【海外NEWS5】オバマ大統領広島訪問
歴史的瞬間のスピーチから見る英語表現
被爆者のコメントの英訳も
会話で使える応用例も紹介
アメリカのオバマ大統領は5月27日、安倍首相とともに、現職大統領として初めて被爆地である広島を訪問し、平和記念公園を訪れました。平和記念資料館を見学し、原爆死没者慰霊碑に献花。広島や長崎を含む、第二次世界大戦で犠牲になった日本人や外国人全てに哀悼の意を示しました。世界的なニュースとなり、さまざまなメディアで報じれていますが、そのスピーチの内容を見ていきましょう。
「スピーチする」「プレゼンする」はDo a speachじゃない?
今回のテーマはオバマ大統領の広島でのスピーチですが、人前でスピーチやプレゼンテーションを行う時、英語で何て言うでしょうか? Do a speechやDo a presentationと思っていませんか? 確かにこれでも通じるのですが、正しくはgive a speechもしくはgive a presentationで「スピーチを行う」、「プレゼンテーションを行う」という意味になります。会話例は次の通り。ぜひ参考にしてみてください。
I have to give a speech at the wedding ceremony.
私、結婚式でスピーチをやらなくちゃいけないの
She is going to give a presentation at the sales meeting.
彼女が営業会議でプレゼンするんですよ
オバマ大統領のスピーチから会話に使える表現はこれ
日常会話でも使える表現、知識として知っておきたい言いまわしなどを紹介します。早速、オバマ大統領のスピーチを見ていきましょう。ここにスピーチ全文が記載されています。
▶cloudlessという表現に注目
冒頭に、Seventy-one years ago, on a bright cloudless morning「71年前、雲ひとつない明るい朝に」とあります。ここで使われているless「ない、少ない」は頻繁に使われます。
例えば、meaningless「意味がない」やwireless「無線」、またendless「終わりの無い」というように名詞+lessで「~がない」という形容詞に変化します。
▶「たくさんの韓国人、アメリカ人」にはこの言い方
二節目の最後にthousands of Koreans, a dozen American~「数千人の韓国人、多くのアメリカ人の~」とありますが、「数千人の~」や「数百人の~」と表現する時は、thousands ofやhundreds ofと付けます。a dozenは「ダース」の単位の意味で、「多くの~」という意味になり、人に対しても物に対しても使います。A dozen of Japanese tourists came to this event.「たくさんの日本人観光客がこのイベントに来てたよ」やA dozen of eggs.「たくさんの卵」などと言ったりします。
▶日本語でも言う「スパン」実際の言い方
また六節目にIn the span of a few years「ほんの数年の間に」とありますが、In the span of~で「~の間に」と期間を表現する時に会話で使えるフレーズです。日本語の会話の中で特にビジネスでは「中期的スパン」というように使われることがあるので、馴染みのある方も多いかもしませんね。
実際の会話では、We need to think about it in the span of long term.「そのことについて長期スパンで考える必要があるよね」などとも言えます。
被爆者の坪井さんのコメントはこの英文に英訳
今回、オバマ大統領に謝罪を求める声もあった一方で、広島を訪れたこと自体に大きな意味があるという評価も多かった歴史的なできごとになりましたが、スピーチの後に被爆者に歩み寄り、そのひとりと抱き合った光景がありました。
被爆者代表のひとりである坪井さんはこのように述べています。
I hope that he will present in Hiroshima what is good for the happiness of humankind.
I would like to join hands with each other~
私はオバマ大統領が人類の幸福にとって何が善なのかを考える時、広島を決して忘れないで欲しい。お互いに手を取り合って~
▶決して忘れない、と言いたい時に使える表現
Present inは「心に留める、決して忘れない」という意味になります。広島訪問をしっかりと心に刻み、人類の幸せを考えて欲しいという、切なる願いが込められたフレーズです。
実際の会話では、Let's present in this moment. 「この瞬間を忘れないようにしよう」などと言いたい時に使えます。
▶手を取り合う、という表現はこれ
join hands with each otherで「手を取り合う、互いに手を繋ぐ」という意味になり、原爆投下から71年を経た今、この歴史的訪問を節目に新しい一歩を踏み出したいという思いが伝わってきます。
実際の会話例ではIt is very important that we join our hands with each other to solve this issue.「この問題を解決するために、私達が互いに手を取り合うことはとても大切です」などと言うことができます。
ケリー国防長官の原爆資料館を見学した時のコメントGut-Wrenchingとは?
オバマ大統領が広島を訪れる前の4月、G7外相会議に先掛けてケリー国務長官が広島を訪れており、平和記念公園と原爆資料館を見た彼はGut-Wrenchingと表現しましたが、Gut「内臓」Wrenching「ねじれる」が組み合わさった形容詞です。内臓がねじれる程、胸をえぐられる程衝撃的な内容であったと国務長官が表現したものです。
オバマ大統領はスピーチの最後にこう述べています。
The world was forever changed here but today the children of this city will go through their day in peace.
What a precious thing that is. It is worth protecting.
ここで世界は永遠に変わってしまいましたが、今日、この街の子ども達は平和な日々を過ごしています
なんて尊いことでしょう。守るべき価値があります
ちなみに、What a~で「なんて~でしょう」という熟語となり、日常会話でもWhat a beautiful sunny day today!「今日はなんて美しい晴れた日でしょう!」などと言ったりします。また、It’s worth~で「~する価値がある」という熟語となり、日常会話ではIt’s worth doing it.「それやる価値あるよ」と言います。
英語やその国の言語を深く知ることで、相手の国の文化や習慣を理解し尊重し合って平和な世の中となりますように。
ライタープロフィール●Cinnamon Roll
高校で米国へ留学し、外語大で英語を専攻。卒業後に日本のメーカーで海外営業を担当し、その後外資系メーカーでキャリアを積み、現在は語学研修コンサルタントとして活動。これまでの経験を生かし、日常英語に加え、グローバルビジネスでも通用する英語も少しずつ紹介していきます。