E質問箱【32】いただきま~す! って
英語で言いたい! という人にはコレ!

ケンブリッジ大学認定英語教師

ケネス宮本が英語の疑問にお答え

外国人との会話中に、会社での商談の時に、ささいな英語の疑問がわくことってありますよね? そんなあなたの疑問に、ケンブリッジ大学認定英語教師のケネス宮本がお答えします。日頃ふと浮かんだ疑問、ぜひ気軽にメールで質問をお送り下さい。

Helloooooooooooooooooooooooooooo!!

How are you doing, people?
皆さん、どうされてますか?^^

今回は、食事に関するご質問を取り上げさせてもらいますよー。

 

★質問はこちら!^^

英語には「頂きます」がありませんよね?

何も言わないで食べ始める事にいつも違和感があって、何か言えることがあれば良いなと思っています。
ケネスさんはどうされていますか?


フランス語から拝借した食事開始フレーズ

日本人としてよく解るご質問ですね!
国際的な場においても「いただきます」の表現をもつ日本人の気持ちを忘れない、素晴らしい姿勢だと思います。^^

確かに、英語には「いただきます」がありません。
昔(かなり昔)だったら、どのご家庭でも、神様に感謝を表するお祈りをしてから食べ始めてたのかも知れません。
一般の人々のあいだで宗教的な生活習慣がほぼなくなった現代では、それがただ消えちゃっただけなんじゃないでしょうか。

そんな英語圏での「食事を始める際に口にするフレーズはなにか」というと、こちらがあります。

Bon appétit. /bɒn apəˈti/

カタカナにすると「ボナペティ」って言います。
ただし、僕たち日本人が言う「いただきます」とは意味も使い方もちがうので注意。

このBon appetit.は、フランス語からそのままの発音で使われてる表現です。
bonは「good(よい)」、appetitは「appetite(アペタイト、食欲)」ってこと。
「よい食欲」、つまり「たくさん食べる、食事を楽しむ」ってことなんですけれど、自分が食べることを指して言うものじゃないんです。

Enjoy your meal.
食事を楽しんでね

と、食事を始めようとしてる人に言ってあげるフレーズなんですよー。
誰かと一緒に食事する時とか、誰かに食事を出してあげる時、話してる相手が食事を始めようとしてる時、などに使えます。(英語でEnjoy your meal.というのもアリです)
やっぱり日本の「いただきます」とは違うので、シックリ来ないかも知れません。笑

 

正直なところ、このフレーズを使うネイティブの方々は、そうそういません。
使われる場合は、とても丁寧か、もしくはちょっとおどけた愛嬌を含んでる場合があります。
ですが僕は個人的に、相手への思慮がある良い表現だと思うので時たま使いますねー。

すると相手も、Thank you. You, too.「ありがとう。あなたもね」と返してくれます。(こちらが一緒に食べないときはThank you.だけ)
あなたも、誰かがBon appetit.と言ってくれた場合は、お礼(と思慮)を返してあげてください。^^

 

ケネっちもあきらめました。笑

さて、ご質問にありましたように、僕はどうしてるか。
英語に「いただきます」はないかな~、言いたいな~、とは僕もずっと思ってました。

でも、ないんです。
自分なりに考案しようとも思いましたけど、イマイチよいフレーズが浮かびません。
こう言おうかな、と思おうフレーズが浮かんでも、「何かを言う」って行為そのものが儀礼的すぎて(=余計な行為なので)、相手や場を困惑させることも考えられます。
しかも、英語圏の文化(物事の流れ・リズム)に慣れると、言わないことも自然になっちゃいます。
だから、僕もなにも言いません。^^;

 

ただし、何も言わないことと、感謝を表す・心に抱くのを忘れるのは別のことです。
僕は後者はイヤなので、「いただきます」は言わないにしても、一瞬だけでも両手を合わせて拝んでから食事を始めます(ひとりでも日本語ででもやります)。
他の人と食べる時、特にフォーマルな場でも、いかにも食事にとりかかるぞというように両手をこすり合わせながら、瞬きと見せかけて、周りに悟らせることなく拝みます。笑

誰かと一緒に食べる時なら、OK, let’s eat!などと開始の掛け声をかけるのも、もちろんヨシ。
あと、食事を出してくれた方やウェイターさんなどにThank you.と言うのを、「いただきます」の代用と考えるのもアリかも知れませんね。^^


英語には「ごちそうさま」もない

「いただきます」を言わない英語圏では、「ごちそうさま」も言いません。
こちらもまた、「いただきます」と同じように、食事を作ってくれた方、出してくれた方に対してThank you. / Thank you for the meal.と言うことで代用できますね。

もちろん、その場に相手がいなくてもThank you.を念じる意味で言葉にすることもできます。
僕としては、食べ物そのものへの感謝も含むので、言葉にするか、しないにしても手を合わせたりします。笑

 

日本の「いただきます」「ごちそうさま」を教えてあげるのもアリ

それなりに近い間柄の人になら、日本の「いただきます」と「ごちそうさま」を教えてあげるのもわるくないですねー。
僕も、親友や恋人、そのご家族と会食する時などに話したことがあります。
せっかくですから、僕がなんて説明するかもご紹介しときましょっか。^^

まず、食事を始める時に、「いただきます」を言っちゃいます。
すると、相手はWhat is that?「なにそれ?」とか、What did you just say?「今なんて言ったの?」なんて訊いてきます。
そしたら…。

Itadaki-masu.
In Japan, we say this when we start eating, to show appreciation.
It means simply, “I am going to have it,” but the manner of speech is polite.
いただきます
日本では食べ始める時に、感謝を表してこう言うんだよ
意味は単に「もらいます」ってことだけど、丁寧な言葉遣いなんだ

なんて感じ。^^
Eat a duck and mouse.(アヒルとネズミを食べなさい)と早口で言うと「いただきます」に似てる、なんて古いジョークもありますね。笑
それを教えてあげるのもアリです。

頭の回転がはやい人だと、「じゃあ食べ終わった時はなんて言うの?」なんて訊いてきます。
そうでなくても、実際に食事を終えた時に「ごちそうさま」を言えば訊かれることになります。
そしたら…。

Gochiso-sama (-deshita).
It means, “It was a feast,” with a manner of deep appreciation.
ごちそうさま
「これはご馳走だった」って意味で、深い感謝を含んでるんだよ

こんな感じの説明でよいでしょう
もし、さらに突っ込んだ説明をしたい方には、こんなのどうでしょう。^^

“Gochiso” means “feast.”
But it originally means “running around.”
So we are also saying, “Thank you for running around to prepare this wonderful meal.”
「ご馳走」は「feast(特別・格別な食事)」ってこと
だけど、元々は「走り回る」って意味なんだ
だから僕たちは「この素晴らしい食事を用意するために走り回ってくれて有難うございます」とも言ってるんだよ

僕もアメリカで、ある年11月のThanksgiving(感謝祭)の夕食に招いてくれた親友一家と食事をしながら、この話をしたことを憶えてます。
するとお母さんが、That’s so true! I really run around to get all the food!「その通りね! 私も実際に、食材を揃えるのに走り回るもの!」と言ってました。^^

いかがでしょうかー?^^

 

 

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ライタープロフィール●ケネス宮本
アメリカ、イギリスなどで計7年の海外生活経験をもつ生粋の日本人。英語教師、翻訳・通訳、コラムニスト。雑学(科学全般・歴史・芸術など)が大好き。色んな言語をカタコトで話すのも大好き。取得資格:ケンブリッジ英語教師資格(CELTA)ほか語学系。


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