『サムライカレープロジェクト』
@カンボジア 1期生を直撃しました!

話題の海外起業体験プログラムで学んだことは?

2014年1月からスタートした、海外起業体験プログラム『サムライカレープロジェクト』(プロジェクト報告会レポート記事はコチラ⇒実践的すぎる海外起業体験プログラム! サムライカレープロジェクト報告会レポ )。
第1期研修生にプロジェクトに参加したきっかけや、研修で学んだことなどについてお伺いしました。

 

●大谷冬馬さん

建築などのデザインを専攻している大学生の大谷さん。
数週間の海外研修に参加したことがきっかけで海外に興味をもち始めたそうです。

 

――プロジェクトに参加したきっかけは? 

 

昨年夏にフィリピン・セブ島に英語留学していたとき、海外就職研究家のもりぞおさん(森山たつをさん)と毎日のようにお話しできる機会がありました。その際にサムライカレープロジェクトのことを教えていただき、まだ詳細も決まっていないうちから「参加します!」と即答したことがきっかけです。

 

――以前から海外就職や飲食経営に興味はありましたか?

 

漠然と海外で働くことに興味をもっていましたが、海外滞在経験はほとんどありません。「海外で働ける人は自分よりずっとハイスペックな人だけじゃないのか?」「自分の片言英語は通用するのか?」など、分からないことがたくさんあったので、このプロジェクトに参加することで、自分が海外就職に向いているかどうかを試してみようと考えました。

 

――プノンペンでカレー屋を開業するにあたって、驚いたこと、苦労したこと、うれしかったこと、印象的だった出来事を教えてください。

 

まずは驚いたことについて。
印刷屋に名刺を頼んで、予定日に受け取りに行ったら「インクがなくなったから明日来て」、カンボジア人スタッフが突然「今日は用事があるので帰ります」……。
日本では考えられないようなことが毎日起こり、驚きの連続でした。

最も苦労したことは、プロジェクト2週目にカレーの味がうまく出せなくなったことです。そこから、野菜やスパイスの量の微調整を地道に繰り返し、数日後には元通りのおいしいカレーができあがりました。それと同時に、誰でも同じ味のカレーが作れるような細かい作業まで詳細に記したマニュアルの必要性を痛感し、すぐに作成にとりかかりました。

特にうれしかったことは2つあります。 まず、開店後、初めて欧米人のお客様にご来店いただいたときのことです。
それまでは現地在住や旅行中の日本人だけでしたが、ある日たまたま近くを歩いていたドイツ人、その数分後にはフランス人の2人組がふらりと立ち寄ってくれました。どちらもおいしいという評価に加えて、「もっと肉が欲しい」「辛さを抑えてほしい」と率直な意見を述べてくれました。
また、プロジェクト最終週、サムライカレーパンを開発して街中で売ると、カンボジア人が次々と買ってくれました。そして最終日、サッカーの試合会場で計100本を売り切ったとき、思わず皆でガッツポーズをしたことも忘れられません。

 

――言葉の壁で苦労した部分はありますか? 英語やカンボジアで現地語を勉強しましたか?

 

カンボジアは想像以上に英語が通じず苦労の連続でした。食材を仕入れるため毎日訪れるマーケットでは、「three thousand」すら通じません。
『旅の指さし会話帳』を何度も開くうち、「こんにちは=オークン」「おいしい=チュガンニ」「1・2・3・4・5・6……=モイ・ピー・バイ・ブォン・パラム・パランモイ……」など、最低限必要な単語は自然と覚えてしまいました。

英語に関しては、以前はほとんど話すことができませんでしたが、3ヶ月間のフィリピン留学のおかげで、旅先で出会った外国人との情報交換や、海外の銀行口座を開くことができる程度には話せるようになっていました。

プロジェクトでは、清掃業者への見積依頼、印刷屋での色や部数の指定、パン屋での大量購入に伴う値引き交渉など、さまざまな状況でカンボジア人と英語でやりとりをしました。お互い非ネイティブですから、教科書に載っているような流暢なものではありません。
時にはジェスチャーやイラストを併用して、これを買いたい、ここを直してほしいという意志を伝えました。
そして特に重要な場面では、通訳のカンボジア人学生に同行してもらい、必ず二重の確認を行っていました。

今回の研修で、自分自身の英語力をより高めなければならないと痛感しました。今の英語力は、旅行をするぶんにはそれほど不自由はしていませんが、将来海外で働きたいと考えている私にとって、今の私の英語力はレベルが低すぎます。改めて正しい文法と発音の必要性を感じさせられました。

 

――プロジェクトに参加する前と後で、ご自身にどんな変化があったと思いますか? 

