験だった。

 

 

45日】

 

今日は語学学校2日目だった。3コマの授業では、ふたりの先生が担当する。ひとりの先生は、CPE対策のテキストを、もうひとりの先生は、プリントを使っての授業だった。どの授業も、すべてスピーキングベースに行われる。文法の強化練習であっても全てペアの相手と話し合いながら、答えを導き出す。このように日本の英語学習では見られないスピーキングベースの授業はすごく面白かった。

ディスカッションの時は、英語が母国語でないクラスメイト達が皆自信を持って各々の意見を英語で相手に伝える。はっきりとした意見を持ちそれを相手に伝えることの大切さを学んだ。曖昧な表現や、伝えづらいニュアンスを何とか自分の表現の幅を広げて相手に伝える。この努力の過程にこそコミュニケーションの難しさがあるが、同時に分かり合えた時の感動は大きい。ディスカッションでは、親が子にどのように圧力を加えているか、どれだけ介入しているか、というテーマや、現在使われなくなってしまっている言語についてのテーマを扱った。国により全く違う考え方を持っていることはすごく面白かったし、各国でどのような現状なのかをリアルタイムでコミュニケーションすることで刺激を受けた。

授業後は、学校のツアーでミュージカル「WICKED」を観に行った。同じ学校のメンバーで行くことも新鮮で、帰り道に皆で感想を述べ合ったり、歌を口ずさんだり、国を越えた交流ができたと思う。

 

 

46日】

 

今日は午前授業の日。昨日ミュージカルで仲良くなった友達と待ち合わせて学校に行った。学校では、2分間という限られた時間でいかにいろいろな表現を使いながら相手に明確に意見を伝えるか、ということを2分で区切った時間で何度も繰り返し練習を重ねた。また、文法的にも表現的にも全く誤りのない文章を読み、その中からどの表現やコロケーションを変えるとよりナチュラルに、スムーズに相手に伝えることができるか、文章をより崇高なものに推敲していく練習をした。誤りのない文章から更に修正を加えることは難しかったが、自分の英語の表現の幅が広がり、ためになった。

また、グローバル化に伴いどのような文化や習慣の違いが障壁となるかというテーマについて、与えられた表現を用いながらディスカッションをする時間もあった。分からない部分があればそれを放置するのではなく積極的に質問し、解決しようとするクラスメイトの姿勢に影響され、気づくと自分も先生に、日本で学ぶ英語との違いについてなど疑問点をどんどん質問できるようになっていた。

放課後は、スイス人の友人ふたりとスペイン人の友人と、ロンドンアイ、ビッグベン、バッキンガム宮殿、ウエストミンスター寺院、トラファルガー広場など、いわゆるロンドンの観光スポットを回った。同じスイス人であっても、フランス語圏、ドイツ語圏、イタリア語圏と母国語が違う地域に住んでいれば会話はすべて英語である。このようにひとつの国の中にいくつかの言語が共存することの面白さにも刺激を受けた。スイス人のふたりは、以前にもこれらの場所を訪れたことがあり、私たちを丁寧に案内してくれた。「以前訪れたことがあるのにまた私のために一緒に来てくれてありがとう」と伝えると、毎回来るたびに、一緒に来る人、天候、そこにいる人々は違うし、それぞれに良さがあり、今日は最高の日だよ、と言ってくれ、すごく嬉しかった。冗談を言いながら笑いあったり、道に迷いながらも一緒に地図を覗き込んで目的地を探したり、ひとつひとつの小さなことがすべて新鮮で、友情がみるみるうちに深まっていくのが感じられた。今まで全く接点のなかった4人が英語を学ぶ中で出会い、それぞれの夢について語り合うことは、本当に素晴らしいことだった。

 

 

47日】

 

今日は、3コマ授業のある日だった。学校では、いろいろな時制を使い分けながらスピーキングをする練習、nature(先天的なもの)nurture(後天的なもの)の違いについてのディスカッション、そして新聞記事の読解から自身の意見を述べる練習をした。特に、人の人格や個性はnaturenurtureのどちらに強く影響されるか、に関するディスカッションでは、自分が今まで考えもしなかった意見が飛び交ったり、話す相手によって自分の考え方も変わっていったりと、多くの違いを吸収することができるテーマだった。教育という環境ひとつ考えても、ヨーロッパとアジアでは全く違う。その違いから生まれる考え方の相違が面白かった。どの考えにも正解や不正解はなく、論理的な説明をきくと納得がいくものばかりで、その中でも自分なりの意見を述べ、それが相手にまた受容されていく過程は有意義な時間だった。

また、パラグラフライティングの書き方についての学習もした。私が今までTOEICのS&WテストやTOEFLの対策として取り組んできたパラグラフライティングの書き方との違いに衝撃を受けた。初日に学習した自己紹介同様、型にはまりきった文章であってはならないということを再認識した。CPEレベルで通用するライティングのスキルは、今までライティングが得意分野であった私にとって大きな刺激だった。先生から教わった新たな型を意識しつつも、型を破り、より読み手を引き込ませる文章を作成することの難しさに苦労した。

