「あなたの幸福度は何%ですか」
世界幸福度調査～ギリシャ人編～

『マンマ・ミーア！』という映画を見たことがありますか？　ブロードウェイミュージカルとしても有名な作品なのですが、日本で一躍有名になったのは2008年に公開された映画版ではないでしょうか。名優、メリル・ストリープが主役でギリシャに浮かぶ島を舞台にした、コメディミュージカル映画です。突然映画の説明をして何を言いたいのかというと、この映画は脚本や俳優陣の演技もさることながら、とにかくギリシャの風景がとっても美しいのです！　真っ青な空と海、建物の白い壁、ブーゲンビリアの花の濃いピンク。これだけで、女性が憧れる風景だと想像できるでしょう。なんだかドキドキする配色なんです。と、いうことで映画の中の風景に魅せられギリシャを訪問したことがある筆者。ここ数年経済危機などで、少し退廃的な印象をもたれている国ではありますが、訪問してみるとそんなに暗い雰囲気はありません。やはり映画で見たような、のんびりとおおらかな人々の生活を見ることができました。とにかく人懐っこいというか、話好きなギリシャ人は筆者の拙い英語でも一生懸命聞き取ろうと努めてくれ、おしゃべりの輪に誘ってくれます。そして、好奇心も強いのか、筆者の事、日本の事の質問攻め。こちらからの質問にも熱心に答えてくれます。

今回インタビューに答えてくれたのは、人生の先輩ディーナ。彼女と話すと、その諭すような口調と人生哲学にハッとさせられます。いつも何かに焦っている気がして、不安とこれからの人生に対する欲を持っている筆者にとって、目からウロコの言葉ばかり。満ち足りるって何だろう。そんな事を考えたインタビューになりました。

ディーナ/女性/63歳/ギリシャ人

ーあなたはどのくらい幸せですか(100%のうち何%幸せか教えてください）

100%
若いころ思い悩むこともあったけど、それでもいつも幸せだったわ。

ーあなたを自分が幸せと思わせるものは何ですか？

人に必要とされる事、美しい景色、おいしい自然な食べ物。これだけあれば、十分。人に必要とされるっていうのはね、一人でいると暇を持て余してしまうのよ。そして孤独を感じて人生を憂いてしまう。仕事でも、話し相手でも何でもいいのだけれど、少しでも人から必要とされて、関りを持つこと。とっても楽しいことでなくても、やる事があるって、生活に張りがでる。人生を充実させられるわ。

ーあなたの人生でいちばん大切なものは何ですか？

時間。自分が健康でいることが大前提なんだけれど、この年になると自分の残された時間って考えるじゃない？　若いころは、時間が無限に残っていて寄り道だってたくさんできたけれど。私はやりたいことがまだまだあるのよ。今は娘が仕事をしている時間に孫を預かることが多いのだけれど、とってもかわいくてね。子供は本当に美しい。その子たちが成長していく姿をなるべく長く見ていきたいわ。大人になるあの子たちと話したいことも、沢山あるの。教わることもおおくて、インターネットのやり方や、ゲームなんかも教わっているの。いつか手が離れる時が来るけれど、そうしたら今度は何をしようかしら、って考えるのも楽しい。欲しいものはもうほとんど持っているの。私にはこの幸せを継続していくための、時間が大切よ。

ーあなたの国の人々は幸福度が高いと思いますか？

高いわよ。この国に生まれて不満を持っている人たちなんてほとんどいないはずだわ。みな、信仰心が厚く、日々感謝して、助け合って暮らしている。豊かな海にも、温暖な気候にも恵まれている。神に守られているのよ。ほかの国の人たちも、こうやってこの国にバケーションに集まるのだから羨ましがっているのでしょ。激しいデモが起きたりするけれど、何が善か悪かは別として、若者が変化を求めるのは当たり前な事だからね。私も若いころは、そういった気持ちがなかったわけではないわ。人生情熱が有り余ることも必要よ。

ーあなたの国の幸福度を上げているもの、下げているものは何ですか？

長い歴史を持って、世界中に影響を与えてきた文化は誇っていい物だと思うし、それによって国民が幸せになっていると思うわ。オリンピックや言葉など、人が生きていくうえで便利で楽しむものを作るのが、ギリシャ人は上手なの。幸福度を下げているものは、何かしらね。経済的によくないとか、失業率が高いとか、お金の問題は国としてはあるけれど、人々はそこまで困窮していないわ。国としては、まぁ、なるようにしかならないものよ。でも、個人の幸せを追求して、お金ではなく、自分の人生を楽しんで生きていくという点では、ギリシャ人は不幸ではないわ。