教育と英語に精通する乙武洋匡氏(前編)
「英語を学んで色んな国の人と話したい」

〜英語を学んだ先輩からのメッセージ〜Vol.08

 

――英語を勉強していてよかったと思うのは、どんな瞬間ですか?

 

うーん、あんまり身についてはないんですけど……。
今、ちょうど世界各国の大使と対談するという連載をスタートさせようとしているんですけど、それも当然、通訳さんをはさんでのインタビューになるんですよ。僕は、人の考えていることを引き出して知ることができるインタビューがすごく好きなんですけど。そのインタビューの時、通訳さんをはさんでしまうとやっぱり悔しいというか自分の良さがあまり発揮できないなぁと思って。そういう時も「英語をもっと勉強しないと!」と思います。

 

――では、日本人にとっての英語の必要性についてはどう思いますか?

 

今まで日本人にとって英語は、日本で暮らしている限りそんなに必要ではないけども、海外でグローバルに活躍しようとするなら必要。という位置づけだったと思うんです。でもこれからは違ってくると思っています。というのも、日本の人口がどんどん減っていて、2050年には1億人をきり、2100年には下手したら5000万人をきるとなった時に、移民や外国人労働者を受け入れていく選択肢も考えられる。日本にいながら、異文化、他言語を用いてのコミュニケーションが必要になってくるわけです。そうなると、グローバルに活躍したい人だけが英語を勉強する時代ではなくて、日本人全員が身につけないといけない状況になると思います。

近い未来、仕事で敬語を当たり前に使いこなせるように、英語を使いこなす必要がある時代がくるかもしれません。例えば、職場の3分の1が外国人なのに英語を話せないと「仕事を任せられないよ」と言われてしまうような。そんな時代になってもおかしくないと思いますよ。

 

――きたるグローバル時代に備えて、コミュニケーションに使える“生きた英語”を身につけることが重要だといえそうですね。後半では、東京都の教育委員を務める乙武さんに、若い世代に生きた英語力を身につけさせるための、教育現場の取り組みなどについて詳しくお伺いします。お楽しみに!

 

■プロフィール
乙武洋匡(おとたけ・ひろただ)
1976年4月6日生まれ。東京都出身。大学在学中、自身の経験をユーモラスに綴った『五体不満足』(講談社)が500万部を超す大ベストセラーに。1999年3月からの1年間、TBS系『ニュースの森』でサブキャスターを務める。大学卒業後は、「スポーツの素晴らしさを伝える仕事がしたい」との想いから、『Number』(文藝春秋)連載を皮切りに執筆活動を開始。スポーツライターとして、シドニー五輪やアテネ五輪、またサッカー日韓共催W杯など、数々の大会を現地で取材。翻訳絵本『かっくん』(講談社)を手がける。2005年4月からは、東京都新宿区教育委員会の非常勤職員『子どもの生き方パートナー』として教育活動をスタートさせる傍ら、明星大学の通信課程に学び、2007年2月に小学校教諭二種免許状を取得。同年4月から2010年3月まで杉並区立杉並第四小学校教諭として勤務。教員経験を活かし、東京都内に『まちの保育園』をオープン。現在は東京都の教育委員を務める。
●乙武洋匡オフィシャルサイト:http://ototake.com

 

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撮影/長谷川梓 取材・文/甲斐真理愛(編集部)


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