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BRIDGETと友人達のLetterを管理するDear B,のEditor達。彼女達の目標は、多くの女の子をBRIDGETのように世界に飛び立たせること。
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WORLD
2017.09.27

給料、英語力、ビザ、保険はどうなる?

海外就職体験談 ヨーロッパ・ギリシャ編

海外就職・転職に必要な情報を

先輩達から学びましょう

いつかは海外就職・転職をしたいと夢みているけど、実際現地でどんな生活ができるのか想像がつかない! 何から準備したらいいのか分からないという皆さんに向けた連載が「海外転職体験談」です。ヨーロッパ、アメリカ、アジアを中心に海外就職・転職を実現させた日本人のみなさんに、どうやって現地の仕事を探したか、転職前の準備金や仕事の内容、労働時間、ビザ、年金、保険まで海外転職にまつわるイロハについて伺っていきます。

名前:ひのあおこ
年齢: 33
性別:女
居住地:ギリシャ クレタ島
語学力:英語 TOEIC 950
職業:宮城県出身。ビューティーセラピスト&英語講師。
経歴:18歳でアメリカ留学し4年後帰国。学習塾で英語講師として働きながら、地元のラジオ局で音楽仲間とワールドミュージック番組を担当。世界の音楽に触れたるため28歳で仕事を辞めブラジルひとり旅に出かける。その後オーストラリア滞在中に結婚、そしてビューティーセラピーディプロマ資格を取得。現在はギリシャのクレタ島にある5つ星ホテルでセラピストとして勤務しながら、世界中に住む日本人にオンラインで英語を教える。

 

Q1.留学経験はありますか?

 

高校卒業後アメリカの語学学校とカリフォルニア州立カレッジに4年間留学。音楽専攻で卒業しました。オーストラリアのビューティーセラピーコース。1年半でディプロマを取得しました。

 

Q2.転職前に準備した金額を教えてください

 

仕事を辞めた時点での貯金は30万円ほどです。日本にいた時は貯金をしては海外旅行に出かけていたので、日本での仕事を辞めた時あまり貯金は残っていませんでした。ワーホリビザでオーストラリアに行き、アルバイトでビューティー学校に通う資金を稼ぎました。

 

 

Q3.どのように仕事を探しましたか?

 

オンラインの仕事探しサイトや、知り合いに聞いたりして情報を集めました。現在の仕事は知り合いの紹介です。

 

 

Q4.就職活動はどのような準備をしましたか?

 

まずは資格を取りました。日本ではエステティシャンの国家資格のようなものはありませんので、オーストラリアでビューティーセラピストのディプロマコースに通いました。オイルマッサージ、アロマセラピー、ホットストーンマッサージ、リフレクソロジーなどのマッサージ系だけでなく、フェイシャルエステ、メイクアップやワックス脱毛、ネイルまで幅広く学びました。

在学中にできるだけたくさんのボランティアやイベントに参加し、就職する際アピールできるようにしました。オーストラリアでは例え資格があっても3年以上の職歴がないと一流のスパでは雇ってもらえないので、少しでもチャンスがあれば実践の場に飛び込んでいくようにしたのです。

 

 

Q5.仕事の内容を教えてください

 

スパトリートメントが主です。内容は、マッサージ、アロマセラピー、ボディートリートメント(スクラブやボディーマスクなど)、フェイシャル、ワックス脱毛などです。

また、受付業務の一部や、ゲストにスパの施設や使い方をご案内したり、扱っているスキンケア商品をご紹介したり、スパに関わる様々な業務に関わっております。

 

 

Q6.仕事では外国語を使いますか?

 

使います。主に英語、時々ギリシャ語です。ゲストのほとんどが外国からのお客様ですのでスタッフ全員英語は必須です。スタッフ同士はギリシャ語も話しますが私のギリシャ語はまだついていけません……。

 

 

Q7.給与および税金はいくらくらいですか?

 

近年のギリシャの経済悪化の影響で、給与が全体的に引き下げられています。私が知っている限り、スパセラピストの一般的な給与が月に650ユーロから1000ユーロ程度(約8万6千円から13万2千円)。スパの格や持っている資格、ポジションによって変わってきます。また、年に2回ボーナスが出ます。

所得税は年収2万ユーロまでが22%、2万1ユーロから3万ユーロまでが29%、3万1ユーロから4万ユーロまでが37%、4万ユーロを超える場合は45%となっています。

日本の消費税に当たるVATは基本的には24%。食料品などの必需品は13%、本や薬は6%です。また、いくつかのエーゲ海の島では税率が低く設定されています。

 

 

Q8.労働時間はどのくらいですか?

 

フルタイムだと休憩時間込みで1日9時間、1ヵ月に4日の休みが与えられます。私は他の仕事もかけ持ちしているので6時間勤務です。

 

 

Q9.休暇はどのくらいとれますか?

 

ギリシャでは、ホテルなどリゾートの仕事は、大抵4月から10月までの季節限定です。11月から3月はほとんど仕事がありませんので、自由に休暇を取る人もいれば、別の仕事をする人もいます。夏のリゾート業に従事している人は、冬季は国から一定の生活費が振り込まれます。

 

 

Q10.ビザはどうされていますか?