 

自分自身が変わったことは3点あります。
まず、誰もやったことがないことは、とりあえずやってみる! というマインドになったことです。
カンボジア人にカレーを試食してもらいアンケートをとる。フランスパンにカレーを挟んで、3000リエル(0.75ドル)で売る。どれも前例がないことばかりで、教科書に答えが載っているわけではなく、正解はやってみないとわかりません。今まではどちらかというと手を出す前にあれこれ思案する性格でしたが、失敗しても痛くない範囲で、とりあえずさっさと行動するようになりました。

次に、多少のトラブルでも動じない、怒らない。トラブルを予見して複数の選択肢を持っておくことを、今まで以上に意識するようになりました。プロジェクトを進めていくにつれて日本では考えられないような問題が起こり、そのたびに消耗しましたが、次第に「カンボジアではよくあること」が合言葉(?)になりました。

また、帰国後に友人から「フットワークが軽くなったね」と言われるようになりました。限られた費用を使って日本とアジア各国をたびたび往復したこの休学期間中、毎日のように新しい発見と出会いがあり、同時に知識とひらめきが蓄積されていきました。

 

――ご自身にとって海外就職、起業とはどのようなことでしょうか?

 

私はまだ学生で、実際に就職したわけではないのですが……。今までよくわからない、遠い存在だった海外就職は、実は意外と自分にもできそう、ということがわかりました。
そのためには英語はもちろんのこと、専門分野の知識と経験を身に付ける必要があります。まずは海外に進出している日本企業で職歴を積み、早ければ数年後には海外に就職したいと考えています。

また起業についてですが、プノンペンでは大小問わずさまざまな業種の日本企業が進出してきていました。街にはまだ不便なことだらけですが、その不便さの分だけビジネスチャンスがある、ということだと思います。

 

――海外で働くことを目指す、読者に応援メッセージをお願いします。

 

私と同じように、海外で働きたいと考えている学生は多いと思います。書籍やある程度の情報を得たら、あとは行動あるのみです。またインターンシップなどを通して、同じ目標を持った他大学の学生と知り合い、ネットワークをつくるとよいのではないでしょうか。

 

●福田健太さん

大学休学中にサムライカレープロジェクトの話を聞いて、その5日後にはプノンペンにいた(!)という福田さん。

 

――プロジェクトに参加して良かったと思うことは?

 

僕は「アットホームな飲食店を開きたい」という夢があって、サムライカレーの店でカンボジアの現地の人と触れ合って目指す感覚がつかめたことです。
カンボジアに着いたばかりの頃、サムライカレーオリジナルのシャツを着て現地のお店で買い出しをする僕たちは明らかに浮いていましたが、毎日同じお店で買い出しをするうちに現地の人たちが馴染んでくれて「こんにちは」「今日は何が欲しいの?」などのコミュニケーションが生まれるようになりました。それがうれしかったですね。ある時は、言葉も通じない現地のおばちゃんの家に招待されて、昼から夕方までずっと一緒にお酒を飲んだこともあります。カンボジアでそんな体験をしたので、日本でも出来るという自信になりました。

お客さんじゃなくても現地のトゥクトゥク(カンボジアのバイク版タクシー)ドライバーと仲良くなれたりもしました。現地の人たちは1食1ドル程度の食事をしているのですが、サムライカレーは1食3.5ドルなので、中々お客さんとしてきてもらうのが難しいのです。カンボジア人は食事にお金をかける文化がないように感じました。日本だと「今日は特別な日だから、豪華な食事をしよう」とかあるじゃないですか。カンボジアの人はそれがないので、カレーの価格を現地の人の感覚に合わせるとか、工夫してもいいかなと思いました。

 

――ご自身にとって海外就職、起業とはどのようなことでしょうか?

 

もともと僕は海外就職というものに対しては何も考えていませんでした。むしろ日本で就職し日本で暮らし続けたいという気持ちでした。ただ今回サムライカレーに参加してみて海外就業体験をし、また実際にカンボジアであったり世界で仕事をしている人たちと出会い考え方が少し変わりました。 今でも日本で生涯過ごしたいというのはあまり変わりませんが、その日本が今後どうなって行くかというのは少し不安でもあります。
経済的にも、地震などの自然災害に対しても、自分が生きていくうえでもっと良い環境がいつ海外になるかは分かりません。そうなった時に、いつでもすぐに海外に飛び出せるような個人としての力を今後は養っていきたいなと思いました。
そういう意味で海外就職というのは今後自分の中では当たり前の選択肢であり、世の中的にもそうなってくるのではないかと思っています。起業についても、誰かに雇われているという立場ではなく自分で事業をすることでいつでも動ける環境にいたい、どこの国にいってもその地でゼロから事業を立ち上げ生きていけるような力を身につけていたいと思っています。

 

――海外で働くことを目指す、読者に応援メッセージをお願いします。

 

今回カンボジアでカレー屋を開くというプロジェクトに参加し、初めは本当に不安でした。けれどもとにかくやってみれば色んな方からのサポートもありどうにかなるもので、やっぱりまずはやってみることが大切だなと感じました。
海外で生きるということは楽なことばかりではないと思いますが、飛び出してみれば新しい世界に出会えると思います。

 

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取材・文・撮影/甲斐真理愛(編集部)


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