E雑学【6】海外ドラマ・映画を英語学習
に役立てるために知っておきたいこと①

ドラマや映画は難しい、疲れる

それならこうして役立てよう!

留学や旅行、海外に行く時や海外にいる時に知っておきたい情報、さらには英語の上達法などさまざまな情報をケンブリッジ大学認定講師であり、海外滞在、留学経験のあるライター、ケネス宮本がご紹介します。海外に行く時や現地で知っておくといいお役立ち情報などをご紹介します。

 

海外ドラマや映画を使って英語を勉強してる方は多いですよね?

その反面で、「聞き取れない!」、「解らない!」、「疲れる!」という声もよく聞きます。

 

でも、これじゃいけないんだ、自分をダメだ、と悲観する必要はありません。

聞き取れるようになろうとしてる人が、聞き取れる人のすることをできないのは当然です。

 

そう達観した上で、じゃあドラマや映画をどう英語学習に役立てればいいのか、を見ていきましょう!

 

 

基本は「好きなモノ」を。非日常的・専門的なものは語学的にアウト

ドラマや映画は、いわば視覚的・聴覚的に小説を読むようなものです。

だから、自分が楽しめる娯楽作品としての質の高さが必須。

そこに「語学に役立てる」という条件が加わると、選択肢はさらに絞られます。

 

語学の焦点は、「自分が身をおく世界で使われる言語を身につける」こと。

非日常的な場面や用語は、語学の範疇からは外れる、もしくは語学の超1級レベルのものです。

 

ネイティブにだって人それぞれジャンルの好みがありますし、専門性が高かったら難しい、疲れる、と感じるもの。

英語のドラマや映画なら何でも解らなくちゃいけない・制覇しなくちゃいけない、なんて心理には陥らないでくださいねー。

 

では、英語の上達に役立てるための「自分にあった」ドラマや映画はどうやって選べばよいのかを見ていきましょう!

 

大前提は、自分が「好きなドラマ・映画」であること

これが「自分にあった」ドラマ・映画の絞り込みの第1段階になります。

楽しめない…、長い…、となったら「ツラい…」だけですもんね。

 

何回も観たけど飽きない、たまに観たくなってしまう、なんて作品がきっとあるはず。

こういった作品は、すでにストーリーを把握してるだけに英語そのものに集中しやすいです。

「こう言ってたんだ!」といった発見・理解による感動も、好きな作品ならひとしお。^^

 

次に、ジャンルで「語学に適している」ドラマ・映画をふるい分け。

語学的にアウトなジャンル、セーフなジャンルなどを見ていきましょう。

 

アウト:SF・ファンタジー、歴史モノ、裁判モノ、アニメ、シットコム、など

SFでは、技術的すぎて解りにくい上に、日常では使われない言葉・表現が頻発します。

歴史モノも言葉が文語的だし、歴史的背景を知る必要がある作品もしばしば。

裁判モノも、一般人には解りにくいし使うことがまずない用語が多いのは日本のドラマ・映画でも同じ。

 

アニメには、キャラクターのクチの動きが音と合わない(視覚的な助けにならない)、声優さんの声が特殊だし早口で聞き取りにくい、などの難点があります。

(ただしディズニー映画など制作にお金がかかってる作品は別)

 

シットコム(シチュエーション・コメディ。観覧者の笑い声が入るコメディ番組)は、特に近年のものだとジョークが複雑だし早口。

なんとか理解できても何が面白いのか解らない、なんて場合もしばしば。

 

これらは、語学的には超1級レベルだと思いましょう。

日本の歴史モノや裁判モノだって、外国の方が観て、ちゃんと理解してたら驚くでしょう?