 

夫がギリシャの国籍を持っていますので、婚姻ビザです。

 

 

 

Q11.退職したらどうなりますか?(ex.○○に日以内に国外退去など)

 

婚姻ビザですので、「退職したから国外退去」といったルールはありません。

 

 

Q12.海外就職のメリットとデメリットを教えてください

 

海外に就職するメリットは、日本以外の基準で自分の仕事ができることです。日本では法律により、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格がないとマッサージをしてはいけないことになっております。そのため、国家資格を持たないセラピストは、「マッサージ」という言葉を公に使ってはいけないことになっており、どんなに多くの民間トレーニングを受けて素晴らしいセラピストでも、「ボディートリートメント」「もみほぐし」など、別の言葉を使っています。(英語でBodyTreatmentというと、マッサージではなくボディースクラブやパックのことを言います。)指圧、はり、灸以外のマッサージをマッサージと認めていないという事です。また、薬事法によりアロマセラピーの効能を明確にできなかったり、海外では当たり前にできることが自由にできません。

私はオーストラリアでマッサージを含めた幅広いトレーニングを積み、オーストラリアの国家資格を取りましたが、この資格があっても日本では「マッサージ」という言葉を使って仕事をすることは禁止されています。しかし日本以外の国では広く認知されているものであり、私が技術と知識を持っている証明となり得ます。あとは実力があればきちんと評価されます。

 

海外就職のもうひとつのメリットは、今まで日本で築いてきた人間関係と一旦離れるため、自分や仕事に集中することができることです。日本では、友人や仲間との繋がりがとても大事で、会ったり遊びに行ったり、付き合いで飲みに行ったり、とにかく頻繁に人と会っていました。あまりにも頻繁に会いすぎて、彼らの価値観に流されたり、自分がどう思われているのかを過剰に気にするようになっていました。自分を主張すると「面倒くさいやつ」と思われることもわかっていました。そういった自分をリセットするためにも、日本に住んでいる頃からよくひとりで海外旅行に出かけていたのです。

海外に就職し住むようになってからは、「自分」というものをとても大事にするようになりました。これまで住んできたアメリカ、オーストラリア、ギリシャでは、個人の意見がとても重要視され、自分の意見がはっきり言えないと一人前と見なされません。個々の判断がとても重要な世界なので、周りの目を無駄に気にしなくなりました。その分自分の仕事には更に責任を持ち、勉強熱心になり、よりクリエイティブな発想ができるようになりました。

 

海外就職のデメリットは、様々な手続きを慣れない言語で行わなくてはいけない事です。役所の書類は勿論ですが、民間保険や会社との契約書など、正しく理解していないと後で自分の不利益になるような事がたくさんあります。勝手も職員の態度も国によって違うので、対応が酷いと心が折れそうになる事もあります。

また、ギリシャで働くデメリットは給与が少ない事です。生活費も安い分、生きていけない事はありませんが、旅行に行ったり日本に帰国するのをためらうようになってしまいました。それでも失業率25%のこの国で外国人なのに仕事があるということはとてもラッキーなのです。

 

 

 

Q13.日本の労働環境との違いを教えてください

 

日本とギリシャの大きな違いは労働時間です。観光業はギリシャではメインの産業ですので、リゾート労働者は冬の仕事がない間、生活費として手当てが出ます。その代わり夏の間は休みなく働く人もたくさんいます。現在私は1ヶ月に4日の休みがありますが、レンタカー業や飲食業をしている友人は、4月から10月まで1日も休みがないと言っていました。ギリシャ人は怠け者のイメージがなぜか強いのですが、ヨーロッパで1番目、世界で4番目に労働時間が長い国民です(日本は22番目)。知り合いのギリシャ人には2つフルタイムの仕事を毎日掛け持ちしている人もいます。

また、シエスタの習慣があり、朝9時から午後1時まで働き、4時間の休憩(シエスタ)を取り、午後5時から夜9時まで働くといった勤務体系の人も多いです(結果8時間労働になります)。夏の熱波を経験すると、シエスタがあるのも理にかなっていると感じます。シエスタは昼寝という意味ですが、実際に睡眠をとるというより、ビーチに行ったり一旦家に帰ったり、「長めの休憩」といった感じです。

 

 

Q14.職場で日本人であるメリットはありますか?

 

残念ながらほとんどありません。お客様に日本人がほとんどいませんし、仕事で日本語を使う機会もありません。唯一のアジア人スタッフですので、顔を覚えていただきやすいといった事はあるかもしれません。

 

 

Q15.年金や医療保険について教えてください

 

ギリシャに来てすぐ思いがけず入院・手術を経験しました。既にIKAという日本でいう社会保険のようなものに加入していたので、医療費・入院費が全て無料でした。ギリシャは国民皆保険が実現しており、居住者は無料で医療サービスが受けられます。ギリシャ人の半数ほどは民間の保険にも加入していて、そうすれば私立の病院にかかることもできます。公立の病院よりも迅速で丁寧な対応をしてもらえます。ギリシャは国の財政難のため、公的年金制度を大きく改革中です。年金受給額の平均は月に約900ユーロ(約12万円)。また経済悪化のため、多くの企業が年金など国に収めるべき支払いを正しくしていないという話をよく聞きます。

 

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