E質問箱【5】「だけどねー」ってカン
ジ実は英語でも表現できるの知ってた?
ケンブリッジ大学認定英語教師
ケネス宮本が英語の疑問にお答え

外国人との会話中に、会社での商談の時に、ささいな英語の疑問がわくことってありますよね? そんなあなたの疑問に、ケンブリッジ大学認定英語教師のケネス宮本がお答えします。日頃ふと浮かんだ疑問、ぜひ気軽にメールで質問をお送り下さい。
Helloooooooooooooooooooooooooooo!!
今回はこんなご質問にお答えでーす。
★今回の質問こちら^^
訳しにくいものに出会いまして…。しっくりこず…、教えて頂きたくメッセージさせて頂いております。
A kind of guy I like depends though.
最後のディペンズ ゾウがしっくり訳せません
教えて下さい。
僕も日本では知り得なかったthoughの使い方とは?
おお、この表現については、いつか触れたいと思ってたんですよー。
上の文を訳す前に、ちょっとお話ししてもよいでしょうか?
僕が初めて住んだ外国はアメリカでしたが、渡米する前から外国人の友達をつくる機会に恵まれて、話しては自学して、英語で雑談ができるまでになりました。
ですが常に、こんな疑問がつきまとってもいました。
『日本語の「~(だ)けどね」にあたる表現はないのかな』
こういう砕けた言い回しがしたい、学校で教わる英語にはそれがない。
単語でもなく、しかも砕けた表現だから和英辞書にも載ってない。
自分なりに作ってみよう、でもうまく出てこない。
こんな話し方は英語にはないのかなー。
だとしたら、「~(だ)けどね」っていうのは、日本語にみられる便利な表現ってことなのかなー。
なんて思ってました。
結局のところ、僕はそれを解明できないまま渡米したんです。
そしたら、あっさり解決しました。
入居したアパートのご近所さんたちと話していた時のこと。
みんな、僕がはいていた日本のゲタを見て驚いてました。
It’s crazy!
Who thinks of stuff like this?!
コレおかしいよ!
誰がこんなモノ考えつく!?
などと言って、そのすぐ後に、
It’s so cool, though!
すげえイカしてるけどさぁ!
って言ったんです。
「あ、こう言うのか」と、ピカーンと電球が点いたように感じました。
「~だけれど・であるが」などの意味を表すthough(/ðoʊ/)。
本来なら、「……だけど、……」という具合に使われます。
Though I was tired, I kept working.
疲れていたけれど、仕事し続けた
などと、ふたつの文をつなげてひとつの文にする「接続詞」ってやつですが、これを一番オシリにつけてやればいいんです。
上の文を書き換えると、こんな感じ。
I kept working.
I was tired, though.
仕事し続けたよ
疲れてたけどね
いざ知ってみると、実に解りやすい口語表現だ、とも思いましたねー。^^
ちなみにthoughは、日本語にはないTHの音を含んでいますね。
よく言われるように舌先を噛む感じで、人によっては「ゾウ」、人によっては「ドウ」にとても近い音です。
便利だけれど害がないスランギーなthoughに慣れよう!
この表現は、まさに日本語の「~(だ)けど」と同じく英語圏の日常生活でも非常によく使われますから、ぜひ慣れていってください。^^
他にも例をあげていきましょう。
Are you going now?
It’s raining, though.
今から行くの?
雨が降ってるけど
Maybe you should get a different one.
I like it, though.
違うのを買った方がいいかもね
僕はソレ好きだけど
He will call us tomorrow.
I don’t know what time, though.
明日、彼からこちらに電話があるよ
何時にかは分からないけど
などなど、何かを言ったあとに、「~(だ)けど」と付け加えたいときに使えます。
皆さんも流れるように言ってみてください。
I like it, though. ➡アイライケッドウd(^_-)=☆
僕・私はソレ好きだけど
「~(だ)けど」の類義である、「~(な)のに」の意味で使われる場合もあります。
Are you still angry with him?
He really loves you, though.
まだ彼のこと怒ってるの?
彼は本当にあなたが好きなのに
いかがでしょうか?^^
補足ながら、「?」をつけて問いかける形にもできます(イントネーションも尻上がり)。
He really loves you, though?
彼は本当にあなたが好きなのに?
このように実に便利なthoughは、口癖になっててやたらと使う人もしばしば。
完全にスラング化して用途が広がって、「~じゃん・じゃね?」みたいなニュアンスを帯びたりもします。
他のスラングと同じく、礼儀や作法をわきまえるべき場面での乱発は控えるのがオススメですよー。
話し言葉だけに書き方にチョット注意!
さて、ながーくなっちゃいましたが、ご質問のお答え翻訳をしましょう!
A kind of guy I like depends though.
ここまで述べてきた通り、この文の最後のthoughは「~(だ)けど」を意味してます。
ただ、表記の上では入れたほうがよい「カンマ(,)」が入っていないから、depends thoughと繋がって見えたんですねー。
A kind of guy I like depends, though.
こうすれば、dependsとthoughがちゃんと区切られます。
ただ、実際の会話では間をとぎらせずに流れるので、カンマを入れずに書く人がほとんど、と言えるぐらい多いです。
言葉の区切りが分かったところで、この文を分解してみましょーう!^^
A kind of guy I like+ depends+ , though
私が好きな男子のタイプは+(条件・各々で)違う+だけど
A kind of guy I like depends, though.
私が好きな男子のタイプって、その時その人でマチマチだけどねー
なーんて意味でーす。^^
ライタープロフィール●ケネス宮本
アメリカ、イギリスなどで計7年の海外生活経験をもつ生粋の日本人。英語教師、翻訳・通訳、コラムニスト。雑学(科学全般・歴史・芸術など)が大好き。色んな言語をカタコトで話すのも大好き。取得資格:ケンブリッジ英語教師資格(CELTA)ほか語学系。