TOEIC®満点芸人 石井てる美さん(後編)
「エリート街道を捨て、夢を選んだ理由」

Cheer up! Interview!
〜英語を学んだ先輩からのメッセージ〜 Vol.06

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撮影/長谷川梓 取材・文/甲斐真理愛(編集部)

 

TOEIC®満点・英検1級、マッキンゼー・アンド・カンパニー元社員という異色の経歴を持つ、芸人の石井てる美さんを直撃したインタビュー後編。
英語学習のポイントについて伺った前編に続く後編では、マッキンゼーでの経験や、キャリアを捨ててお笑い芸人の道を志したきっかけなどについて伺いました。

 

――コツコツと英語を勉強し、2008年、新卒でマッキンゼーに入社された石井てる美さん。マッキンゼーを選んだ理由を教えてください。

 

英語を使えて、自分が成長できる会社ならどこでもいいと思っていました。それで、外資系のコンサルティングや海運会社を受けたんですけど、マッキンゼーは面接を受けた時期が早くて。それで思いがけず内定をもらえたので、ここにしようと。

 

――すごいですね! どんなプランをたてて、どんな就活をしたらマッキンゼーに採用されるんですか?

 

私の場合、マッキンゼー世紀の採用ミスだと思いますけど(笑)。プランをたてるとかカッコイイものはなにもなくて。ただ、“就活における、企業選びの3つの軸”は決めていました。1つ目は、「国際的に活躍できて、英語が使える会社」。2つ目は、「自分が成長できる会社」。3つ目は、「世の中に貢献している会社」。その軸に基づいて考えたら、外資系のコンサルになったんですね。

また就職活動で、「私は学生時代にこんなことを頑張りました。だからこの会社に入りたいです」という経験や、やりたいことに対する思いを話すことが出来たら、絶対に大丈夫だと思っていました。そのためにも、学生時代はやりたいことをちゃんとやろうと考えて。大学時代にはタイの研究機関で1ヵ月半勉強して、大学院時代には、フィリピンやデンマークの企業にインターンにも行かせてもらいました。そうやって様々な国で経験を積んで、「ここまで色々とやってきたから、どこかには評価してもらえるだろう」と思って過ごしていました。

ただ、マッキンゼーは誰もが憧れるヤバい企業。私は無理だろうと思って受けましたが、奇跡的に受かって。周りは「絶対に行くべきだ!」と大騒ぎしてくれました。 正直、(自分にはマッキンゼーで働く能力が足りない)という不安もありましたが、せっかくのチャンスだし、今まで頑張ったら大抵のことはなんとかなってきたし。マッキンゼーも働いてしまえばなんとかなると考えていたんですね。

 

――実際はどうでした?

 

大変でした。もうね、無理するもんじゃないです(笑)。マッキンゼーは入社してすぐに裁量の大きいシビアな仕事を任せられるのが当たり前なんですが、私も自分には無理だと思うプロジェクトを任されて。当時は真面目で、「失敗しちゃいけない、逃げちゃいけない」みたいな考え方でしたし、頑張ってもどうにもならないことがあるって認められなかったんですね。今思えば、「このプロジェクトは今の自分の成長のためにならないので」とか、上司に上手く訴えてかわす方法もあったんですけど。そんなことを言ったら自分の評価が下がる、みんなは出来ているのになんで私は出来ないのか……。そう思い詰めて言えなくて、どんどん自分を追い込んでしまいました。

辞めるきっかけになったプロジェクトには英語が必要だったのですが、英語が分からなくて仕事ができないのか、能力が足りなくてできないのかも分からなくなっていましたね。


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