世界に触れてみて変わる、幸せな生き方
~家族編~
日本では『家族』というのはどういったものだと考えられているでしょうか? 男性にとっては、外で一生懸命働いて成果を出すための安住の場所。女性にとっては、仕事として家政を守っているというのが一般的でしょうか。基本的に親として、子供としてそれぞれの立場からみても、円満な家族生活を作り上げるために励むという根本的な部分はあります。しかし現状として仕事が忙しすぎて家族と過ごす時間が少なかったり、子供の世話に追われて夫婦の時間が取れず不仲に、という本末転倒な事態に陥っているパターンも多くみられます。それぞれの家族や、例えばその家のお母さんが悪い、子供が悪いというような個人単位の問題ではなく、そうでもしないと生活ができなかったり、すぐにインターネットで叩かれるというったような風潮を持つ社会に問題があるのだと思います。今回は、筆者が世界中を渡り歩いて見てきた家族の在り方をご紹介します。どの国が良いとか悪いとか、そんな事ではなく、いつかあなたの作り上げた家族の歯車がうまく動かなくなってしまった時に、なにか改善のヒントになったらいいなと思います。
夫婦が恋人のように振る舞うフランス
フランスを旅していると、いくつになっても恋愛関係のような振る舞いをする夫婦が多くて驚きます。日本に比べたらヨーロッパは特に恋愛にオープンなイメージがありますが、筆者が見た中でもフランスは特別に、という印象です。調べてみると、フランス人は何より夫婦の時間を大切にする事に重きを置いているようでした。子供を育てるという事はもちろんですが、日本のように何より子供優先という事はなく、自分たちの夫婦生活を円満にしてこそ、子供が幸せに育つという考えの様子。なので、子供をベビーシッターに預けて夫婦でパーティに出かけることも比較的に抵抗なく行われています。形式的にも、結婚よりライトな契約のPACKSという夫婦の形や、結婚していないが共に子育てをするという形も社会として受け入れられている為、家族の形がかなり柔軟なのだと思いました。
結婚で新婦には新郎からお金は支払われるイラン
人口のほとんどの割合が敬虔なイスラム教徒とされる、イラン。ここ最近ではイスラム教の人は過激な思想を持っていて危ないのでは、と思われてしまう事が多いですが、筆者が滞在した時は全くそういった印象はありませんでした。こんなに人々は親切なのか……! と驚くほどで、道を聞いてもすぐに助けてくれ、外国人である私を家に招待してくれようとしたりと、かなりフレンドリーでした。(自分の身の安全の為、現地の文化を尊重する為にヒジャブを着用し、肌の露出をしないようになどしたからかもしれません。)イスラム教の影響で、結婚は必ずするもの、恋愛などの精神的な部分よりも、いかに自分に有利な条件で結婚契約が交わされるかが重要視されているようです。男性にとっては自分の遺伝子を残し、家庭を守る女性と契約するもの。女性にとっては結婚に際しいくら支払われるか、自分を安定して養ってもらえるかが焦点となっているようです。そういった点でも他国に比べ女性蔑視的に見受けられますし、夫婦間の愛情についてはかなりドライに感じますが、家族という単位で考えるとかなり広範囲の親族に対しても非常に繋がりが強く、それぞれ役割分担もはっきりしているので正しく成り立っているように感じました。しかし他国の自由な女性のライフスタイルを知り、羨ましく感じている女性もいるという現実もあります。筆者がイランの女性と話すとき、あまりそういった情報を伝えない方が彼女たちの家族生活が円満に過ごせるのではないか……と葛藤した記憶があります。
部族の子供はみんなで育てるカメルーン
日本のテレビでも昨年報道されて話題となったアフリカ、カメルーンの少数民族バカ族の家族の形。約50人程度の部族で、血縁関係でいえば9家族存在するのですが、その部族間では自分の子供とほかの子供というわけ隔てがなく、自分の子供ではなくても授乳したりお世話したりという事が当たり前となっています。それは女性だけではなく男性でも同じこと。これはあまり便利とは言えない生活の中で生きていくための術として発達したのでしょう。筆者はここへは訪問したことはないのですが、他のアフリカの部族を見てみても、やはり集落内では家庭同士の垣根がかなり低くみんなで大きな家族、といったイメージがありました。人数が少ないからこそうまくできるのかもしれないですが、どこの国でも社会としてこの位密にそれぞれを助け合う形態が成り立っていたら、もっと幸せに大らかに家族を営むことができるのではないかなと思います。
shares