『英国紳士と国際結婚@ロンドン』著者
に聞く「イギリス留学と国際結婚」(後編)

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取材・文/甲斐真理愛(編集部)

 

大人気ブログを書籍化した『英国紳士と国際結婚@ロンドン』の著者、白田あやさんをインタビュー。イギリス人の旦那さんイアンさんと、ロンドンで幸せな結婚生活をおくる白田さん。そんな白田さんに留学についてお伺いした前篇に続き、後半ではイギリスでの生活や結婚について、また、イアンさんとの出会いと国際結婚の魅力についてお伺いました。

 

――渡英当初は英語をうまく話せなかったという白田さん。イギリスで働くには、かなりの英語力が必要なのでは?

イギリスで働く多くの日本人は日系企業で働いているのですが、求められるのはだいたい日本語+技術やスキルなので、英語がそれほど得意でもない人って実は結構いるんですよ。
私も渡英当初はそうで、SVO(主語、動詞、目的語)で成立するような短い文章か「and」や「but」でつなぐシンプルなことしか言えず、それで文が組み立てられないと黙り込んでしまいました。なので、よく使われる“接続詞”になる単語をノートに書き出して、それを見ながら文章を作る練習をしていた時もあります。会話力を付けるには案外効果があったと思います。
また、「英会話力が伸びる」チャンスはトラブルに遭遇した時にやってきます。水漏れしたとか、銀行のカードが届かないとか。これはマズイ!と必死になって英語で苦情の電話をかけるのですが、そういう時は不思議と上手く話せたりします(笑)。イギリスの生活はトラブルがつきもので、自力で解決しなきゃいけないことがたくさん起きるのですが、英語で交渉したり手続きしたりしながら生活するうちに、実践的な英語力が身に付くと思います。

 

――少しずつ英語力を身につけ、イギリスの生活に馴染んでいった白田さん。婚活をはじめたのはひょんなきっかけだったとか?

イギリスに来て最初にできた女友達2人組が彼氏のいない独身女性たちで。そんな女性が集まれば自然とそういう方向になっちゃうんですよ(笑)。「みんな、彼氏いなの?」「じゃあ、婚活やろう、やろう!」みたいな、ノリですね。彼女たちが誰にでも積極的に声をかけるタイプだったので、色んなパーティにも行きましたし、そこでバカな話をしてはゲラゲラよく笑ってました。とはいえ、当時は私の英語はまだまだでしたからネイティブたちの会話についていけないことはよくありましたよ。でも、あまり気にせず出歩いたせいか沢山の出会いがありました。「今後どうなるかわからないから」って女同士で言いながら、何でもない小さな出会いでも全部拾ってましたね。(笑)
ちょうどその頃主人のイアンとも出会ったのですが、そうこうしながら縁を引き寄せたのかもしれませんね。笑う門には福来るとはよくいったもんで。

ロンドンは日本人びいきの人が案外多く、どこへ行っても日本に興味があるという人に出会うので、ニコニコしていれば多少英語が下手でも友達をつくるのはそれほど難しい事ではありません。そういう意味でロンドンは、日本人にとって暮らしやすい国だと思います。逆に、イギリスでムッとした顔で道を歩いていると「smile!」なんて知らない人に言われましたね。私は渡英当初、1週間に3回くらい言われて「ワタシ、そんなに怖い顔してる?」ってちょっと驚きました。というのも、その頃はトラブル続きで話す友達もいないし、ムッとした顔で道を歩いていたんでしょうね。それじゃあ友達なんてできませんよね。

 

――楽しいオーラって大切なんですね。他のアプローチ法も教えてください!

日本でもそうだと思うのですが、誘うのならさりげなく、軽い感じが良いのではないでしょうか? メールも「この間は楽しかった! またどう?」って、軽いノリで明るく。それで相手を油断させるというか、罠なんてないわよっておびき出す、みたいな (笑)。
また、こちらの友人たちのアドバイスでも、男性とのメールは真面目すぎる文章にはしない方がよいと言われました。逆に、ちょっと仲良くなった相手には小憎らしいシャレを言っても多少の毒を吐いてもOKかなという気がします。私は日本では男性に「きつい女」と思われていた方だと思うのですが、この国では全然ですよ。イギリスにきて普通になれて良かったなと(笑)。
ちなみに私の髪型は漫画の通り、ストレートパーマなんですけど、イアンはすごく気に入ってくれてます。若い頃は毛が多いのが悩みの種だったですが、今はコレのおかげで声をかけられたりすることもあるんですよ。イイ歳してこんなこと言うと「それはアナタの勘違いじゃないの!?」って笑われちゃいそうですけど(笑) 。

 

――日本人女性が海外でモテるって、本当なんですね。

モテるというよりは「声がかかる」という方が正解かもしれません。その後どう発展するかはまた別の話じゃないかなと。イギリス人は男女とも、外見や雰囲気だけではなくてその人の生活や仕事なども含めて見て「自分に合うかどうか」判断する人が多いように思えます。見た目や年齢で判断してこないということだけは、私が証明しています。(笑)

 

――イアンさんも、白田さんに声をかけたんですか?

