ウィーン旅行の際は絶対に食べたい
おいしいオーストリア料理10選
海外旅行にでかけたら現地の料理を食べよう
世界料理図鑑Vol.1 オーストリア料理
海外旅行で景色や観光スポット同じくらい楽しみなのが"食"ですよね。世界には日本では見かけることのできない驚きと発見のある食で溢れています。せっかく飛行機に乗ってでかけるのなら、現地の料理を思い存分楽しんでみませんか? 世界料理図鑑は、その名のごとく世界各国の名物料理を紹介していく連載です。
海外旅行の際に「この国の名物料理って何があるんだろう」そう思った時は、ぜひこの連載を参考にしてみてください。
ヴィーナーシュニッツェル Wiener Schnitzel
カツレツの一種で、牛肉や豚肉を肉たたきでたたいてごく薄く伸ばしたものに、日本のフライと同じようにパン粉の衣をつけ、多めのバターで全体が黄金色になるまで揚げ焼きしたものです。パン粉が細かいのと揚げ焼きという調理法により、仕上がりはさっくりしていて脂っぽさはありません。
シュニッツェル自体は近隣諸国でもよく食べられている人気料理ですが、「ヴィーナー」との名前がついているこの料理の特徴は、その大きさが巨大であることです。ウィーンの名物店では直径30cm以上でお皿からはみ出たものが1人前として供されます。
小食な日本人には食べきれないサイズと思いきや、薄くてサクサクあっさりしているところに、搾りかけるレモン汁の風味がまたさわやかでおいしい。意外にたくさん食べられてしまいます。
ツヴィーベルローストブラーテン Zwiebelrostbraten
「ツヴィーベル」は玉ねぎのこと、「ローストブラーテン」は牛肉のステーキのことです。ステーキを焼いたフライパンに、そのままワインなどを加えて肉汁を活かしたステーキソースを作り、玉ねぎは薄切りにしたものを油で香ばしく揚げたものがトッピングされるのが本式のようです。
ステーキと言ってもお肉は薄めで、焼き加減は絶妙なミディアム・レア。見た目はごく普通な印象のステーキプレートですが、お肉とソース、そしてトッピングのフライドオニオンの相性が抜群で、さすが伝統のある名物料理だと納得してしまう一品です。
ツァンダーのソテー Zander Filet
「ツァンダー」は日本語ではカワカマスというそうで、スズキに似た白身の淡水魚です。オーストリアやドイツの内陸部は魚料理が少なく、魚料理が身近な日本人が旅行中に、何か魚料理が食べたくなって探すとたいていこのツァンダー料理が見つかります。
ソテー、ムニエル、グリル、フライなどがありますが、魚自体にクセがないのでどんな調理方法、味付けの料理を選んでもおいしくいただけます。
マチェスのサンドイッチ Matjes
へリング(にしん)を使った魚料理もよく食されています。
生のにしんを塩漬けや酢漬けにした「マチェス」は、そのまま食べたり、料理のつけ合わせにしたり、サワークリームと和えるなど料理の食材として使われたりもしています。
旅行中に最も手軽に味わえるのは、サンドイッチにしたものだと思います。
写真にはフィレが使われていますが、カジュアルなパン屋さんやデリ風のお店に並んでいるサンドイッチは1匹丸ごとパンに挟まれて両脇から頭と尻尾が出ていて衝撃的です。そんなグロテスクな見た目とは裏腹に、食べてみると生臭かったりするようなことも全くなく、パンと玉ねぎなど他の具とのバランスもよく、たいへんおいしいものでした。
見た目の観点でも食しやすいのはサワークリーム、野菜やハーブなどと一緒に和えてあるもので、スーパーマーケットのデリコーナーなどでも買うことができます。こちらはワインともよく合います。
バックヘンデルザラート Backhendelsalat
「バックヘンデル」はウィーン風のフライドチキンで、要はシュニッツェルの鶏肉版のようなものです。「ザラート」はサラダのことで、この料理は、これらが一皿に一緒に盛られたものです。なお、サラダは葉物だけでなくポテトサラダも同時に盛り合わせられていることもあります。