 

セーフ:ドラマ、ラブコメ、ティーン映画、昼ドラ、など

これらは実際世界での日常生活が舞台になっていて、人間模様を描いてるので、僕たちにとっても「あるある」な場面での「言う言う」な言葉や表現がたくさん出てきます。

登場人物のファッションなど、英語圏での今のトレンドなどを知ることもできますね。

 

ちなみに、日本での「昼ドラ」にあたる番組をsoap opera「ソープオペラ」って言います。

石鹸会社がスポンサーにつく傾向があるからで、それは日本でも同じですねー。

ただ、英語圏でのsoap operaには、夕食時に放送されるものもあります。

スポンサーが石鹸会社じゃないとしても、家族関係、オトナな危ない恋愛や葛藤を描いてる種のドラマならsoap operaです。

 

国だけでなく個人のナマリにも注意

英語だけに限りませんが、国や地域によってナマリがありますよね。

聞き取りやすいナマリもそうでないナマリもありますが、実は個人でもそれが言えます。

 

言ってることが聞き取りやすい俳優さん、聞き取りにくい俳優さんもいるんです。

(ネイティブの一般人でも同じ。こちらが聞き慣れるのに時間がかかる人はいます)

ですから語学的には、聞き取りやすい話し方をする俳優さんが出てる作品が理想的です。

 

ちなみに僕(ケネっち)には、ラッセル・クロウさんの喋りが聞き取りにくいです。

彼のmumble(マンブル。ボソボソと不明瞭に喋ること)はカッコいいんですけどねー。笑

あと「ロード・オブ・ザ・リング」のガンダルフ(イアン・マッケランさん)も、声がこもってる上に超文語的なセリフで解りにくい!

 

ケネっちの印象に残っている「個人的」オススメ作品

僕の独断と偏見で、語学に役立てるためのオススメ作品をいくつか紹介しますね。

 

●バック・トゥ・ザ・フューチャー(Back to the Future

いちおうSF映画ではありますが、ストーリーの大半はラブコメ。

性的・暴力的な描写もごく少なく、映画界だけでなく語学界にもおける傑作です。

僕も中高生のときに何回これを観たか分かりません。

「『なんでもない』ってnothing.って言うんだ!」と、さりげな表現をプチ発見したり。

ドクがDo you know what this means?「これが何を意味するか解るかね?」と言う場面で「ついこないだ勉強した間接疑問文だ!」などと感動したり。

 

●ノッティング・ヒルの恋人(Notting Hill

場面やキャラクターの動作での視覚的に理解できる部分が多く、セリフはそこに乗っかってる、といった感がある語学的に理想的な作品。

(映画制作においてもそれが理想とされてます)

イギリス人のさえない書店経営者役ヒュー・グラントさんのイギリス英語と、ハリウッド映画スター役ジュリア・ロバーツさんのアメリカ英語とを対比できるのも魅力。

物語中にも、グラントさんのイギリス表現を、ロバーツさんが新鮮な驚きで笑うシーンがあります。

 

●ラブ・アクチュアリー(Love Actually

こちらもイギリス英語を身につけたい方にオススメ。

たくさんの登場人物たちの立場と人間模様を描いてるのがよいですね。

この作品にも、人の好さそうな(?)総理大臣としてヒュー・グラントさんが出演してます。

 

●アイ・ラブ・ルーシー(I Love Lucy

アメリカで最も視聴された番組、元祖アメリカン・シットコム!

はちゃめちゃな主婦ルーシーと芸能人の夫リッキーを中心に繰り広げられる騒動が、めっちゃキュートで面白い!

1950年代の白黒映像ですが、時代も時代だけにジョークが複雑でなく、すでにテレビの面白さを極めていたとさえ言える歴史的な名番組です。

僕が90年代にアメリカにいた時は、平日の午前中に再放送されていて毎日それを観るのが楽しみでした。

 

●ディズニーなどの高予算アニメ映画

世界市場のさすがな高予算、子ども向け・家族向けに練られたさすがな制作。

キャラクターの動き・表情は実際に忠実で、飽きさせないため・理解を助けるためにセリフの応酬も短いものをたくさん、といった作り。

お子さんと一緒にくりかえし観ちゃうのだって、立派に英語の勉強に時間を割いてることになるでしょう。笑

 

いかがでしょうか?

ご自分のための語学に適した作品が分かったら、次回それを使って学習につなげるための心得と方法を見ていきましょう!

 

 

ライタープロフィール●ケネス宮本

アメリカ、イギリスなどで計7年の海外生活経験をもつ生粋の日本人。英語教師、翻訳・通訳、コラムニスト。雑学(科学全般・歴史・芸術など)が大好き。色んな言語をカタコトで話すのも大好き。取得資格:ケンブリッジ英語教師資格(CELTA)ほか語学系。

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