日本人の英語力は世界で何番目?
英語教育の最前線(後編)
世界が目指すべき英語教育とは
イー・エフ・エデュケーション・ファースト(EF)は1月29日、「日本の英語教育はどこに向かうか」について議論を行う『EF 英語教育シンポジウム』を開催し、教育の従事者をはじめとした観客220名が来場しました。前編では、イー・エフ・エデュケーション・ファースト教育部門・常務取締役のDr.クリストファー・マコーミック氏による2013年度の世界の英語指数の発表と英語教育が目指すべき指針のプレゼンテーションを紹介しました。後編では、「英語能力指数トレンドマップから読み取る世界が目指すべき英語教育」についてご紹介します。
「EF英語能力指数トレンドマップ」の世界的傾向として、ヨーロッパの国々は、依然として高い数値をキープしつつも、フランスだけが下降傾向を辿っています。またアジアはインドネシアとベトナムを筆頭に全体を通して上昇傾向。北アフリカと中東は最も英語能力の低い地域でアラブ首相国連邦を除き、英語力は低迷をみせています。それでは早速「EF英語能力指数トレンドマップ」の中身を見ていきましょう。
EF英語能力指数トレンドマップ
英語能力の国別トレンドを判断するため、第1版(2007-2009年)と第3版(2012年)におけるEF EPAのスコアの差を国別に算出したもの。
上昇トレンド
1 | トルコ | 11.86 | ↑ |
2 | カザフスタン | 11.73 | ↑ |
3 | ハンガリー | 9.61 | ↑ |
4 | インドネシア | 8.66 | ↑ |
5 | ベトナム | 7.95 | ↑ |
6 | ポーランド | 7.63 | ↑ |
7 | インド | 7.03 | ↑ |
8 | ロシア | 5.29 | ↑ |
9 | ペルー | 5.25 | ↑ |
10 | タイ | 5.03 | ↑ |
11 | アラブ首長国連邦 | 4.84 | ↑ |
12 | スペイン | 4.50 | ↑ |
13 | コロンビア | 4.30 | ↑ |
14 | オーストラリア | 4.08 | ↑ |
15 | スロバキア | 3.94 | ↑ |
16 | ポルトガル | 3.90 | ↑ |
17 | チリ | 3.57 | ↑ |
18 | マレーシア | 3.45 | ↑ |
19 | 中国 | 3.15 | ↑ |
20 | チェコ共和国 | 3.09 | ↑ |
21 | スイス | 2.99 | ↑ |
22 | エジプト | 2.97 | ↑ |
23 | ブラジル | 2.80 | ↑ |
24 | スウェーデン | 2.43 | ↑ |
25 | エクアドル | 2.36 | ↑ |
26 | リビア | 2.12 | ↑ |
27 | 台湾 | 2.02 | ↑ |
28 | ベネズエラ | 2.01 | ↑ |
微妙な変化
29 | イタリア | 1.92 | ↑ |
30 | ドイツ | 1.83 | ↑ |
31 | ベルギー | 1.51 | ↑ |
32 | フィンランド | 1.38 | ↑ |
33 | コスタリカ | 1.08 | ↑ |
34 | アルゼンチン | 0.94 | ↑ |
35 | シンガポール | 0.27 | ↑ |
36 | パナマ | -0.01 | ↓ |
37 | クウェート | -0.04 | ↓ |
38 | 韓国 | -0.73 | ↓ |
39 | 香港 | -0.90 | ↓ |
40 | 日本 | -0.96 | ↓ |
41 | デンマーク | -1.43 | ↓ |
42 | メキシコ | -1.57 | ↓ |
43 | モロッコ | -1.69 | ↓ |
44 | オランダ | -1.74 | ↓ |
45 | ウルグアイ | -1.93 | ↓ |
下降トレンド
46 | グアテマラ | -2.08 | ↓ |
47 | エルサルバドル | -2.36 | ↓ |
48 | ノルウェー | -2.49 | ↓ |
49 | フランス | -2.63 | ↓ |
50 | カタール | -2.82 | ↓ |
51 | イラン | -3.62 | ↓ |
52 | アルジェリア | -3.97 | ↓ |
53 | サウジアラビア | -6.86 | ↓ |
世界60カ国中、英語能力の向上において成功を収めた国を見ていくと、数値の上昇がみられなかった国が今後とるべき戦略が導きだされます。「EF英語能力指数トレンドマップ」の上昇国の傾向から、以下の6つの分析結果が得られました。
1.賢い英語教育への投資は利益を生む
「教育の現場で身につけた英語だけでは、職場で通用するレベルに達成することはできない」という理由から、日本では学校教育修了後の英語学習への投資は個人レベルでされています。また投資に関してはかけた金額ではなく、賢く選択をすることが英語力向上につながります。
2.学校は英語教育の基盤
ビジネス英語を使いこなせる人材を創造するためには、コミュニケーションスキルの向上を英語学習の核とすることが不可欠です。
3.教師の研修が成功の決め手
英会話を教育に取り入れることにおいて、もっとも重要になってくるのは教師に対しての十分な研修やサポートです。英語の教師が英会話の指導法を学ぶための、専門的能力開発と集中訓練のプログラムが必要になるでしょう。
4.試験の実施が教育の仕方に影響
入試や、修了試験は英語のコミュニケーションスキルの上達という目標にマッチしたものに作りかえる必要があるでしょう。
5.行政が英語教育を先導すべき
ビジネスのシチュエーションで英語を使用できる人材を増やすという目標においては国のリーダー、政治家や公務員など、行政が率先して手本となり国民に示していくべきです。例えば、政治家が国際的な舞台で英語を使ってみせるとか、教育者を海外に派遣するなど、国民にむけた行政によるアピールが重要です。
6.英語に直接触れることが必要不可欠
英語でのコミュニケーション能力を身につけるには、海外に行き、ボランティアをする、インターンに挑戦してみるなど実際英語に触れるということが必要不可欠です。
いかがでしたか。経済は今後ますますグローバル化され、海外諸国とビジネスにおいてのコミットや情報のシェアが不可欠になっていくでしょう。世界をマーケットとしてビジネスを行う際、コミュニケーションを円滑に進めるには英語力は最も重要なスキルになります。
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写真提供/EF Education First 構成・文/高石真帆(編集部)