フライドチキンは外側の衣がパリッと、中は柔らかくジューシーに仕上がっていてボリューム感があります。サラダも一緒に食べるせいか意外にさっぱりとしていて食べやすいです。栄養バランス的にもヘルシーな感じがしますね。
フリタッテンズッペ Frittatensuppe
コンソメスープの中に、甘くないクレープ生地を細く切ったものがヌードルのようにたくさん入っています。
スープについてくるのはスプーンのみで、すくったクレープすすって食べるようなことはもちろんNG。どうやったら上品に食べられるのか? と少し悩みましたが、器の中でクレープをスプーンで小さくくだいてから、スープと一緒にすくうとよいことを思いつきました。
クレープに使われている卵やバターの香りと相まって、丁寧に作られたコンソメのおいしさを実感できるスープです。
クヌーデル Knödel
クヌーデルは、オーストリアやドイツでよく食べられているもので、小麦粉や古くなったパンをこねて大き目に丸めて、茹でたものです。じゃがいもを使うクヌーデルも一般的です。食べ方は、茹であがったものを料理のつけ合わせにすることが多いほか、写真のようにソースをかけてひとつの料理として食されることもあります。クヌーデル自体はシンプルでくせもないものであるため、ソース次第でさまざまに味わうことができます。生クリームが入ったグレービーソース、ハーブとガーリックが効いたバターソース、旬のきのこがたっぷり入ったクリームソースなど、さまざまなバリエーションがあります。
レーバークネーデルズッペLeberknödelsuppe
オーストリアには、ベースがコンソメスープで、中の具が異なるスープがいろいろあります。「レーバークネーデルズッペ」もその一つで、コンソメスープの中にゴルフボールほどの大きさ(お店によってはおにぎりほどのところも)のレバーを練り込んだクヌーデルがひとつゴロンと入っています。クヌーデルをスプーンで崩しながらスープと一緒にすくっていただきます。
同じコンソメベースでも、具が異なると味わいが全く異なるもので、このスープはレバー特有のクセも感じず、たいへんやさしい味でした。少し飲みすぎた後のシメにもよい感じです。
ザッハトルテSachertorte
ウィーンに17世紀から存在する格調高いチョコレートケーキで、「甘い戦争」と呼ばれる、命名と販売権に関する訴訟の逸話があることでも有名です。ウィーンへ訪れたらぜひ、ウィーンの歴史にもなっている2軒のお店の両方で食べ比べをしたいところです。
チョコレート、バター、砂糖の含有量が多いため、コクがありどっしりとした印象のケーキです。逸話に登場する「デメル」と「ホテル・ザッハー」、両者のケーキの違いはアプリコットジャムの使い方。表面のチョコレートとスポンジの間に使われている他、「ホテル・ザッハー」の方はスポンジが2層にスライスされて間にもジャムが挟まれており、アプリコットの酸味でどっしり感が若干軽減されているように感じました。
なお「甘い戦争」の後日談では、勝訴したのは「ホテル・ザッハー」でしたが、ウィーン市民がより多く支持したケーキは「デメル」のものであったそうです。どちらが好きかは個人のお好み次第ですね。
アップルシュトゥルーデル Apfelstrudel
オーストリア近隣諸国で好まれ食されているアップルパイの一種で、外側の生地の作り方に特徴があります。小麦粉を水でこねてよく伸びる状態になった生地を、作業台いっぱいにごくごく薄く広げ、表面全体にとかしバターを塗り、りんごやレーズンなどの具を載せて端からくるくる巻いて細長く成形したものを、オーブンで焼きます。
ザッハトルテでおなじみの「デメル」の店内では、ガラス張りのお菓子工房の制作工程を見ることができます。大きなシュトゥルーデルを職人さんが巻くところは特に圧巻です。
この国近郊のりんごには、日本のりんごにはないしっかりしたほどよい酸味があり、お菓子や料理に効果的に使われています。日本では食べられない風味のりんごのケーキ、ぜひ旅行中に味わっておきたいものです。
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