学校終了後は、スペイン人の友人とパディントン駅、ハイドパーク、ケンジントン・ガーデンズ、そしてハロッズ本店へ行った。私のイギリス観光の中で最も印象的だったハイドパーク。最初は小雨が降る中の散歩であったが、入口付近の噴水、ロング・ウォーター、サーペンタイン湖の景観は、目を見張るものだった。大自然の中を優雅に散歩し、気づくと雨も上がっていた。サーペンタイン橋を超えると、虹が見えた。研修終盤に差し掛かったこの時にみた虹は、今まで見た何よりも美しく感じた。

 

 

48日】

 

今日は、語学学校最終日だった。初日に受けたテストと同様のものを受け、レベルチェックテストを行った。初日に悩んだ問題も、クラスでのコミュニケーションンの際に出てきた表現などから推測がつき、成長を感じることができた。 

私は、今回の語学研修で初めてCPEの存在を知った。ヨーロッパでは今最も権威のあるCPEの資格であるが、日本では浸透が浅い。このCPEの勉強をする中で、実際に使われている英語の表現を学ぶことの重要性を再認識した。そして、CPE対策のクラスにいたメンバーは皆、英語に対する意識が非常に高かった。どんなことにも妥協せずに英語を学習する姿勢にすごく刺激を受けた。自分ももっともっと英語を強化したいと強く思った。そして私もCPEの資格を取りたいと思った。社会に出て、世界中の人々とコミュニケーションをとっていく中で大切なことを学ぶことができた。自分にとってレベルの高い環境で5日間という短い時間であったが英語を強化することができたのは、非常に良い経験だった。CPEクラスの私以外のメンバーは皆、6月の終わりのCPEの試験まで今もフルコースで学習をウィンブルドンの語学学校で進めている。私は日本に帰国したけれど、今も彼らと連絡を取り合い、お互い励まし合ったりして関係を深めている。このように、5日間の生活の中でその後も続く関係を構築できたことは一番の喜びである。 

学校終了後は、ロンドン塔、タワーブリッジ、ロンドン橋、コヴェント・ガーデンにスペイン人の友達といった。ロンドン塔は、いろいろな有名な逸話があるが、それらの話を思い浮かべながら回ると本当の話のように感じられ、ワクワクした。また、橋を渡りながらスペイン人の友達と話していると、今まで一緒にいろいろな場所に行った思い出がよみがえってきて胸が詰まった。初日から最終日まで一緒にすべての観光地を回ってくれた彼女とは何年も前からの友人のように話が弾んだ。もともと言語に関心のある彼女は、日本語にすごく興味を持ってくれた。旅の途中で色々な日本語の表現を教えたり、折り紙を一緒に作ったりすることで、日本文化を知ってもらうこともできた。そして、同時にスペインでの彼女の生活に触れることもできた。彼女の家族の写真を見て、日常生活について話し合ったり、住んでいる街をインターネットで一緒に見ながら、一緒にいつか行こうね、と話し合ったり、他愛のない会話ひとつひとつが大切な思い出になった。ウィンブルドンに戻ると、オリエンテーションの日に友達になった人たち、そしてミュージカルで友達になった皆が最後にお見送りをしてくれた。5日間で築き上げた友情は、何物にも代え難い思い出となった。写真を撮ったり、また会おうねと抱擁したり、そんな中で涙が出た。

 

 

49日】

 

早朝ホームステイ先を離れ、帰路についた。10日間は長いようであっという間だった。毎日が新しいことの発見の連続で、何年かけても経験することができないような貴重な体験をすることができた。スイス、フランス、イギリスは、それぞれの国に違った良さがあり、そこにいる人々との出会い、自然環境などどれも初めての経験だった。都会であっても一歩離れるとそこには自然が広がり、多くの動植物が生息している。実際に訪れることで、考え方の幅や視野が広がった。

20歳の今、自分は何の夢に向かっているのか、将来多くの国々の人と関わる中で、コミュニケーションをとる時に大切なことは何か、日々の生活から多くを学び吸収することができた。往路の便で出会ったフランス人、時計工房の職人さんたち、マーケティングスタッフの方々、自由研修で知り合ったバングラディシュ人、ヨルダン人、アメリカ人、語学学校で出会った多くの友達。皆が誰一人として同じ考えではなく、年齢も国籍も様々であった。しかし、彼らには共通点があった。それは、今の自分を超えて新しい目標に進むということ。他人から見たら輝かしい業績を上げているような人たちも、現状に満足するのではなく常に前を見ていた。時計作りにこだわりを持ち、智恵を働かせる職人さんたち、新たな夢に向かいCPEの資格取得を目指すクラスメイト。語学学校のクラスメイトは皆、CPE取得が最終目標ではなかった。単に資格を得ることが目的なのではなく、その先に翻訳家、医師、経営者など大きな夢があった。資格取得は彼らにとってあくまで過程であり、その先に叶えたい目標を持ち取り組む姿勢は、私自身の勉強のモチベーションへとつながった。

この研修では、工房での研修や留学といった当初の目的はもちろん、それ以上に予想をはるかに超えた多くの出会いがあった。今回の研修に参加しなければ出会えなかった彼らとの出会いを大切に、これからも持続する関係を構築しプログラム終了後もずっと連絡を取り合おうと思う。世界の中で、自分の知らない地であっても積極的に行動することの大切さを実感した。大学3年という将来の道を考えるこのタイミングで今回の研修に参加できたことは、何にも代えられない思い出となった。

 

 

 

 


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