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英語から読み解くアメリカの地名、その意味は?

“カザフスタン”が“カザフエリ”になるかも!?

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先月、中央アジアの国・カザフスタンのナザルバエフ大統領が、国名を「カザフスタン」から「カザフエリ」に変更する意向を表明した、とのニュースが飛び込んできました。なんでも、タジキスタン、ウズベキスタンなど国名に「スタン」がつく隣国との差別化を図り、世界へアピールしたいとの狙いがあるのだとか。

 

ところで、みなさんはカザフスタンの国名の意味をご存知ですか? そもそも、「カザフスタン」という言葉を分解すると、「カザフ(カザフ語で“カザフ人”)」と「スタン(ペルシャ語で“~の国、~の多いところ”。新国名「エリ」もカザフ語で同じ意味)」という2つの言葉で成り立っています。このように、単語の後ろについて、その土地の特徴を修飾する語を“地名接尾辞”と呼びます。調べてみると、こうした特性をもつ言葉はカザフ語だけに限らず、英語圏をはじめ世界中に存在することが判明! そこで今回は “地名接尾辞”と、単語の前につく“地名接頭辞”からなるアメリカの州や都市にピックアップしてみました。さて、みなさんいくつご存知でしょうか? 

 

■そもそも地名接頭辞&接尾辞って何?

地名接頭辞&接尾辞は、スペイン語で「花の泉」を意味する「Florida(フロリダ)」や、同じくスペイン語で「赤い川」の意味である「Colorado(コロラド)」のように、単語そのものが意味をなしている地名と違い、ある単語の前後につくことでその土地の性質を表す働きがあります。

 

【 地名接頭辞例 】

 

New-(英語で“新しい”)

New Hampshire/ニューハンプシャー(「Hampshire」=イギリス南岸の州)
※大航海時代、アメリカ大陸へ植民地獲得にやってきたイギリス商人の出身地「ハンプシャー」にゆかりをもつ名前。ちなみに、同州が位置する「New England(ニューイングランド)」の「New」も地名接頭辞です。

 

San- Santa- Santo- (イタリア語で“聖なる”)

Santa Monica/サンタモニカ(「Monica」=キリスト教の聖人モニカ)
※この土地にはじめてスペイン人が入植した日が偶然、聖人モニカの誕生日だったことに由来。これらの接頭辞がつく地名は、「San Francisco(サンフランシスコ)」や「San Diego(サンディエゴ)」など、キリスト教の聖人の名前と関連しています。

 

【 地名接尾辞例 】

 

■-ia(ラテン語で“~の土地”)

Georgia/ジョージア(「George」=ジョージ6世)
※1762年、この土地を植民地としたジョージ6世の名前に由来する地名。ジョージア州に本社を置くコカ・コーラ社が販売している缶コーヒー「ジョージア」のネーミングは、同州の名前からつけられています。

 

■-burgh(ドイツ語で“城砦”)

Pittsburgh/ピッツバーグ(「Pitt」=19世紀の英首相ウィリアム・ピット)
※アメリカ独立戦争の際、この土地はネイティブアメリカン防衛の要だったそうです。

 

■-polis(ギリシャ語で“都市”)

Minneapolis /ミネアポリス(「Minnea」=ネイティブアメリカンの部族スー族の言葉で「水」を意味する)
※ミネアポリスがあるミネソタ州には、アメリカ最大の河川「ミシシッピ川」が流れていることに由来しています。

 

■-ville(フランス語で“村”)

Martinsville/マーティンズビル(「Martin」=18世紀の軍人ジョセフ・マーティン)
※同地で生まれたジョセフ・マーティンは、アメリカ独立戦争で活躍した将軍。マーティンズビルに隣接するヘンリー郡は、「Give me liberty, or give me death!(自由を与えよ、然らずんば死を!)」の名文句でアメリカ独立の気運を扇動した、同時代の政治家パトリック・ヘンリーの名にちなんでいます。

 

いかがでしたか? 英語起源の地名が多そうなアメリカですが、他国語が混じった地名が意外に豊富! 退屈になりがちな地名の暗記も、その土地の地理的特徴や成り立ちの歴史を知れば頭に入りやすくなるはずですよ!

 

構成・文/山川俊之


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