そうです。イアンはITプログラマで私は当時Webデザイナーで、ネットを通じて知り合いました。まあ、ナンパと一緒ですよね、他の人にも同じようなことをしてたんだろうとは思ってますけど詳しくは知りません。私としても当時はどんな出会いも逃さない勢いがあった時だったので、とりあえずつかんでおきました(笑)。
イアンは当時、日本語は「こんにちは」どころか何一つ知らない、日本のことも全然知らなかったんです。こういう人が日本人に声かけて来るって珍しいのですが、彼の知り合いのイギリス人が日系企業に勤めていて、「君には日本人が合うかもね」って言ったらしいんですよ。初めて会った時はあまり笑顔も見せないし何を考えてるかサッパリわかんない、「この人はナイな」と思ってたんですが、今は結婚して良かったと思います。この縁をウッカリ逃さなくて本当に良かった! まあ、具体的な馴れ初めは単行本に描いてありますからそれを読んでいただくとして。(笑)

外国人ってなんとなく積極的なイメージがあると思うんですけど、イギリス人って日本人と似ている気がします。素朴で穏やかでガツガツしてない人も沢山います。とはいえ、こちらの人はイアンも含めて草食系に見える人でも基本はやっぱり肉食といいますか、日本人女性と合うんじゃないかなと思います。でも、当然、遊び人なチャラ男もいるので、油断は禁物ですけどね。

 

――素朴な男性が多いとは意外です。そんなイギリス人男性と結婚した白田さん的“国際結婚の魅力”を教えてください。

日本人同士で結婚すると味噌汁の味とか、そんなミクロのことまで気が付いてしまいますよね。でも、国際結婚だと味噌汁は赤みそでも白みそでも、「ミソスープ」でしかなくて、日本の手抜きメニューでも「ジャパニーズフード」なんですよね。ロンドンでは和食は大人気ですから、何を作っても喜んでくれるのは楽です。

また、こちらの人はプライベートの時間を大事にする人が多く、仕事のつきあいで忙しい、という人の方が少数派です。私達は毎日一緒に食事しますし、パブにもよく行きます。「今日は何していた?」「何か面白いニュースはあった?」こんな会話を毎日毎日飽きもせずに続けています。嬉しかったことがあれば一緒に喜んでくれて、イヤなことがあったら聞いてくれる。そんな相手がいつもそばにいてくれるって良いものですよ。愛の言葉と感謝の言葉をマメに言ってくれるし(笑)
とはいえ、束縛とかは全然なくて、友達と遊びに行くのも全然OKです。こちらの夫婦はだいたいフェアな関係を維持するものですから、バランスは大事ですけどね。

私達はお互いに必要以上にあれこれ詮索し過ぎたり何から何までわかり合おうとかわかってもらおうとかしないんですよ。人それぞれ考え方が違ってあたりまえ、特に国際結婚は文化背景が明らかに違うという前提で相手を見るから、そうゆう考え方もあるねって尊重しやすいのかもしれませんね。
本当に大事なところを押さえておけば、あとは受け入れたり流したりしてやってます。考えがぶつかった時はケンカしますけどね。

もちろん、日本人男性だってこのくらいさらっとこなせる素敵な人は沢山いるのですが、そういう人には既に素敵な相手がいたりするもんですよね。「いい相手がいない……」と嘆いたり、婚活に行き詰まりを感じた人は、海外に視野を広げてもいいと思いますよ

 

 

■プロフィール
白田あや(しらた・あや)
南ロンドン在住。大人気ブロガー、コミックエッセイスト。デザイナーとしても活躍中。

●白田さんブログ『英国紳士と国際結婚@ロンドン』
http://ameblo.jp/living-london/

 

◀「英国紳士と国際結婚@ロンドン」(富士見書房)
英国人イアンとの出会いから結婚までの馴れ初めはもちろん、ロンドン留学や国際結婚のアルアル話まで盛りだくさんの4コマエッセイ。イギリスでの婚活バナシは必見、イアンが初めて日本を訪れた時のエピソードも多数収録!


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